第12話 座敷ハタチになるまで(二) ①
気が付くと、青い空が広がっていた。雅親はあおむけに、大の字で寝ている状態だった。
起き上がって、周りを見渡すと一本の道があった。
自然と足が進むので、その道をひたすら登った。登って登って二時間くらい登ると、右手に小道があって……
「ちょっと待てよ、それってもしかして……俺たちがピンクの世界から落っこちた駐車場じゃねぇか?」
ノブオが声を上げた。
「僕もそう思います……」
ジュンジとノブオは顔を見合わせた。
「あぁ、そうなのか。それでさ」
右手の小道を入って突き当り。ちょうど建築中の家を見つけた。基礎の部分をやっているようで、まだまだ建つには時間がかかりそうだった。
建築の業者の人や大工さんたちが作業しているのを、嬉しそうに見学している家族がいることに気が付いた。
若い夫婦と小さな男の子で、とても幸せそうだ。
はしゃぎながら、ぴょんぴょん跳ねるように走り回る男の子に注意しながらも、両親からは笑顔がこぼれる。
雅親はこの家に居つくことを決めた。
それが正しいことのように思えたのだった。
建築中の家に近寄ってみる。
作業する人にもこの家族にも、雅親のことはまるで見えないらしい。
声をかけようともしたが、てんで目も合わず、肩をとんとんしても、皆さわられた感触は感じ取るが、後ろを振り向きキョロキョロするばかりだ。
やっぱりな……雅親にはなんとなく分かっていた。
皆の服装も、ここまで歩いてきた道も、見える景色のなにもかもが、自分の知っているそれとは違っていた。
そして、なにより自分が死んでいるということも分かっている。
これからはしばらく、とてつもなく寂しいかもしれない。
それでもここに居ついて、この家族を見守らなければならない。そんな気がする。




