第12話 座敷ハタチになるまで(二) ⑤
男の子の成長の記録として撮っていた写真に、雅親はちゃっかり写り込んでいたのだ。しかも一枚でなく、何枚も。
普通、心霊写真といえば体の一部が消えてしまったり、手や足が多く写っていたり、また何か人のようなものなり、なんなりが写ってしまったら、やはり怖いものだ。
だが、この写真は全く怖くない。
なぜなら、雅親の生前の姿がそのまま写っているからだ。まるで生きているように。
そのうえ、男の子を見つめる視線は優しい。
雅親自身も楽しそうに、ピースしたりポーズを決めたりしている。
なにより、着物姿でシュッとしていて、品のいいイケメンであり、笑顔が眩しい。
大人たちは雅親が悪い存在には見えないが、どうしたものかと頭を突き合わせて悩んだ。ひょっとすると悪霊かもしれないし、神社などでお祓いを頼んだ方がいいのかもしれない。
だが……
「このお兄ちゃん、かっこいいよね! きっとすごくいい人だよ!!」
男の子が悩む大人の間に入って言った。
これを聞いた雅親は自然と泣いていた。号泣だ。
そして、聞いた大人たちはハッとした。そうだそうだ、彼はきっといい守り神様だろう、神様なんだ……
「いや、焦ったよね」
「へっ? なんで?? いい人ってことになったんでしょ、いいじゃない?」
ノブオは質問した。
「だってよ、俺、別に守り神じゃねぇしよ。期待されてもなんもできないから」
「なるほどなぁ、それはつらいだろうなぁ……」
普段たいして誰からも期待なんてされないジュンジだが、これには共感できた。
「そうなんだよ……」
こうして、この家の者たちは我が家に神様がいらっしゃると大変喜んだ。




