第16話 座敷ハタチと淑女の出会い(三) ②
「へっ? 何を……ですか??」
緊張し、唾を飲み込みながらジュンジは聞いた。
「美希果に、恋人はいないのかって……」
毎日、美希果は優しく笑顔を向けてくれる。でもそれは無理をしている……本当は辛くて、悲しくてしょうがないはずなのに。
そんな美希果を癒すことは自分には出来ないのかもしれない……だったら、誰でも構わない。美希果を癒す存在はいないのだろうか。
雅親はそう思い悩むようになった。そういえば、美希果に恋人がいたという話は、聞いたことが一度もない。
雅親は意を決した。それはある日の夕飯の時だった。
「あのさ、あの……なぁ、美希果……」
意を決したわりに、雅親の歯切れは悪い。
「えっ? 何、どうしたの?」
美希果はやはり、笑顔で答えてくれる。
「あの……ほら、もうこの家にはお前一人になっちゃったし、友達とかでもいいけど、彼氏とかさ、いるなら俺に遠慮しないで、遊びに呼んだり、一緒に住むなりしてみたらどうかなって……あっ、もしいないならさ、そういうパーティーとか行ってみてもいいんじゃないか? 気晴らしにもなりそうだし……」
ぼそぼそと早口で、やや下を向きながら、それでも努めて明るく雅親は言った。
「いないよ。そんな人……」
美希果はうつむき、答えた。泣いている。
「ご、ごめん……なんか、その……ごめん……」
「謝らないで。悲しくなるから……でも……」
「えっ、でも……?」
言いかけてためらう美希果に、雅親は聞き返す。
「不思議なの……私が誰かを好きになったり、私のことを好きだって言ってくれる人が現れるとね、必ず夢を見るの。とてもきれいな人、ちょっとだけ私と似ているような人……」
あっ、と雅親は思う。美希果は続けた。




