高校生の僕…黒羽と大鬼丸の戦い①
黒羽は鬼炎刀を片手に握り、大鬼丸目掛けて跳躍する。
大鬼丸は拳を握りしめて、黒羽の頭上から勢いよく振り下ろす。
黒羽は頭に拳が触れあおうとしたとき、もう一歩踏み込み、大鬼丸の胸元に入る。そして、ぐっと左腰を捻って刀を水平に閃かせる。
「はぁぁあ!!」
大鬼丸の腹の部分が斬りつけられ、鬼炎刀からめらめらと炎が走り、大きな裂傷ができる。
僕は、苦渋の表情を浮かべ髪を振り乱して闘う黒羽の姿をただ見つめていた。
「ぅぉぁあおぉ!!」
大鬼丸は苦しみの声を上げ、腕をめちゃくちゃに振り回した。
大鬼丸の左腕が黒羽の体を吹っ飛ばし、黒羽の身体が僕の目の前に転がってくる。
「黒羽ぁ!!!」
「う…くっ…」
手で身体を支え、上体を起こした黒羽の額からは、爪がひっかかったのか、血が染み出している。
黒羽の顔は汗と血と泥でぐちゃぐちゃに汚れている。
僕は自分の頬を思い切り手のひらで打つ。
僕はまだ、この世界が悪い夢なんじゃないかと思っていた。
夢なら、そうすれば醒めるんじゃないかと思ったのだ。
「醒めろ…!醒めろ、醒めろ、醒めろ!」
黒羽は息も絶え絶えと言った感じで立ち上がる。体から血が流れているのに、まだ大鬼丸に向かっていく姿勢を取る。
僕は、黒羽の脚力で、ここから僕を連れて、逃げ出して欲しかった。