オフィーリアのための塔
灼熱の太陽の光で肌が焼け付く。
頭上から噴き出た汗が目に入り、えらく痛む。
それでも一心不乱につるはしを振り続けることに、何の意味があるのだろうか?
そんなことを思いながら、天高く聳える塔を見上げた。
また同じ1日が始まる。
薄い布団から体を起こし、泥だらけの作業着に着替え、俺と同じような格好の人間が隊列を組んで現場に向かった。
あまりに過酷な環境に、逃げ出す輩もいる。
だが、その後の消息はわからない。
そいつらが生きているのか、死んでいるのかすら。
「お水、持ってきました〜!」
女たちが大量の水瓶を持って、作業員たちに配り歩く。
息をするたびに、体の内側まで焼かれていくようなこの砂漠では、彼女たちの存在はまさにオアシスそのものだった。
「はい、アラン」
オフィーリアが笑顔で水を渡してくれる。
カラカラに乾いた身体に、キンキンに冷えた水を流し込み、心まで潤ったように思えた。
心なしかいつもより水も美味しく感じる。
「もうすぐ、できあがりますかね?」
オフィーリアは天空の塔の先を見ながら、俺の横に座る。
「どうだか…。一体どこまで作るんだか…」
俺は呆れながら言った。
耳の奥ではまだ金属がぶつかる音が鳴り響いている。
「でも、この塔ができあがれば、神のいるところに行けるんですよね!
私、願いがあるんです…。どうしても叶えたい願いが。」
儚げな横顔があまりに美しく、ゴクンと生唾を飲んでようやく喉の奥から声を発した。
「ど…んな?」
すると先ほどの女性とは打って変わって、子供のような無邪気な笑顔で
「内緒です」と、人差し指を口元に当て、少し頬を赤らめ走り去っていった。
束の間のぬくもりと、途方もない気だるさを持ち合わせながらも、俺はまたつるはしを握り、土壌を強く掘削していた。
まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃのように、気づけばまた同じ動きを繰り返していた。




