よっかめ
その翌日。
学校のトイレの中で汗をだらだらと垂らしながら、ぼくは途方に暮れていた。
……どうすればいいんだろう。
どうすれば皆に、ぼくが本物のマコトだって信じてもらえるんだろう。
昨日哲也と話していたあのドッペルゲンガーのマコトくんは、冷房の効いた教室の中で授業を受けて、休み時間は馬鹿騒ぎしながら過ごしていたに違いないのだ。
何の不安も、不満もなく。
どうしてぼくが、ぼくだけがこんな目に遭わなければならないのか。
わからない。
わからない。わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。
許せない。許容できない。
今すぐにこの異常な状況から抜け出したい。
今すぐにぼくはほくをぼくを取り戻さなくてはならない。
そのためには――、
――ああ、そっか。
殺せばいいんだ。
あいつを殺せば、ぼくは晴れて自由の身だ。
それに、ちょうど一週間後、あいつはぼくのことを殺しに来るという。
そんなことはさせない。
ここまでの理不尽をぼくに与えておいて、その上殺そうなど、いったいどれだけ傲慢になればそんな考えが浮かんでくるのか。理解に苦しむ。
行動を起こすとしたら、一週間経つよりも前、つまり明日か明後日だ。
ドッペルゲンガーくんには、できるだけ苦しんで死んでもらうことにしよう。