第21話 ノブオとジュンジがジシャコウへ(三) ①
フラフラしながらA教室を出、カウンターの横に差し掛かったとき、事務のおねえさんに呼び止められた。
「福田さん、次は1段階の学科1を受けてもらいますから。またA教室に行ってくださいね」
「はっ? まだあるんですか?」
ジュンジはイラついた。
「えぇ、今日はさっき適性検査を受けられた方たちも一緒に、みんなで受けられますから。それに、これを受けないと実技、車に乗ることができませんから」
おねえさんの口調から、今日やってもらわないと困るんだよ、という念がこもっていることがひしひしと伝わってくる。
今日ならみんなで受けられる、そうじゃなければ一人だけになるよ、と暗に言っているのも恐ろしい。
「はい……A教室ですね」
はぁ、と思わずため息を漏らしながら、渋々ジュンジはA教室に帰っていくのだった。
教室には先ほどの同志たちが、さっきと同じところに座っている。
ジュンジも席に着くとほぼ同時に、また別の指導員のおじさんが入ってきた。
「はい、どーも、どーも。じゃぁね、タイムカードくださいね」
そう言いながら、おじさんはみんなのタイムカードを回収していく。
「では、ですね。学科1を始めますね」
おじさんは教卓の所へ戻ると、持参した教科書と同じ内容のDVDをテレビのデッキに入れ、それを再生し始めた。
いつの時代に撮られたのだろうか。とてつもなく古くさい様子の映像が流れる。
それをなんとなく見ては、途中で説明がちょっと入る、そんな時間はゆったりと過ぎていくのだった。
五十分間がようやく終わり、ジュンジは再びA教室を後にした。
これで今日は終わりだろう。同志たちも次々と教室から出て行った。
そしてまたあの因縁のカウンターの横へ来たとき、やっぱりおねえさんに呼び止められるのだった。




