第17話 ジシャコウ ③
「遅いぞー、二人とも! おそろパジャマ、めっちゃ似合ってんじゃん」
ジュンジとノブオを見ると、嫌味などではなく素直な気持ちで、雅親は言った。
「あっ、うん。うん……うわぁー、ごはん美味しそうだね」
ジュンジはパジャマのことにはあまり触れてほしくはなかった。
だが、テーブルの上の料理を見て嬉しくなる。
わかめの味噌汁、玉子焼き、サケの切り身に千切りのキャベツが添えられ、また納豆のパックまである。ちなみに、ひきわりだ。
こんなにちゃんとした朝食は、ノブオもジュンジもかなり久々だった。
「はいはい、食べますよー!!!」
お盆に人数分の茶碗をのせた美希果がやってきた。白く登る湯気が炊き立てであることを、お米たちが誇らしげに見せつけてくる。
茶碗はたんたんたんと、調子よくそれぞれの前に並べられた。
「いただきます!!!」
美希果も席に着くと、四人は元気に声を合わせた。
「わぁー、めちゃくちゃ美味しい! 雅親君はいつもこんな美味しい朝食を食べてんの? いいなぁ」
「本当、本当。俺なんて人にごはんを作ってもらうこと自体が何年ぶりか……」
ジュンジとノブオがあんまり喜んで食べるので、美希果もまんざらでもない。
「二人が納豆好きかどうかわからなかったけど、ここの家ではいつもこのひきわり納豆を食べるから」
ちょっと照れながら美希果は言った。
「いやー、好きなんだけど、納豆は久々に食べるなぁ。ひきわりなんて本当に久しぶり」
納豆にタレを入れ、グルグルしながらノブオが答えた。
「僕も納豆、大好きですよ。前にダイエットしようと思って、やたらと食べてた時期もあったし……」
「へー、で、痩せたの?」
ダイエットなど一度も考えたことすらなかった雅親は、納豆でダイエットするという発想がなかった。
「えっ、まぁ……納豆ばっかりだったから飽きちゃってさ。その……続かなかったから……」
「へー……」
歯切れの悪いジュンジの答えに、雅親もそれ以上聞く気は起らないのだった。
各々、多少の会話を挟みつつ、静かに食べていたその時、時計をちらっと見た美希果は突然、あっと声を上げた。
「ちょっと、ジュンちゃん急いで、急いで!!! バスがあとニ十分くらいで来ちゃうから!!!」




