第21話 ノブオとジュンジがジシャコウへ(三) ②
「福田さん、明日も来ますよね? 明日からもう車乗れますから、これ予定表なんですけど」
おねえさんは一か月分の学校の時間割表をジュンジに見せる。
「もしよかったら、こちらの方で福田さんの時間割の予定を組むことができるんですが、どうですか?」
「えっ、僕の時間割を作ってくれるんですか?」
ジュンジのリュックにしがみつきながら話を聞いていたノブオも驚いた。
自動車学校側が個人の時間割を組んでくれるなんて、そんなのあるのか……
普通だったら、乗ってくるバスも授業の時間も個人が自分の都合で合わせ、申し込んだり、予約したりするものだろうに……
そして、ノブオは気づいた。
これは取り立てて予定のないジュンジにとっては、時間割を勝手に組んでもらうことは、かなり楽であり、有難いことだ。
尚且つ、学校側からすれば、学校にとって都合よく予定が立てられるってことか。
学生さんや主婦は忙しく、なかなか学校の都合に合わせることは難しい。
ところがジュンジのような暇な人なら、うまいこと誘導することができる。
何故って、それは習いに来る人が少ないから……
なるべく座学は一対一の個別指導にならないようにとか、暇な指導員がいるときに暇をつぶせるようにとか、そんなところだろう。
見え見えなんだよ、フフフ……とノブオは一人でほくそ笑んだ。
「じゃぁ、時間割、作ってください。お願いします」
これは楽だな、と単純に思ったジュンジはおねえさんに言った。
「では、大まかな時間割を明日作ってお渡ししますので。とりあえず、明日は朝のバスで来てもらって、学科二限と車は二限分入れときますね」
おねえさんは言いながら、一か月分の予定表の明日の日付分の所にだけマーカーを引いた。
「じゃ、それでお願いします。あの、今日はこれで終わりですよね?」
「はい。今日は終わりですね。あっ、でも帰りのバスの時間まであとニ十分くらいあるので、試験勉強のやり方をちょっと説明しましょうかね」
「あぁ、そういえば……さっきの入校説明の時に校長が言ってたっけ。でもよくわからなくて。ぜひ、お願いします」
「はい、ではこちらに来てください」
おねえさんはカウンターから出ると、自販機の並ぶ休憩スペースの方へと向かう。ジュンジもそれに続いた。




