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【仲間】


「――弾け、トリシューラっ!氷漬けになりたくなかったら、早く決断して零君を手伝うか手伝わないのか。その覚悟を決めて下さい!」


銃を撃ちながら、彼女は冷たく発言する。

その言葉を投げられた者は、彼女へと力を放つ。

彼女はその攻撃を一つ一つ、見切って避けている。

……が、彼女には少々手数が足りない。


銃を乱発してるとはいえ、手数は彼らの方が上だ。


「――もらったっ!!」

「――っ!甘いです!」


剣を避け、その相手を蹴り飛ばす。

すぐに距離を取り、彼女は周囲を注意して行動している。

隙を失くす、という行動は彼女にとっての基礎だ。


「お前たち、残り時間は三十分だ。決断しろ。俺も桐華も、延長するつもりはないぞ」

「――くそっ!全然当たらない」


攻撃を当てられず、攻撃を避けられずに時間と体力だけが消耗しょうもうしていく。


「……すー……はー……」

「桐華?」

「藍原さん?」


桐華の呼吸する姿を見て、彼らは言葉を失う。

集中力が高まり、常人の速度を越えて移動を彼女は開始した。

……まるで、彗星だ。


「早く決断して下さい。トリちゃんが怒ってる。選択しないのであれば、一時的にアナタ達を眠りにつかせます」

「桐華、もういい!竜紋の力をそれ以上使うな!」


――ダン、ダン!


「桐華、お前……」


足を進めようとした西條へ、二発の銃弾が放たれる。

彼女は冷ややかな眼で、口を開く。


「西條さん、まだ十分以上余ってるよ。限界まで待つのは、アタシ達の役目。トリちゃんが、彼らには覚悟がないってイラついてる。その気持ちが、アタシにダイレクトに伝わってくるの。だから覚悟が出来るまで、アタシは手加減しない。零君から頼まれた、大事な事なの……」

「桐華っ!!西條さんっ!」


扉を開けて、亜理紗が大声で叫ぶ。

その声に反応し、その場の全員が亜理紗へと注目する。


「――零が、一人で……今急いで彼が追ってるの!私達を気絶させて、先にリヴァイアサンの元に行ったみたいなのっ!私の所為で……零がっ!!……ひぐっ」

「……分かったよ、あーちゃん……」

「……き、りか?」


亜理紗を抱き締めて、桐華は囁く。

誓いのように、約束のように、強く抱き締めて彼女は言った。


「アタシとあーちゃんはライバルだから、取り合う相手がいないと困るもんね」

「……あはは……それ、ここで言う必要ある?」

「帰ってきたら、皆でお菓子食べようね。いつも通りの日常が、ウチにとって大事な時間だから」

「桐華、口調戻ってるわよ」

「それを言うのは、野暮だと思うよ。あーちゃん」


桐華は立ち上がり、他のドラグニカへと視線を戻す。

そのまま竜紋を翳し、息を吸って言った。


「――今からリヴァイアサン討伐、及び撃退をしに行きます。覚悟の出来た者、覚悟の出来ていない人も聞いて欲しい。アタシ達ドラグニカにとって、他のチームも同様ライバル関係でしかないかもしれない。でもね、皆持ってる考えや個々の能力が違うけど分かり合える!それが出来るって、アタシは知ってる!」


過去に彼に言われた一言、それを桐華は思い出しながら言葉を繋げる。


「アタシはドラグニカは仲間でもあると思ってる!その仲間が、今戦ってる。なら、アタシはその人を助けたい!」

「桐華……(こんな大声出してる彼女、私初めて見たかも)」

「助けなきゃダメ!仲間って、助け合うべきだからっ!!……それだけ、先に行ってきます」

「桐華、私も行くわ。こうなった責任は、私にもあるから」

「うん。ありがとう!」


……零君、アタシはアナタへ恩返しをしなくちゃならないの。


・・・・・


『何で一人でお弁当食べてるの?』

「…………」

『じゃあ一人事言おうかな。お節介だと思われるかもだけど、藍原さんは僕のクラスメイト。それで友達と勝手に思っても迷惑かもだけど……』


桐華は、目の前の彼へ視線を向けた。

その思い出は、彼女の中に印象強く残されている記憶。

彼は手を伸ばし、一人でいる桐華へと近付く。


『……一緒に行こう。他の人が信じられないのなら、まずは僕から信じてみなよ。これは勝負ね』


軽々しく信じろと言われるとは、考えてもなかったけど。

それでも彼女は、自然と彼の手を笑顔で掴んでいた――

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