もしも道成寺の鐘が風鈴だったなら
古典「安珍清姫伝説」が好きで、なろラジ7のテーマを見てるうちに思いついた翻案?パロディ?です。
ミニチュアの世界で。
ちいさな清姫は、おうちにきた美しいお坊さま、安珍に恋をしました。
安珍は清姫に言いました。
「帰りに寄りますね」
待てど暮らせど来やしません。
清姫は、泣いて泣いて安珍を追いかけるうちに、大きな蛇になってしまいました。
さて。大きな蛇から逃れようと、安珍は道成寺の鐘のなかに隠れました。道成寺の鐘は、ガラスで出来た風鈴でした。安珍からも大きな蛇が見えます。
「わあー こわいー!」
蛇の清姫からも安珍のお顔が見えます。
清姫をすごく怖がっています。
清姫はとても悲しくなりました。
風鈴は蛇に巻きつかれるといとも簡単に壊れました。パリン! 燃やすまでもなく、安珍は死んでしまいました。
清姫は燃える心をどうしたらいいかわかりません。安珍の死体と風鈴の欠片を、自らとともに燃やしました。
さて、安珍・清姫・風鈴の三人が、死後の世界で夫婦となりました。
えらいお坊さまの夢に安珍がでてきて、清姫と風鈴と夫婦になってしまったと語りました。
お坊さまが安珍のためにお経を読みますと、安珍と清姫は手をつなぎ語らい、天に昇ってゆきますが、風鈴の音が邪魔でお互いの声が聞こえません。
ちりりん、ちりりん、ちりりん。
お坊さまのお経にあわせて、風に吹かれて風鈴は鳴ります。
ちりりん、ちりりん、ちりりん。
輪廻転生した安珍と清姫は、風鈴の音が鳴るたびに前世を思い出しかけました。
ちりりん。
安珍は、なにか大切なことを聞きたいときに声が聞こえなかったので、風鈴の音を聞くと、切ない気持ちになりました。
清姫は、なにか大切なことを言いたいときに声が聞こえなかったので、風鈴の音を聞くと、怒りがわきました。
風鈴は、また風鈴に転生したので、風に吹かれると喜ぶように、怒るように鳴りました。
ちりりん、ちりりん、ちりりん。
風鈴が鳴るとき、言葉は必要ありませんでした。安珍も清姫も結局なにも思い出しませんでした。彼らの次の人生においても、風鈴が彼らを代弁しただけのことでした。
ちりりん、ちりりん、ちりりん。
ちりりん。




