57/90
第10話 座敷ハタチはイケメン ⑦
すっかり存在を忘れ去られたようになったノブオとジュンジは、居間に入る前で、無意識に深呼吸していた。
相変わらず、美希果の太ももの上には雅親の手がある。
それはいいとしても、美希果の手が雅親の太ももに添えられていることを、やはりノブオは見逃さなかった。
赤くなった目を大きくし小刻みに震えるノブオの肩を、ジュンジはそっと抱き寄せた。
はっと意識を取り戻したノブオは、元居た自分の座布団に座った。
続けてその隣にジュンジも座る。
「ただいま戻りました」
ジュンジがテーブルを挟んで向かいに座る、美希果と雅親に言った。
「じゃあさ、俺と美希果が出会うまでの話、聞いてくれるか?」
はい、と答える間もなく、雅親は嬉しそうに自分の話を始めるのだった。




