第15話 座敷ハタチと淑女の出会い(二) ③
感情を失ったアンドロイドのようになったノブオは、聞いているのかいないのか、ただ、うんうんと頷くのだった。
「おぉ、気になるか……じゃぁ、話すけど……」
美希果が中学生の頃の話だ。
この家の、おじいさんとおばあさんが立て続けに亡くなった。
二人とも亡くなる数日前から、雅親の姿が見えるようになり、この時、初めて会話を交わした。
そして二人とも、雅親を見て死期を悟ったようだったが、それでも優しく笑顔を向けてくれ、今までありがとう、と礼を言ってくれた。
そして雅親も、泣いてはいけないと思いながらも、号泣し、同じようにお礼を言うのだった。
雅親は自分のことを、おそらく霊のような存在なのだと思っていた。
だが、亡くなったおじいさんとおばあさんの霊だったり、魂だったりというものを、ついに見ることはなかった。
「だからさ、やっぱりジュンジもノブオも……もしかしたら……」
雅親は眉をひそめ、悲しそうな顔をあえてした。
「はぁ……もう、わかったから……」
こいつも面倒くせぇなぁ、とジュンジは心の中心で悪態をついた。
それでもやっぱり、ジュンジの心の叫びは伝わらない。というか、誰も興味なく、気にしていない。
「この頃から、この家はいろいろあったんだよ……」
そのうち、美希果の兄、カツヒロは家を出た。務める仕事の都合だ。
「その後、すぐに結婚して家庭を持ったって聞いたけど?」
雅親は美希果に尋ねる。
「そうそう。それでジュンちゃんも生まれたのよね」
「あぁ、そうですね。母さんと出会ってわりとすぐに結婚して、僕も早く生まれてきたから、新婚時代があんまりなかったんだ、なんて話……よく聞かされたなぁ」
ジュンジは、僕が生まれてきたのがなんか悪いみたいじゃないか……なんて思いながら聞いていたことを、じんわりと思いだした。
「カツヒロがいなくなったら、この家も寂しくなったよなぁ……」
こうして、この家には美希果の父、母、そして美希果の三人と雅親だけになった。
美希果は高校を卒業すると、そのまま近所のスーパーセンターに就職した。しばらくは平穏な日々を過ごしていた。
だが、事件は起きた。




