ポテチ
かつて即興小説トレーニングで書きました
お題:蓋然性のあるロボット
必須要素:ポテトチップス
↑私(蓋然性って何……?)
ミミという名の科学を志す青年が、有能なロボットと二人で暮らしている。
「今日はランダムでお願いするよ」
ミミの声に反応して、ロボットpotatoは歌い出す。
「♪ポテチのポテチ、きょうのポテチの占いは――」
目をくるくるまわして歌うロボットの頭のうえに、ミミは手のひらを置く。
陽気な彼の頭をミミは「こいつめ、こいつめ!」というように、ぐらぐらと揺らす。
ご主人様の手のひらの温度、頭の揺らし方から、ロボットはミミの気持ちを読み取ろうと真剣だ。
potatoはいつだってミミの気分に合わせたポテトチップスを皿の上に用意してくれる。ミミは毎朝それだけを食べる。スプーンとフォークを使い、紙ナプキンを襟元から下げて。自分の気分にあった味のポテトチップスを、とても美味しそうに食べる。
朝の光のなかで嬉しそうに銀色のボディをきらきらきらめかせながら、potatoはそれを見守っている。potatoにとって一日のうち一番幸せなのは、ご主人様が食べるのを見守る、この朝の時間なのだ。