第16話 座敷ハタチと淑女の出会い(三) ③
「その人がね、すごく怖い顔で私に怒るの。違うでしょ、早く気づきなさいって。その夢を見るとね、自然と好きだった人を急に嫌いになったり、好きだって言ってくれた人も私から離れていくの。今まで、ずっとそうだった……」
そこまで聞いた雅親は、無意識に、堰を切ったように初恋の人の話を始めた。
そして、その人の生まれ変わりが美希果であると、確信をもって告げていた。
どんな風に話し、説明したのか全く覚えていない。
美希果はその話を聞き、はっとした。心のモヤが一気に、全て晴れたようになった。
母が亡くなった悲しみさえも、どこかへ消え去ったかのように。
「そういうことだったのね……だから、だから……」
涙を流す美希果は立ち上がると、テーブルの向かいに座っていた雅親のところへ行き、そして強く抱きしめた。
「だから……だから……」
美希果は言いながら号泣する。雅親も泣きながら、美希果の背中を強く抱きしめ返す。
そして、そのまま熱いキスをし、そのまま……
「そのまま……一緒に夜明かし、したんだよね」
「うん……」
雅親と美希果はそれこそ熱く見つめ合う。
まさか、そんな話を聞かされるとは思っていなかったジュンジは、見つめ合う二人を見て顔を赤らめ、固まった。
「はぁーあ。そ、さ……さようでございましたか!!!」
壊れたおもちゃノブオは、その昔、音楽の先生によく言われた、頭のてっぺんから声を出すというのを今、世界中の誰よりもやってのけた。
壊れているので、音量の調節はきかない。
それは家中に響き渡り、この家は一瞬、時が止まるのだった。




