第13話 座敷ハタチになるまで(三) ①
炊飯器の釜のごはんやお菓子がなくなるのは、神様が食べていらっしゃるからだ、お腹を空かせているのかもしれない。
それはいけないとなって、三食お供えしようということになった。
だが、どこにお供えしようかと新たな問題がでてきた。
いつもどうやって食べているのかも知らない。それに我々と一緒に食べるとも思えない。神様だし……
悩んだ末に、家族の皆がそろって食べる居間ではなく、台所のテーブルに皆が食べるのと同じ献立をそのままラップをして、一人分、試しに用意してみることにした。
すると、皆が食事を終えて、食器を片付けようと台所へ行くときには、テーブルの上には洗ったように、すっかり空になった皿だけが残っているばかりだった。
大人たちは確信した。間違いない、あの謎のイケメン神様が食べている……
それからというもの、三食きちきちとお母さんやおばあさんを中心に雅親にも温かい食事が用意されるようになった。
適当なお皿ではかわいそうだろうと、お箸や茶わんなど雅親用の食器も買いそろえられた。
ただ、食事を置くのは変わらず、台所のテーブルの上だったのだが。
皆が家を空けるような時であっても、雅親の食事はちゃんと用意され“冷蔵庫にありますからチンして食べてください”とメモ書きが残されることもあった。
そのようなとき、雅親は律儀にチンして食べるのだった。
家族にとって、だんだん雅親は神様や守り神ではなく、引きこもりの息子のような存在になっていった。
何か物音がしたり、気配を感じたりしても、たいして気にならなくなった。
「なんかそれはそれで、やっぱり気が引けるんだよな。ただ何もしないでご飯食べてるだけっていう……」
「わかるなぁ……」
立場は違えど、ジュンジには痛いほど気持ちがわかった。
「ところがよ。俺、またさらに期待されるようになるんだよ……」
そんな引きこもり息子として過ごしていたある日、この家のお母さんの妊娠がわかった。




