第3話 ノブオとジュンジときよちゃん ③
下にいる小さいノブオも目を見開き、怯えたような表情をしている。
あぁ、怖い……ジュンジの顔から脂汗が噴き出したその時、後ろから細く長い指がジュンジの首をつかみ、そのまま宙に持ち上げた。
「うぐ、うぐぐ……」
苦しさに、声のような空気のようなものがジュンジの口からもれる。
「私はね、私は……」
ジュンジの耳元に女性の声がする。彼女の息が耳に吹きかかる。
「あんまんじゃない! 酒まんじゅうなんだよっっ!!!」
「はあぁ、あぁああぁぁーー!!!」
女性は大声で叫ぶと、ジュンジの首から手を離した。ドサッと地面に落ちるジュンジは恐怖のあまり絶叫した。
キーンという耳鳴りの中でノブオを見ると、自分は知らないよとでもいうように目線を外された。
はぁ、はぁ、はぁ……全身で息をしながら、ジュンジは女性を見上げて驚いた。
あのセクシーな唇……真っ白な、真っ白な肌、いや生地なのだろうか。確かにあのときのあんまんだ。
手足の長いすらっとした大人の女性の体に、首までは人で、頭があんまんなのだ。
あんまんにしてはかなり大きいが、身長からすると小さすぎる。身長は2メートルぐらいは余裕でありそうだが、顔は小学生くらいの大きさにも見える。
ただ……本人は酒まんじゅうだと言っている。おそらく、あんまんではなく、酒まんじゅうが正解なのだろう。
もう二度と、あんまんだなんて言う勇気はジュンジには一片もなかった。
「も、も、申し訳ありませんでした。酒まんじゅうさん……」
地面に落ちていたジュンジは土下座の姿勢をとると、酒まんじゅう姉さんに言った。
それを聞いた酒まんじゅう姉さんは、その長い足でジュンジの左わき腹を一発蹴った。
「うっ……!」
「だめだよ、ジュンジ。彼女はね、きよちゃん、きよちゃんなんだから。き・よ・ちゃん!」
ノブオがジュンジを横目で見ながら言った。
「きよちゃん……ごめんなさい……」
ジュンジはそのまま土下座の姿勢で言うと、きよちゃんはジュンジの両脇にそっと手を入れ、立ち上がらせた。




