第19話 ノブオとジュンジがジシャコウへ ②
ひたすら濃い緑の木々や畑、田んぼが続いている。高層の建物はほぼない。
時々、一軒家がぽつぽつあったり、そうかと思えば突然大きなスーパーセンターが一つだけあったりする。
そして、ちょっと開けたところに来たと思ったら、人がいるのかいないのか不安になる程、寂れた小さな商店街があるくらいだ。
二人は夢中で外を見続けていた。
不思議なところへ来てしまった、そんな気がした。
自車校のバスは度々、変なところで停車する。
どうやら学校に着く時間を調整するためのようで、運転手さんは時計を気にしている。
誰か乗ってくるとかそんなことはない。
結局、ジュンジと肩乗りノブオ以外に、人が乗ってくることはなかった。
ちょうど三十分で自車校に到着した。
「はい、着きましたよ」
運転手さんは後ろを振り向き、にっこり笑った。
「あっ、どうもありがとうございました」
ガチャガチャとシートベルトを外しながら言うと、ジュンジはよいしょっとバスを降りた。
降りてみて、ジュンジもノブオも驚いた。
完全に周りを木々に囲まれている。
まるで、格の高い神社の神聖な境内に入った時のような、ピンと張りつめたなんとも言えない空気感があり、それこそ童話の世界のような風景だ。
ここは本当に自動車学校なのか……
と思うが、規模は小さいながらも、ちゃんと練習のためのコースはあるし、決して多くはない教習車が数台、並んでいるのも見える。
「なんか……すっごい所に来たな、俺たち……」
ノブオは固唾をのんだ。
ジュンジがキョロキョロしているので、さっきの運転手さんがまた声をかけてくれた。
「今日、入校の手続きするんでしょ? あそこ入って、カウンターとこで言えばやってくれっから」
運転手さんの指さす先には、校舎入り口の自動ドアがある。
「あっ、はい。あそこか……ありがとうございます。行ってきます」
「頑張ってなぁ」
じゃっ、と運転手さんは校舎の中に入るわけでもなく、いずこともなくカッコ良く立ち去った。




