未来は、まだ、分からない
セッションを開始します。しばらくお待ちください。
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俺の周りにいくつもの光点が点滅して、最後には全て消えた。
少年は、狭い廊下を息を切らせながら走っていた。
目標地点までもう少し。
手にしているプラスチック爆弾に雷管を差し込んでおく。
息を整えながら、爆弾を設置していく。
スイッチを切り替えて起爆可能状態にしたら、また走り出す。
建物の外に出て、茂みに身を隠す。
息を整えながら辺りを伺うように視線を泳がした後、リモコンに手をかける。
カチカチと幾度かスイッチを押すと、その度に小規模な爆発が起こり建物全体が震えると瓦礫の山に変わった。
体中に浴びた埃を払いながらやれやれといった感じでゆっくりと立ち上がった。
少年は、自分以外動くものが居ないことを確認すると小走りで駆けていった。
「よお、正太郎、今日も見事だったみたいだな」
「毎回、ギリギリだよ。今回も運良く敵に見つからなかったから」
「そうだな、そろそろパーティーでも組まないと死んじまうぞ」
「うん、考えておくよ。じゃ、俺は精算に行くよ」
「おう、気をつけてな」
ひげもじゃの男と少年が居る場所は基地の外ということもあって、お粗末な場所で話している。
武器や弾薬を売る商人や装備を買うなど市場に近い状態だ。
半分はギラギラとした目をしており、半分は死んだ魚のような目をしている。
この前線基地では、傭兵が様々な作戦に自ら志願して参加する。
正太郎と言われた少年は、一人で作戦に参加している以外は、この世界ではごくごくありふれた傭兵だった。
世界が大戦と言われる戦争に明け暮れてどれだけの年月が経ったのか、気にする人間が居なくなるくらい長い間戦争が起きている。
昨日の敵が味方になり、逆に味方が敵になる。
そんな事が日常になり、もはや国単位で兵士を動かせる国は少なく、傭兵が破壊工作や軍事作戦を担っていた。
各国の内地では、旧世代と言われる戦争に参加しない人間も存在するが食料を生産するか軍需製品を生産するかに限られていた。
この時代、この世界では、男も女も老いも若きも戦争に参加し戦うことが当然とされていた。
正太郎は、市場の一角で一番きれいな場所に来ていた。
窓口ともギルドとも傭兵たちに呼ばれている。
大理石が磨かれた窓口に揃いの軍服に身を包む受付嬢が並んでいる。
市場の雑然として汚れた印象とは、一線を画すそこは正式な軍が傭兵への依頼の発注やその精算を行っている場所だ。
戦果は、衛星による確認と偵察部隊もしくは偵察依頼を受けた傭兵により確認が行われている。
細々とした例えば何人の兵士を倒したなどの戦果は、確認が難しいため戦果として認められていない。
あくまで、軍部が立案した戦略や戦術にどれだけ貢献したかに寄るところが大きい。
そこに恣意的作為的な判断が入ることは否定できないが、公正でなければ傭兵が離れていくため一定の規律が守られている。
「レイコさん、精算して」
「はい、今日も無事で何よりです。登録証をお願いします」
正太郎は、馴染みのセミロングの受付嬢に手慣れた手つきでドックタグを渡した。
受付嬢は、営業スマイルを張り付けたまま、手元の端末にドックタグを通した。
現代のドックタグと違い、この世界のドックタグには本人の生体情報から依頼内容、達成内容が記録され更には預金口座も兼ねており、あらゆる身分証が一元化されている。
他人が盗んだとしても、その生体情報から預金を引き出すことはできない。
しかし、死亡確認のためにドックタグを死体から持ち帰ると幾ばくかの謝礼金がでるため盗賊まがいの輩も存在している。
その対応も傭兵であるため、自己責任の範疇とされている。
「確認が取れました、今回の作戦目標は敵医療施設の沈黙ですね。衛星により施設全体の倒壊を確認しています。任務は120%達成となります。ここまで大規模に破壊されると再利用が不可能なのですが・・・」
「そんな事言われても、それは、そっちの事情でしょ。精算してよ」
「すいません、今回の報酬は4000萬円となっております、ドックタグに入金しておきます。なにか武器など発注なさいますか?」
「そうだね、C4一式の補充だけでいいや。次の任務が決まったらその時に調達しておくよ」
「そうですか、正規品は発注いただかないとすぐには卸せませんがよろしいですか?」
「うん、その時は時間に余裕をみるか、市場で調達するから。ありがと、それじゃあね」
「はい、ご武運をお祈りしております」
文字数がバラバラになって見づらいと思いますがご容赦ください。
考察なども足りないと思います。
生暖かく見守ってくださると嬉しいです。