【初任務】
「……龍なんて嫌いだ」
そう、少年は語った。何故少年は、龍が嫌いなのか。
……それは
「俺は龍によって、生まれたんじゃない」
少年は剣を構え、剣先を黒い龍へと向ける。
「――お前の所為で、俺は……俺は何もかも、奪われた存在だ!!」
――はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
少年の声が、雨音と共にその場に響き渡る。
ドラグニカの少年、霧原 零とその魔剣が龍に牙を剥く。
こうなったのは、約半年前まで遡る――。
――半年前。
龍災から数十年、人類は安息な平和を取り戻しつつあった。
だが新人類誕生を際、能力を持たない者による反発。
いわゆるクーデターが起こっていた。
「……よし、準備オッケー。お前らも、大丈夫か??」
「何で貴方が仕切っているの?」
「ウチは問題ないよ、いつでもイケる」
上空から見上げる人々は、まるで何かの群れのようになっていた。
もし今の状況で、龍災が再び起きたら大変な事になるだろう。
「じゃあ行くぞ、ミッションスタートだ!」
零はヘリから飛び降り、上空から地上に急降下を始める。
それに続くよう、彼女達も同行する。
「零、貴方は見てるだけの方が良いんじゃない?」
「同感。むしろウチらだけで、片付けられるミッション」
『目標裏口へ向かっている。Dチーム、不本意だが後は任せる』
無線のざわつく音を聞き、彼らは再び地上を目指す。
「よし、さっそく反乱軍(仮)を倒しますかぁ!」
ビュン、と空気を切り裂いて地上へ向かう。
そんな彼を彼女達は、頭を抱えて見てるのだった――。