【究極の選択】 [桐華編]
私達ドラグニカの中には、人々に恐れられているモノが存在している。
龍の存在・出現によって、それはもうどうしようも出来ない真実。
実際私達は、忌み嫌われた存在だ。
……ドラグニカは、龍から生まれた災害の種だ……
「――あーちゃんっ!!!」
桐華が叫ぶ声が聞こえはしているのに、身体が反応しない。
視界で広がっているのは、ただの黒い世界。
まるで、深海の遥かそこのように。光が届かないような、そんな場所だ。
私が見ている世界は、見てきた世界は紛い物かもしれない。
今の私がいるこの真っ暗な世界こそが、本当の私の世界なのかもしれない。
……黒くて、寒くて、寂しい世界。
多分この世界は、私の本質そのものだ――。
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亜理紗と初めて会ったのは、日本支部へ配属して間もない頃だ。
その頃のウチは、他人への関わりを断絶した状態だった。
壁を作り、距離を取り、関わらないようにしていた時。
唯一関わっていたのは、霧原零という男の子ぐらいだった。
配属して数週間後、ウチは彼女に出会った。
「ねぇ、貴方私たちのチームに入らない?」
「え、でも……」
桐華は視線を動かし、彼へとそれを向ける。
霧原零は、中学でのウチの恩人だ。
「ん?貴方、零の知り合い?」
「――へ!?」
視線を追われたのか、唐突にそんな事を聞いてくる彼女。
ウチは動揺し、一つの疑問が浮かんだ。
「……えっと、君は零君の知り合い?」
「……ふむ。……」
少し考えるように腕を組む彼女。数秒後に何かを閃いたのか、手の平を叩いていた。
「ああ、なるほど。貴方が、零の言っていた女の子ね」
「それって、どういう?」
そっと彼女は近付き、ウチの耳元に口を寄せてくる。
何を言われるか、その時は言われた事すら理解出来なかったけど……。
ウチは、その言葉を彼女への友の誓いにしたのだ。
――じゃあ私達、最高のライバルかもね――
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龍の力を持ち、竜紋を刻まれた存在。
そしてドラグニカとなった者は、常人には真似できない特殊な力を手に入れる。
ただし……
「――っ!!」
「(速いが……無駄だ)」
彼女は槍を突き出し、俺へと突撃してくる。
だがそんなモノは、俺には通用しない。
〝自我を失った状態の彼女の攻撃〟なんて、尚更だ。
ただし……特殊な力には、上限が存在する。
彼女、藤堂亜理紗は、その上限を超えてしまったドラグニカだ。
龍の力を持つが故、その強大な力は一時的な暴走状態へと入ってしまうケースがある。
暴走状態の彼女を止める方法は、二つ存在する。
「おい、桐華。お前に良い事、教えてやるよ」
「……なに?」
「まぁそう警戒すんなよ。お互い今は、亜理紗をどう抑えるか。それが今の課題だろ?」
「言いたい事はそれだけ?(どういう事?……あーちゃんを抑える?竜紋が暴走している状態での対処法は、ウチでも知ってる。けど、そんな事……)」
「まぁ敵の言葉は信じる事は、難しいだろうな。じゃあ一つ、提案だ」
「提案?」
「提案というよりは、お前に選択肢をやるよ。今から言う事、しっかり考えろよ」
彼は攻撃を交わしながら、桐華へと言葉を発する。
ただその言葉は、今の桐華にとって究極の選択だ。
――彼女をここで殺すか、竜紋を封印し永遠に殺すか。どっちが良い?――




