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無題

作者: 浜田 健之

ほんとに暇な人だけ見てください。

「さっきウィキ見たらぁ~フランスの社会的地位ではパティシエは日本で言う医者に相当するらしいんすわ~」ドヤァ


 俺の名は鳳凰院まさし、洋菓子店「ストレイドッグス」でパティシエとしてスイーツ(笑)を作っている。


「ということでBBA~俺の給料もう少し上げてくれてもいいんじゃないですかねぇ?」


「そもそもここはフランスじゃないわよ……」


 この洋菓子店はBBAが経営しているのだが、パティシエは俺ひとりしかおらず、俺が一人で全ての商品を作っている……俺ってばマジ重労働。


「ていうかあんた昨日仕事サボっといてよくそんなことが言えるねぇ……ていうかあんた接客はできないしプリンしか作れないじゃないの!」 


「そうでした……テヘッ☆」


「いいからさっさと開店の準備しな!」


「へ~い」


 俺は仕方なく店のシャッターを開けて、店の看板犬ポメラニアンのしげるを散歩に連れて行くことにした。

小学生を観察するためにしげるを散歩に連れていくのは毎朝の日課なので慣れているが、しげるが散歩の途中、JS(女子小学生)に出会ってしまうと片っ端から飛びかかっていってしまうのが困り者だ。まったく誰に似たんだか。



 まじこの生活疲れたわ……空から幼女降ってこねえかなあと考えたその時、何やら青空に黒っぽい点が見えた。鳥や飛行機にしては動かないしなんかだんだん大きくなっているような……


 そう考えているうちにだんだんと形がわかってきた。


 それは、紛れも無く幼女だった。


「幼女ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

 

 クソッ!パンツが見えそうで見えん……


 何故何もない青空から幼女が落ちてくるのか、などという疑問は一瞬で打ち消して俺は目を凝らしていた時、あることに気づいた。


 ハッ!待てよ、いくら幼女でもあの速度で俺の上に落ちてきたら……だが俺がよけてしまうと幼女は無事ではすまないだろう。


「畜生! どうすればいいんだっ!」

 

 俺が諦めかけたその時。


「まさし! ここで諦めるんでごじゃるか!?」


「えっ」俺は自分の耳を疑った。何故ならその声は俺が今散歩している犬のしげるから聞こえたからだ。


「まさし! お前ならいけるでごじゃる! 諦めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 俺は、俺は今までいろんなことを諦めてきた……少し現実を知ってしまっただけで……自分の限界を自分で決めてしまって……またここで諦めていいのか!?いいわけがない!


 俺は、俺は――――――――



「俺は幼女が大好きだぁ! 幼女なしでは生きていけない! 幼女こそ宇宙の真理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「まさし! よく言ったでおじゃる!」


 てかなんでコイツ普通に喋ってんの……怖。

 と、ここまでのやり取りの間に幼女との距離は既に数メートルとなっていた。


 そして俺は覚悟を、決めた。


「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおぉおぉぉぉぉぉぉおぉおおおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉおぉおおおッ!」


 そして、俺は、幼女の体を、受け止めた。


「あ……れ……?」


 俺は驚いていた。


 何故なら。


 受け止めた幼女の身体が、とても――とてつもなく、軽かったからだ。洒落にならないくらい、不思議なくらい、不気味なくらいに――軽かったからだ。


 ここにいないかのように。


 そう。


 幼女には、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかったのである。


 とは言ってもまさしはろっ骨を5、6本持っていかれた。


「君は……一体?」俺は恐る恐る問いた。


「私はジョナサン! 私と契約して、連帯保証人になってよ!」


「喜んで」


「一件落着だな。しげるはキメ顔でそう言った」


「さて、お前らプリンは好きか?」


「うん! 私プリン大好き!」


「僕も大好きでおじゃる! フヒヒッ!」


「まあ俺は作らないんですけどね! バロス!」


 そして散歩の帰り道、俺はいつものようにコンビニに寄りデザートコーナーへと足を進めた。


「お、よかった~今日はちゃんと置いてあるみたいだ」


 俺は棚から今日店に並べるプリンと自分用に1つカゴに入れ……


「おっといけねえ、忘れるところだったぜ」


 そう言うと俺は、カゴにもう3つプリンを入れた。


  **********

 

 店に帰るとBBAが待ち構えていた。


 「遅かったじゃないの! もう開店の時間よ! 全くアンタって奴は……」


 と口では怒っているが、顔は笑っていた。


 しげるも、ジョナサンも笑っていた。


 気がつくと、俺も笑っていた。


 その時後ろでカランコロンとドアの開く音がした。


 「ん、どうやらお客さんが来たようだぜ」


 「せっかくですから皆で挨拶しましょうか」


 「そうでおじゃるね……フヒヒッ!」


 「じゃあ行くよ……せ~の!」


 「「「「いらっしゃいませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」」

 

 店内は朝だというのにとても賑やかで、温かくて、


 

 ――――心地良い。

 


 あぁ、今日も平和だな……。



    

~~完~~

色々と思うところはあると思いますが、それは胸の奥にしまっておいてください。

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