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むいかめ


 ぼくは自分の部屋のクローゼットの中に身を潜めていた。ドッペルゲンガーが寝静まるのを確認し、その上で殺害を確実に行うためだ。今日は両親も帰ってこないと知っていたため、タイミングも最高だ。やがて、のんきな顔をしたドッペルゲンガーが姿を現した。ぼーっとした表情の彼はそのままベッドに向かい、静かな寝息を立て始める。なんという無防備さか。これではまるで、殺してくれと言っているようではないか。ぼくは静かにクローゼットの扉を開けると、懐から黒いビニール袋を取り出した。ドッペルゲンガーの顔を見たが、死ぬことはなかった。しかし目を開けられたらどうなるかわかったものではないので、なめらかな動作で、ドッペルゲンガーの頭部に黒いビニール袋を被せていく。目が覚めた相手の視界を奪うのと、窒息しやすいようにするのが目的だ。幸いにも、この過程でドッペルゲンガーが目を覚ますことはなかった。次に、暴れられても抵抗できるように手と足に簡易的な拘束具をつけさせてもらう。ビニール紐とガムテープを併用することで、そう簡単には外せないほどの強度にはなっているはずだ。ドッペルゲンガーの腕と足を拘束したぼくは、あらかじめ用意しておいた電気コードを、ビニール袋ごと思い切りドッペルゲンガーの首に巻き付けた。


「ひぎっ!?」


 何やら蚊の鳴くような声が聞こえ、眠っていたドッペルゲンガーが目を覚ます。身体をくねり、凄まじい力で抵抗されて手を離しそうになるが、ここでやめるわけにはいかない。あらん限りの力を振り絞って、全身全霊の力を込めてドッペルゲンガーの首を締め上げる。しばらくそのままでいると、ドッペルゲンガーからの抵抗はなくなった。おそらく死んでいるが、万が一ということもある。僕はそのまま、しばらくドッペルゲンガーの首を締め上げ続けた。三十分ほど経過したのを確認し、ぼくはドッペルゲンガーから手を離した。念のためにドッペルゲンガーの状態を確認するが、心臓は止まっているし、呼吸もしていない。完全に死んでいる。ドッペルゲンガーだからといって、殺した死体が消えるということはなかった。苦しみのあまり凶相を浮かべたままの顔は、ぼくを責めているように見えた。その視線が耐えきれなくて、ぼくはそっとドッペルゲンガーの目を閉じさせる。何かに駆り立てられるように、ぼくはすぐにドッペルゲンガーの頭と胴体を切除する作業に入った。死後硬直が始まる前にあらかたの作業は終えておきたい。首に包丁の刃を刺し込むとおびただしい量の血が溢れ、バケツの中の赤黒い液体の水位は増していく。おばさんのときもそうだったが、脂肪が刃にくっつくせいでうまく切れない。四苦八苦しながらも、なんとか胴体と頭を切り離すことに成功した。続きの作業は少し血が抜けてからすることにしよう。


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