第9話 叔母さんの家 ⑦
とても古くはあるけれども、広い居間で大きなテーブルがある。
二人はそれを前にして仲良く並んで座っている格好だ。
テーブルの上には、おせんべいと小さなチーズ蒸しパンが、木のかごに割と乱雑に詰められていた。
「どうやって来たの? 疲れたでしょ? あっ、これ好きなの食べてね」
叔母さんは少々、方言のイントネーションを残しながらも、ノブオとジュンジに合わせる形で話してくれている。
ジュンジにはこの感じが、この家に何度か訪れたときの空気感を思い出させた。
また、ノブオにとっては本当に岩手県に来たんだな、と旅行に来たような心持だ。
「ちょっと待っててね。今、麦茶持っていくから」
叔母さんは居間と廊下を挟んで反対側にある台所へ行くと、お盆に二つ、麦茶の入ったグラスをのせて、ノブオとジュンジの背後にあるガラスの引き戸のとこらから帰ってきた。
そして背後から、どうぞ、と並々と入った麦茶をそれぞれの前に置いた。
テーブルを挟んで、ノブオとジュンジに向かい合う形で叔母さんも座った。
「あら、そんなにのど渇いてたの? もしかしてけっこう歩いてきた?」
お茶を一気に飲み干す二人を見て、叔母さんは驚いている。
ノブオはさっさとチーズ蒸しパンの袋も開けている。
優しく接してくれる叔母さんを見て、麦茶を飲み、一息ついて、ジュンジはちょっと安心した。
叔母さんは再び台所へ行き、冷蔵庫から作り置きの麦茶の入ったボトルを取りに行ってくれた。
好きなだけ飲みなさい、とジュンジのグラスの横にドンと置いた。
ジュンジは早速グラスに並々と注ぐとまた一気に飲み干した。
「俺も、俺も……」
蒸しパンで口をもごもごさせながら、ノブオも空になったグラスに自ら並々と注いだ。




