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第10話 座敷ハタチはイケメン ⑤
ジュンジはノブオの錯乱だとすぐに分かった。
「あっ、やばっ!!!」
言うが早いか、ジュンジもトイレへ走った。
ただ足は痺れているので、気持ちだけ、体はうまく反応してくれない。想像以上に、ジュンジの歩みは遅い……
ノブオは美希果と雅親のイチャラブを目の当たりにし、感情が爆発してしまったのだろう。ジュンジにもその気持ちはよく分かった。
待っててノブオさん! 落ち着いてノブオさん!!!
「あれぇ、ノブオさんどうしちゃったのかな? ジュンちゃん大丈夫かしら??」
「問題ないっしょ」
美希果と雅親は何もなかったかのようにイチャイチャし続ける。
一方、ノブオはその頃、口の両端から泡を吹かせながらトイレ前の床をゴロゴロとのたうち回っていた。
「あぁぁぁ!!! わぁあぁーー、いやぁぁ!!!! た、助け……ああぁああ!!!」
どうやら、イチャイチャからのイライラからの、何か過去のことがフラッシュバックされたらしい。
「落ち着いて、ノブオさん!!! 大丈夫だよ!!! 戻って来て、帰ってきて!! ノブオさーーんっっ!!!」
壁に手をつき、よろけながらやってきたジュンジは、ゆっくりかがむと転がるノブオの背中を強めにバシバシ叩いた。
何か憑き物が落ちればいいと願いながら……




