第19話 ノブオとジュンジがジシャコウへ ①
久しぶりに走り、ワクワクが動悸に変わり果てたジュンジは、ぜぇぜぇと全身で呼吸をしながらカーブミラーの下へたどり着いた。
呼吸が落ち着いてくる頃、右側からそのような車が走ってくるのが見えた。
「ノブオさん、あれかな?」
「うーん、それっぽいけど……どうかな?」
美希果には手を上げるなり合図を送れと言われたが、違ったら恥ずかしいような気もして、ジュンジと肩乗りフェアリーノブオはワゴンの運転手を見開いた眼で凝視し、強く念を送った。
すると、運転手もジュンジのことを探していたようで、がっちりと目が合った。
運転手はウィンカーをチカチカさせると、ジュンジたちの前に止まった。
ワゴン車のサイドにはブルーのラインに自動車学校の文字が入っている。
間違いなく、自車校のバスだ。
ジュンジは後部のドアを力いっぱい引くと、車に片足入れながら、めいっぱい愛想よくあいさつする。
「こんにちは。今日からお世話になります。福田です」
「あぁ、どうもどうも。福田さんだね。ご苦労さんだなぁ」
強めの独特な方言イントネーションで、運転手のおじさんも感じよく返してくれた。
バスには他に誰も乗っていない。
ジュンジはいそいそと運転手さんのすぐ後ろ、二人掛けの椅子の通路側に座ると、シートベルトを締めた。
ワゴン車は静かに走り出す。
道中、ジュンジと肩に乗るノブオはずっと外の風景をキョロキョロと眺めていた。
二人の住んでいた地域とは全く違う世界が広がっている。




