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рассвет  作者:
これはまだ私がただの女子高生だったころのお話
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これはまだ私がただの女子高生だったころのお話:DATA 3

 家に帰ってシャワーを浴びて、両親からおやつのパンをもらい自室へ。

 買ったラノベをベッドに置いて、寝る前の楽しみにして机へ。

 取り出したるは読みかけの本。

 C#うんたらかんたらと表紙に書かれた本だ。

 わかりやすく言えばゲーム開発の基礎を学びましょう的な本。

 私はゲーム開発を学びたいと思っている。

 昔からゲームが好きだ。

 小説、漫画、アニメ、映画、それらももちろん大好きだがゲームは良い。

 何故って、自分の意思を介入させられるからだ。

 自分にできないことを、自分の意思で叶えることが出来る。

 もちろんストーリーの追体験的な意味合いもあるのだ。

 好きなゲームは基本的にはFPS。

 ミリタリー好きだ。

 そこまで詳しい訳ではないが、大好きだ。

 将来の夢はゲーム開発会社に就職すること。

 そのためにプログラミングやモデリング、イラストなどの勉強は欠かせない。

 本棚にはプログラミングやモデリングなどの各種ソフトウェアの教材はもちろん、デッサンの本などもたくさん詰まっている。

 机の上はてかてか光る絶対要らないだろ装飾ゲーミングキーボードとマウス以外に液タブやアナログ絵のためのトレース台なんかも揃っている。

 結構充実した環境だと思う。

 両親に感謝。

 しかし私は日本語が苦手だ。

 元々ロシア語と英語を覚えてはいるが日本語だけはまだ覚えきれたわけではない。

 日本のゲーム会社に就職するなら日本語を早く完璧にする必要がある。

 話も苦手だし、作文だって苦手だ。

 国語の成績は悪くはないが、それだってあくまでも教科書通りにして、である。

 現実は教科書を自身の行動に当てはめて変異させねばならないのだから。

 とかく。

 テキストエディタなどを立ち上げて教科書を見ながら色々試したり、気分転換にモデリングをしてみたりする。

 今は現代的な侍をデザインしようとしている。

 白と黒のデジタル迷彩を基調とした服装だ。

 同色のキャップに同色の夏用パーカー、ハーフパンツ、腕と足には黒色のアンダーウェアに、黒いブーツ。

 その顔には虹色の偏光スポーツサングラス。

 そして異色を放つ吊り下げ式で腰に差された日本刀。

 バックグランウドは悪を滅すために立ち上がった元軍人。

 通称『ブギーマン』。

 そこそこいい感じに出来たんじゃないかと考えて自己満足。

 7時半ころ。

 両親から呼ばれてリビングへ。

 ご飯が用意された食卓は豪華なもので、毎日疲れているだろうにしっかりと私の面倒を見てくれている両親には本当に感謝している。

 世間話をしながら夕食を食べる。

 今日はカレーとカツ、鮭の蒸し焼きとサラダだった。

 お味噌汁だってしっかりとインスタントではない。

 インスタント食品がダメなんてことはないが、手間を惜しまないことに、私としては愛情を感じてやまない。


「今日は帰りどこに行ってきたんだ?」


 パパンだ。


「ラノベ買いにTU○○YAに行ってきたよ」


「ラノベ?ってなんだったっけ?」


「パパ、あのアニメの小説ですよ」


 ママンが捕捉を入れてくれる。

 若干違うが、まあ似たようなものかと頷く私。


「でも、にゅーとん買うの忘れた」


 例の科学雑誌だ。


「ああ、ならよかった。今月その話をまだ聞いていないからお小遣いが足りなかったんじゃないかって二人で話して買ってきたんだ」


 そう言って席を立ったパパンが一度自室へ戻り、また帰ってきた。

 その手には赤い表紙の雑誌が握られていた。


「同じ本が2冊にならなくてよかった」


「パパ。保存用と使用用で2冊持つのは当たり前って前も言われたでしょ」


「ああ、そうだった」


「それは限定版とかそういうのの奴で、これは月刊誌だからそういうのはないよ。でもありがとう」


「余計なおせっかいにならなくてよかった。本くらいならまた買ってやれるから難しかったら言うんだぞ」


 パパンから本を受け取って食事を再開。


「でも本当は別の本屋さんに買い直しに行ったんだけど、置いてなくて」


「どこに行ったんだ?」


「バッティングセンタ近くに小さい本屋あるの分かる? そこ」


「帰り道から2キロくらい離れてるな。大丈夫だったか?」


「うーん、頑張った」


「えらい! 将来は自衛官だ!」


「この子はゲームクリエイターになるんだって」


 テンションを上げるパパンをママンがたしなめる。

 いつもの光景。

 私が自衛官。

 うーん。

 絶対無理だが。

 走れないし、本以外の重い物なんて持てない。

 中学生の時部屋にゲーミングPCを導入した時だってそうだったし、模様替えの時に動かそうとしただけで次の日は筋肉痛でただでさえ不登校気味だった学校を休んだ。

 まあ、普通に無理だろう。

 パパンに愛想笑いをして、夕食を食べ終る。

 食器をシンクへ置いて、ママンが冷蔵庫にサラダとアイスが残っているというのでそれをもらって自室へ戻る。

 サラダをフォークで突きながら今日の授業のノートを読み返して復習する。

 時々寝落ちたらしいふにゃふにゃ文字が散見されたがそこは検索エンジンを頼り捕捉して別のノートにまとめを書いていく。

 土日の復習の際に効率をよくするためだ。

 それを終えるまで約一時間。

 そして次は予習だ。

 今日までやったことと今までの授業の進行速度を各教科ごとに残しているのでそこから考えて明日はどこまでやるだろうなと推測し、範囲を決定。

 そこまで教科書をざっくりと読む。

 6時間分の授業なので深堀をしているとそれこそ予習にも6時間かかかる。

 それではあまり意味がない。

 ので予習はあくまで表面を撫でる様に行うのがコツだ。

 これをまた約一時間。

 食後の勉強は2時間だ。

 これで大体22時半だ。

 休憩としてベッドに置いておいたラノベを開き読み始める。

 ふむふむ。

 不登校の少年がコンビニ帰りに異世界に転移すると。

 ……し、死んだ?

 え、生きてる。

 どゆこと?

 おっと今は何時か。

 23時半。

 慌てて本を閉じて洗面台へ。

 リビングはもう電気が消えていて、両親は既に就寝したのだと窺がえた。

 歯磨きをして、部屋に戻る。

 ゲーミングPCのモニターに表示されたテキストエディタとモデリングソフトのページを保存して閉じ、ゲームアプリを立ち上げる。

 青い鳥のSNSを開き、クランの動きを確認。

 今は青い鳥は旅立ち、なんか黒いアルファベットになっているよ。

 おっとこれも恐らくきっと未来の私の声。


「今日は某クラン主催のアマチュア大会。優勝するぞ」


 参加してるクランがチャットに集まってきたのを確認し、イベントへjoin。

 私はそこそこ有名なFPSゲームのクランのリーダーだ。

 5人分隊で某FPSの、ランカーとして、数々の成績を残している自負がある。

 クラメンに挨拶をして頑張ろうとチャットを送る。

 返事を確認した辺りで試合開始のアナウンス。

 これが基本的な私の日常である。

 大会は太陽が昇ってアラームが鳴る少し前まで続いた。

 実質2日連続ほぼ徹夜という形だ。

 ね?

 廃人でしょ?

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