表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

【訓練開始】

――ドラグニカ育成機関日本支部。その中で、日本のドラグニカかが集まっていた。

だが集まっているというより、警戒の渦と火花が飛び交っていると言ってもいいくらいだ。


「ねぇ零、どうして彼を連れて来ちゃったのよ?」

「…………」

「ねぇってば、無視しないでくれる?」

「オレは零だが、零じゃないんだ。詳しくは零が起きたら聞け。亜理紗、オレはオマエと話す事は何もない。ただ今から戦う敵は、オレたちだけじゃ倒す事は愚か撃退だって無理だ」


零の言葉を聞いた他のドラグニカが、一斉に零の方へ向く。

だがそんな状況が慣れているのか、そのまま言葉を零は続ける。


「ここ日本支部では、まだ一度も龍を相手していない。実力不足と思っても、間違いではないだろう?」

「…………」


周囲の睨みが消え、一気に空気が変る。

零の「オレ」という口調の状態を見るのは、周囲の者は初めて見るモノだろう。

雰囲気が違う零に対して、どう接すればいいか戸惑っているようだ。


「オレと話すよりも、竜也。これからの対策を出した方が良いだろ。少なくとも竜也は、ここにいる奴らよりも龍と対峙しているんだ。そうだろ?」

「まぁ確かにそうかもしれないが……反応的には、合意は出来ない様子だぞ?」

「まぁさっきまで戦っていた反応がオレたちで、その相手がここにいるんだ。普通はそうなるだろう。……だけど一応、オレには考えがあるんで」


座っていた零は立ち上がり、他のドラグニカのメンバーの前に足を進めた。

前に来た零を見て、彼らは全員息を呑む。


「……そうビビるなよ。今のオレは零であり、零ではない。だけどここで過ごした記憶は共有しているから、多少の事は理解しているつもりだ」

「(ドコが理解してるのよ、零より目立ってるわよ)」

「ここにいる竜也は、オレの兄でありドラグニカだ。ドラグニカである以上、オレたちの仲間だ。納得出来ない者は、オレが力づくで処理するから覚悟しろ」


零の言葉によって、周囲がざわつく。

不満の声などの不評の声が飛び交う中、零はまだ言葉を続けた。


「今からやるのは龍の撃退か討伐だ。分かっていると思うが、命のやり取りだ。覚悟も出来ない奴らと共に龍を撃退なんて、オレには無理だね。明日には、完全にリヴァイアサンが上陸するだろう。そうなる前に片付けたい。覚悟の決まった奴から、オレの元へ来い。……行こう、竜也」

「……あ、ああ」

「……ちょっと!零!待ちなさい!」


零が竜也の手を引っ張り、部屋を後にする。亜理紗は、それを追いかけるように彼に着いて行った。

取り残されたドラグニカたちは、腹を立てながらも考えるのだった。

これから対峙する、その覚悟を――



「――零、あれはどういうつもり?」


部屋から離れ、支部の屋上へ来た零に亜理紗はそう言った。

零は荒れてる空を見ながら、口を開く。


「あれって、どれだ?」

「決まってるわよ!あんなに挑発じみた話し方、零の考えとは思えないわ。あれじゃ、零が悪役よ?」

「その悪役になる事が、オレの役目だ」

「――え?」


零は思い出すようにして、亜理紗を見て言葉を続けた。


「あの時の奴らは、龍では無く竜也を警戒していた。あの状態で戦えば、確実に死者が出るだろうとオレは考えた。そんな事になれば、オレ自身が許さない。そう思ったから、奴らの警戒を竜也ではなく……オレへと警戒心を傾けさせれば、ある程度は気持ちが変るだろうと思った」

「そしたら、貴方を襲うかもしれない人だって――」

「それは分からないが、それはそれで好都合だ。オレはあの時、言ったはずだ。「納得の出来ない者は、オレが処理するから覚悟しろ」ってな」

「……だから、俺まであの場から身を引かせたのか」

「それもあるけど、もう一つ。奴らを鍛える人間が、ここ日本支部には二人いるのさ。明朝まで、オレは待つよ。彼らなら、期待に答えてくれるさ」


そう言って、零は口角を上げた。

零の笑みの理由が何なのか、亜理紗と竜也には分からなかった。


・・・・・


ドラグニカ育成機関日本支部、訓練場。

先ほどまで零がいた空気とは別で、不安や不満。文句の声が上がっていた。


「……ったく!なんなんだよ、あいつ!」

「雰囲気が変っただけで、良い度胸してるよな。落ちこぼれの癖にっ!」

『――何だお前たち、随分と不満そうだな?』


ふと彼らに投げられた言葉、彼らはその人物を見て安堵した。


「――西條先生っ!」

「……おう。お前たちは一応無事だったか」

「はい!ですが、零の奴がさっきいきなり」

「――妙な提案やリヴァイアサンを撃退するとか言ったか?」

「はい!その通りです!流石先生、良く分かって……え?」


愛想を振りまいていた彼はの身体が、突然宙に浮き出した。

いや彼が、西條が彼に投げ技を掛けたのだ。

そのまま投げ飛ばされ、訓練場の端へと激突する。


「……なっ!?先生、何を!?」


――ダン、ダン、ダン、ダン!


「――ひっ!?」


駆け寄ろうとした一人に向かって、銃声と共に足元に穴が空く。

そのまま銃声の聞こえた方向へ、彼らは視線を動かす。


「零君に頼まれたので、これから訓練を開始します」

「……あいはら、きりか?」


桐華の姿を見て、彼らは動揺を隠せなかった。

何故なら彼女の姿が、彼女の龍「トリシューラ」を纏っているようにしか見えないからだ。

そんな彼らを放って、桐華は言葉を続けた。銃を彼らに向けたまま……


「制限時間は一時間。これからアタシと西條さんの二人から、一本取ったらアナタ方の勝ちです。一時間以内に傷を負わせられなかった場合、アナタ方の竜紋を皮膚ごと剥ぎ取ります。アタシはこんな事したくありませんが、零君をアナタ方は落ちこぼれと言いましたので。……本気で行きます」

「……な……先生っ!」

「俺の元へ来ても同じだ。制限時間内にお前たち全員で、俺か桐華或いは両方から一度だけ傷を付ければ良いだけだ。その代わり、俺も本気で行く。悪いが俺も、本気で行くぞ?」


・・・・・


「……始まったか」


西條と桐華は彼らを挟み、半ば無理矢理に訓練は開始された。

始まった頃合で、零は呟いた。

それから顔をうつむかせ、言葉を続けた。


「――先に行ってるぜ?」


彼がそう話す目の前には、倒れている亜理紗と竜也の姿があった。

彼は彼らの頭に手を置き、そう呟いてその場を後にした――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ