第14話 座敷ハタチと淑女の出会い ①
この家にもう一人、家族が増えてから、雅親にとっては特に変わりなく、平和な日々が続いていた。
台所に用意された食事を三食、しっかりと食べ、家の者が留守にするのを見計らって、テレビを見たり、ゲームをしたりする。
ときには、男の子の部屋にこっそり忍び込み、マンガも読んだ。
こうして、雅親はすっかり現代の生活文化に馴染んでいった。
あの人の生まれ変わりだと信じたその赤ちゃんも、平穏無事にすくすくと成長している。
そんな赤ちゃんがやっと、一言二言しゃべり始めるようになったある日、不意に雅親は話しかけられた。
「にーに、にーに」
まさに台所のテーブルで昼食の立ち食いをしようとしているその時、居間の方でつかまり立ちをした赤ちゃんは、こちらをガン見している。
「美希果ちゃん、にーにはこっちにいるでしょう? あぁ、そっちの大きいにーにも美希果にはちゃんと見えているのね」
お母さんは優しく、赤ちゃんに話しかけた。
そう、その赤ちゃんこそが美希果だった。
こんな小さな時から美希果だけは、雅親を見ることができたのだ。
「なんだ、死期の近い人だけが雅親君のことを見えるようになるってわけじゃなかったんだ……ちょっと安心したな」
ジュンジはほっとした。
「いや、美希果はそうだが……お前たちはまだわからんな」
ちょっと悲しそうな顔で、雅親は答える。
「そ、そんな……なんか僕の死期が近いとか……見えたりしないの?」
ジュンジがほっとしたのも束の間だった。
「言っただろ? 俺は神様じゃないの。そんなもん、わからん」
「はぁ……」
「まぁ、それでさ……」
それからというもの、赤ちゃんの美希果は時々、雅親をにーに、にーにと呼び、話しかけるようになった。
雅親も嬉しくて、ついつい話しかけてしまう。可愛くて仕方ない。




