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魔導塔と人工心臓の謎

魔導都市フィレンツェの空は、緊張に満ちていた。

魔導塔の尖端が赤く染まり、都市全体に警戒の魔導波が走っていた。


魔導喫茶ピッコロッソの扉が開くと、神月が魔導端末を片手にカウンターへ駆け込んだ。

「魔導塔が占拠された。犯人は…マジマ・ガリレイ。都市の魔導網を掌握しようとしてる」


葉月は紅茶の湯を止め、静かに言った。

「彼が動いたのね。あの夜の記憶が、また蘇る」


星月は魔導銃を腰に装着しながら言った。

「私が行く。葉月はここにいて」


葉月は首を振った。

「いいえ。私も行く。これは、私の過去と向き合う戦いだから」


その夜、魔導塔の周囲には騎士団の魔導障壁が張られ、都市の空気は張り詰めていた。

葉月と星月は塔の内部へと潜入し、魔導階層を一つずつ登っていった。


塔の壁には、かつての戦闘の痕跡が残されていた。

「ここで、私は初めて命を奪った。アドニムーン機関の支援を受けて、心臓を動かした瞬間だった」

葉月の声は震えていた。


星月は彼女の手を握り、静かに言った。

「その命は、今も動いてる。誰かのために。あなたの意思で」


塔の最上階、マジマ・ガリレイが待っていた。

彼は魔導端末を操作しながら、都市の魔導網を掌握しようとしていた。


「葉月、君は選ばれた命だ。その心臓は、都市を変える力を持っている。だが、君はその力を無駄にしている」


葉月は魔導弾を構えながら言った。

「私は、誰かの選択じゃなく、自分の意思で生きたい。力は、誰かを守るために使う」


マジマは一歩前に出て、声を荒げた。

「守る? それは弱者の幻想だ。都市は腐っている。選ばれた者だけが生き残る世界を作る。それが、正義だ」


葉月は静かに首を振った。

「その正義は、誰かの命を踏み台にしてる。それは、私が拒んだもの」


戦闘が始まった。

魔導弾が空を裂き、塔の障壁が軋む。

星月はマジマの攻撃をかわしながら、葉月を守った。


神月は喫茶店から魔導端末を通じて支援を送り、グランデロッソは心臓の構造を解析していた。

「葉月の心臓には、もう一つの魔導核がある。それを起動すれば、延命できる」


葉月はマジマに向かって叫んだ。

「あなたの支援なんて、もういらない!」


マジマは笑いながら姿を消した。

塔の魔導網は解放され、都市の魔力が静かに戻っていった。


その夜、喫茶店に戻った葉月は、静かに紅茶を淹れた。

星月がそれを受け取り、神月が端末を閉じ、グランデがクッキーをつまむ。


ピアノとストリングスが、夜の空気に溶けていく。

魔導都市の夜空には、星が瞬いていた。

喫茶店の窓から見えるその光は、どこか儚く、そして優しかった。


魔導喫茶ピッコロッソの一日が終わる頃、葉月はカウンターで紅茶を差し出しながら言った。

「私は、まだ生きてる。それだけで、十分」


星月は紅茶を受け取りながら、ほんの少しだけ微笑んだ。

空に浮かぶ大図書塔の影が、魔導都市フィレンツェを静かに包んでいた。


次回、マジマとの最終決戦。

爆弾と魔導弾が交錯する中、葉月の命が尽きようとする。

星月は「あなたを救うために、私はここにいる」

と叫び、葉月は「ありがとう」

と微笑む。


魔導喫茶の双花 〜選ばれた命と選び直す未来〜、次回もお楽しみに。


その夜のエンドカードには、魔導塔の最上階で葉月と星月が並び立ち、都市の夜景を見下ろす姿が描かれていた。

背景には魔導都市の星空が広がり、静かに瞬いていた。

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