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天使戦争  作者: 薬売り
16/99

未来は、まだ、分からない 16話

 

「正太郎、難しい顔ばかりしてるから母さん心配してたわ」


「母さん・・・」


「私には、明菜も正太郎も大切な子供よ。あまり、無理をしないようにね。何でも一人で抱え込まないでね」


「母さん、世界ってどうなっているのかな?俺は、何も知らないし、どうしていいか分からないよ」


 真雪は、人差し指を顎に当てながら少し考える仕草をして、レーションを湯煎にかける。


「世界ねー。昔、あ、地獄と融合する前は世界の7割は海だったわ。地獄には水がないから融合時に3割まで減少したわね」


 真雪は、棚から大きな地図を出してきて、テーブルに広げた。


 その地図には、大きな大陸の真ん中に大きな海が描かれている。


「最初に誰がどの悪魔を誰が召喚したかは分からないわ。現状、四つの悪魔の王がそれぞれの勢力を持って協力し合い競い合っているわ、海を中心に北東にマステマ、北西にバアル、南東にリリス、南西にクザファンが統治しているわ」


「母さん、この情報をどこで?」


「母さんは、ついこの間までコンピューターだったのよ?逃げるときに機密情報から何から何まで貰ってきたわ。幸いにしてコンピューターは悪魔いや堕天使達が造ったものじゃないから穴だらけよ」


 真雪は、地図をクルクルと丸めて棚に戻すと、あちちと言いながらレーションをテーブルに並べた。


「明菜ちゃん、いい加減にご飯食べちゃってー。ほら、正太郎もちゃんと食べるのよ?お腹が空いていると頭が回らないわ」


 レーションは、不味くはないのだが何となく栄養補給って感じだなと正太郎は思っていた。


「母さん、姉さん、食料の備蓄はどのくらい?」


「そうねえ、水も食料も1か月程度ってところかしら」


「どこかで補給は必要になるよな、やっぱり危険でもどこかの基地に所属しないとだめかー」


「正太郎様、海へ行くことは考えないのですか?」


「海?」


「現状の天使によって船を組成すれば、海から真水と食料を得ることが可能です。この車の様に燃料も必要としないため永久的に航行が可能です」


「現状では、テラフニエルの言うことが最上だろうけど、他の天使を探すためにも基地へ向かう必要どうしても出てくる」


 現状の手詰まり感に正太郎は、わしわしと頭をかいてしまう。


 それなのに何かが掴めそうで余計にモヤモヤした気持ちになる。


「母さん、知ってたら教えて欲しいんだけど」


「なあに?大抵の事は知ってるわよ」


「傭兵になるときに勉強させられたから知ってはいるんだけど、この星の周りは監視衛星が沢山飛んでいるんだよね?」


「そうね、耐用年数が過ぎてゴミになっているのも含めれば相当数あるわね」


「今でも新しく打ち上げてるの?」


「それは、ほとんど無いんじゃないかしら?資源も燃料も限られているわ」


「テラフニエル、天使は空の上、宇宙に行ける?」


「問題ありません」


「悪魔は?」


「悪魔の大半は天から堕ちた経験から、空中を移動することは可能でも天へ昇ることを忌避しています。天界への総攻撃の時くらいでしょうか」


「ん?天界って宇宙にあるの?」


「いいえ、正確には宇宙との境目に別次元として存在しています。でなければ、監視衛星などという存在や他の惑星の存在していることがおかしくなります」


「そうか、何か良い事思いついた気がするぞ」


「さらに付け加えるならば、悪魔も天使も泳げません。地獄には水は無く、天使には泳ぐという意識がりません。そのため水中では、念動力に近い力で動くだけです」


「正太郎、なんか悪い顔になってるわ。お姉ちゃんは心配だわ」


「僕たちは、やっぱり基地へ向かおう、情報が必要だ。そういえば僕たちは元々どこの所属だったのだろう?」


「私たちは、マステマ勢力の前線基地ね、隣接はリリス勢力よ」


「さすが母さん、伊達にコンピューターしてなかったね」


「もっと褒めてもいいのよ?」


「たぶん、暇だったんだろうけど」


「なにか言ったかしら?」


 正太郎は、母の背中に鬼を見た。


 なぜか、テラフニエルも震えている。


「正太郎、お姉ちゃんにも分かるように今後どうするのか教えて」


 正太郎の考えはこうだ。


 まず5体の天使を顕現させ、それぞれ自分と母と姉に2体ずつ護衛や連絡手段として傍に置くことにする。


 そして、基地内で情報収集とスラムの中で信仰心を少しずつ貯める。


 残りの半分の天使をもって、海底に身を隠して資源探査や食料の確保を行う。


 残りの半分の天使によって拠点を作る。そして、残りの天使を顕現させる。


 一気に顕現させると悪魔にバレる可能性が高いため、少しずつ顕現させ陽の光に紛れさせて空へ飛ばしていく。


「そういえば、地獄を切り離すのってどうやればいいんだ?」


 正太郎は、根本的な解決方法を知らないことに気が付いた。


「この世界に召喚されている悪魔が杭の役割をしています。4柱の悪魔を消せば自然と分離されます。ただ、悪魔を召喚した者を特定しなければ」


「また、同じことの繰り返しになるってことか、それは悪魔でも締め上げれば分かるだろうさ」


「正太郎様、拠点を作るということですが、この世界に拠点を構えれば必ず悪魔達に捕捉されます」


「だから、見えないところに作るんだ」


 正太郎は、人差し指を上に向ける。


 そこには、満月が浮かんでいる。


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