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天使戦争  作者: 薬売り
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運命は、少しずつ動き始める 11話

 正太郎は、屋敷に帰って部屋で唸っていた。


「正太郎様、どうされました?」


 天使2体が心配そうに見つめている。


「次の策が思いつかないんだ。そうだ、こんなの出来るかな?」


 正太郎は、ちょっと前から思っていた携行武器を頼んでみる。


「それは、可能です」


「どのような物をご所望でしょうか、銃火器の類は無理です」


「短鎗とナイフ、カイザーナックル。出来れば普段は隠れてて呼び出せる感じで。悪魔を滅せるやつ」


「はい、それならば普段は腕輪や指輪の状態にしておくことはどうでしょうか?形状記憶の一種ですから大丈夫です」


「じゃあ、それで頼む。早急でだ」


「分かりました、少々失礼します」


 テラフニエルもバルキアケルも部屋を出て行った。


 しかし、どうたもんか。


 大規模な作戦ばかりだから、実入りは悪くない。


 しかし、このまま行けば必ず自分の手の内がバレる。


 しかし、信用がないとトップであるリリスの居場所を探るのは難しい。


 手詰まり感が否めない。


「ネフィーにアイスコーヒーでも頼むかな」


 正太郎は、気分転換も兼ねてリビングに向かった。


「ネフィー、アイスコーヒー頼んでもいいかな?」


「うん、ちょっと待っててね」


 本当に待ったの一瞬だった。


「果たして、これは待つうちに入るのだろうか?ありがとう」


「正太郎君、どうしたの?悩み事?」


「ああ、次の作戦どうしようかと思ってね、それにリリスの情報も分からないし」


「そっかー。難しいね」


「ああ、難しいよ」


「正太郎様、ご依頼の品が出来上がりました」


 テラフニエルが腕輪と指輪を、バルキアケルが1つ腕輪を渡してきた。


 それは、綺麗な水晶で出来ているようだった。


「腕に嵌めていただいて、後は念じていただくだけで変化します」


「ちょっと庭で試してみようかな」


 正太郎は、庭に出て腕を振るう。


 ちょっと格好つけてみたいお年頃だ。


 そうすると、紫水晶で出来たような、槍とナイフが手に収まっていた。


 ナイフだけど戻るように念じ、槍を薙ぎ払いや突きをしてみる。


「恐ろしく軽いな、それに水晶みたいに見えるけど、パリーンって割れないよな?」


「それは現世にあって現世に無い物ですから、より強い天使の武器でないと破壊されません」


「ということは、破壊されることはあるんだ」


「はい、私達の力では完全な不破壊は創造できません。しかし、破壊されたとしても一瞬で再生します」


「そうか、一瞬のスキは生まれるけど、うまく使えば虚をつけるってことね」


「おっしゃる通りです」


「了解した、ありがとう。大事に使わせてもらうよ」


 正太郎は、今日は色々考えることを止めることにした。


「ネフィー、買い物にでも行かない?」


「いいの?」


「うん、なんか煮詰まっちゃったから、気分転換したいし。市場でも覗きに行こう」


「わかった、着替えて来るね」


 正太郎は、短槍とナイフを腕輪に戻して、それ以外は拳銃だけを装備して出かけることにした。


 ネフィーと正太郎は、市場を冷やかして回る。


 気が向いたら、果物を一つ買って二人で分け合って食べた。


「おいしいね」


「ああ、確かに美味いな」


「正太郎君、浮かない顔してるね」


「やっぱり、分かる?」


「うん、分かるよ。ずっと見てるもの」


「そっか、叶わないな」


「ナナさんの所にでも行ってみない?」


「どうして?」


「今日は、気分転換の日だし。お土産持って行こう」


「そうだな、多少は綺麗になっているだろうし」


 二人は、基地を出てスラムに向かった。


「なんじゃこりゃ」


 正太郎の目には、昨日撤去されたはずのゴミ山が復活しているように見える。


「ねえ、ネフィー、ゴミ山減ってないよね?」


「うん、全然減ってない」


「ちょっと急いでナナ達の所へ向かおう」


 正太郎は、乱暴に鋼鉄扉を叩く。


 のぞき窓が開いたと思ったら、誰何もなく奥へ通された。


「しばらくぶり、先日は手間かけさせたね」


「いいえ、私達も物資の補給が出来たから助かったわ」


「あ、これお土産です」


 ネフィーが、市場で適当に買った食材が入った紙袋を渡した。


「ありがとう。貴方は?」


「あ、私、ネフィーって言います。正太郎君にお世話になってます」


「あらあら、正太郎君も隅に置けないわね」


「そういうのは、いいから。ちょっと聞いていい?」


「私達で答えられる事なら」


「なんで、ゴミ山復活してるの?ちょっと前に無くならなかった?」


「確かに、突然無くなったわ。スラムはちょっとしたパニックになったわ。でも、それは一瞬だったの。直ぐに何台ものトラックと重機がやってきてゴミを積んでいったわ」


「住人は、困惑半分、嬉しさ半分ってとこかしら?早速使えそうなものとか漁ってたから」


 正太郎は、何となく自分が捕捉されている気がした。


 ゴミ山があれば、また作戦を遂行することができる。それで更にゴミ山が補充されたらこちらの手の内をリリスが読んでいる可能性が高い。


「他に何か変わったことない?」


 その質問には、エイジが答えてくれた。


「どうも中央の方で大規模な編成替えと軍の移動が行われたようだ、そのせいで職にあぶれた傭兵やら難民があちこちに流れてきている」


 わざわざ、中央を手薄にした?


 誘っているのか?その辺はマモンに確認してみるか。


「色々、ありがとう。ネフィー、手間だけどもう一回市場に行くよ」


「わかった」


 正太郎は、市場の八百屋で西瓜を注文し、いつものように奥へ通された。


「マモン、単刀直入に言う。中央が手薄になっているのは、リリスが俺を誘っているのか?」


「左様でございます。正太郎様が最初に来店された際の依頼にリリス様との謁見がありましたのでダメ元で手を回しましたら先方が乗り気になりまして。ええ」


「そうか、ありがとう。明日にでも顔出してみるよ」


「どうぞ、ご無事で」


「大丈夫だよ、次の基地へ渡りも付けてもらわないといけないからね。また、沢山お宝持ってくるよ」


「それは、楽しみで仕方ないですな」


夏風邪をひいてしまい、ダウンしています。

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