【龍災の種】
灰色の空の中、僕は一つの柱を見た。
空へ伸びるその光の柱は、なんだったのだろうか。
僕はその事を考えながら、自分の中へと話しかける。
「僕は、人形なのかな?ウロボロスはどう思う?」
『そんな事を気にするのか?我が主は』
「そんな事でも無いよ。これから戦う事において、多分必要な事だと思うんだ。僕が人形で、彼が本当の霧原零というのであれば……僕はそれを、僕自身を彼に譲るつもりだから」
――ドクン、と鼓動が大きく跳ねる。
鼓動は傷みとなり、竜紋へと流れ込む。
「――っ!?」
竜紋に触れた途端、頭の中をある映像が流れ込む。
暗闇、風と水、そして……
「――亜理紗っ!!!!」
『我が主、何をそんなに急ぐ?』
走り出した彼に対して、彼の中にいる龍が問いかける。
奥歯を噛締め、彼は言った。
「沈んでいってた。亜理紗が、真っ暗な世界に飲み込まれそうになっていた。まるで嵐の中で、海で溺れてるみたいに!」
『彼女の竜紋は確か、リヴァイアサンだったか。ふむ……主よ、少々急いだ方が良いぞ?』
「言われなくても、急いでるよ!」
『遅くなれば、彼女を手にかける必要がある』
「……っ!?それってまさか!」
嫌な予感しかせず、彼は急ぐ。
鼓動と共に、彼は焦りと不安を募らせていく。
だが彼はまだ気づかなかった。
自分自身の中に眠る、もう一つの力に……。
・・・・・
龍災の原因の一つは、『龍の出現』だ。
そしてもう一つは、今の彼女がまさしくそれだ。
「……状況はどうなっている!」
「西條さん。……現在、東方面ここから約十キロの距離において戦闘が行われている模様。現在位置にて、先ほどトリシューラと不明種と……」
「どうした、トリシューラと不明種となんだ!」
「――危険域、レベルAへ上昇中。リヴァイアサンの反応です」
「危険域、レベルAだと!」
「――追加報告!本部より伝令!」
「今度はなんだ!」
モニターの地図を確認し、工作員が数人手を止めた。
この日本支部で、恐らく初めて見る者の方が多いだろうという存在。
「……龍がこちらに向かって来ている、だと……――くそっ!今すぐどの龍かを確認しろ!」
「――ハッ!」
敬礼をし、工作員は作業に入る。
すると、数秒後にモニターへとそれが映される。
「確認した結果、接近中の龍はリヴァイアサンタイプと思われます。数は一、ですが急速接近中!!」
「日本で二度目の龍災……なんとかしなければ、人類は再び未曾有の被害に遭うぞ」
龍災の原因のもう一つは、『竜紋所持者の暴走』である――




