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第11話 座敷ハタチになるまで ①
雅親はおよそ270年前、江戸時代に生まれた。
といっても江戸ではなく、そこそこの田舎であったが、それでも生まれた家はなかなかの豪商であった。庶民の生活に必要な諸々のものを商っていたが、主には油を売っていた。
雅親はその家の三男坊だった。
長男は後継として厳しく育てられたこともあり、賢く、神経質だが何でも上手にこなせる秀才だった。また次男もそんな兄を尊敬し、憧れ、とても真面目な青年だった。
そんな中、雅親といえば、兄たちと年が離れていたこともあり家中の者から可愛がられ、のんびりのびのびと過ごしていた。
兄弟三人とも育ちがよく華もあり、顔面が整いすぎていたため、近隣の村々からも一目置かれるアイドルのような存在だった。
「いやぁ、あの頃は楽しかったなぁ。俺、めちゃくちゃモテたのよ、祭りとかあるとさ……フフッ」
思い出し笑いをする雅親を、ムッとした顔で美希果は肘で小突く。
モテモテの金持ちボンボンと聞いたノブオはもうプリプリだった。
その様子を見たジュンジはヒヤヒヤしながら言う。
「へぇ……それは羨ましいな、続きはどうなるのかなぁ……」
なんとも感情のない棒読みだった。




