これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話:DATA 13
何故なのか……!
あれから三週間。
週末は土日共に複数の面接を入れた。
しかしその全てが、落ちた。
合否は一週間以内に連絡しますねと言われたが全て連絡がない。
調べたら落ちたらほぼ連絡がないとのこと。
今日は土曜日。
今日も面接に行ってきた。
今回はもう確定だった。
「うちで働くのはね~。話し方から真面目な人ってわかるんだけどね~。経験がねえ」
高校生に労働経験を説くか!?
社会とは難しい所です。
金曜日。
学校が終わって、一日何度もメールの確認をして神経が疲れています。
項垂れて師匠宅に帰宅。
真琴さんが苦笑いしている。
察してるんだなあ。
アリサさんはなんだこいつみたいな顔で見てくる。
素直……
師匠。
いない……。
私は自室へ戻る気力もなくてリビングの椅子に座って液体になる。
机にぐでーとなってもうそこから動けない。
妙な唸り声をあげて私はそれ以降動かなくなる。
めんどくさい子!
しばらくすると真琴さんがリンゴジュースを置いてくれた。
顔を上げてお礼を言う。
真琴さんは苦笑して私の肩に手を置いた。
「人生長いんだし今回ダメでも少し時期がずれるだけだからあんまり深く考えないで」
確かにそうだが……
「そいつにとっては一回しかねえ高校二年生の夏だからそうも言ってられん」
師匠の声が廊下から聞こえてきた。
真琴さんと一緒に振り返るとリビングの入り口に師匠がいた。
「どうした?」
言いながら師匠が歩いてくる。
真琴さんが経緯を説明する。
「また落ちた?」
あう。
「理由は……わからないか」
師匠は自問自答のように言う。
経験の有無、という点を除けば他には何か言われた事もないのでわからないとしか言えないのは事実。
師匠はスマホを取り出した。
「お前の目的はバイクか? バイトそのものか?」
いや正直働きたくな……
バイクですねそりゃもちろん。
「バイクです。でも出来れば自分で頑張って買いたいです」
経験にもなると思うし。
師匠はそうか、と言って私から離れた。
スマホを耳に当てた。
電話らしい。
「多分バイト先探してくれてる」
真琴さんが小声で私にそう言った。
ええ!?
それは……いいのか?
少しすると師匠が戻ってきた。
スマホの画面を見せてきた。
どうやら店舗情報らしい。
「ここで面接。さすがに無条件に雇ってもらえるようにはしないからちゃんと面接に行くんだ。明日の午前中だ」
私はスマホを受け取って画面を写真に撮る。
師匠は私からスマホを受け取ってお礼を私が言う前にリビングを出て行ってしまった。
「なんてとこ?」
真琴さんが顔を寄せてくる。
写真に撮った画面を確認する。
徒歩でも行ける位置にある回転寿司屋さんだ。
学校帰りにも近くの通りを通る。
「ああ十分ちょっとで行ける場所だ。よかったね」
真琴さんがあいぽんの画面を覗き込んでそう言ってくる。
本当に近い。
これなら学校帰りにも休日にも通いやすいだろう。
しかし本当にいいのか?
住まわせてもらっている身で、バイト先まで……
さすがに躊躇してしまう。
しかし真琴さんは私の頭を二度軽くたたく。
「与えられる物に対して手を伸ばすことを躊躇うことは悪い事ではない。だけれど、その躊躇いは、お前が今、したい事よりも大きい事か? バイクに乗りたいでもいい。ゲームが買いたいでも漫画を全巻セットで買いたいでもいい。それのための手段を選ぶときに、お前は真っ先に苦労を選んだ。ほしいものを与えると言われても、まずは自分で頑張ると言ったんだ。ならせめて、手段ややり方を教える。それが大人の仕事で、大人がやってやりたいことなんだよ」
真琴さんはそう言って私の顔を見てくる。
この人本当に十九歳(今年二十歳)?
人生五十周くらいしてそう。
しかし確かに私がしたい事はバイトではない。
バイトはあくまでも手段で、目的はさらにその先にある。
せっかく頂いたご厚意を無下にも出来ない。
私は頷く。
真琴さんも頷いてキッチンへ戻っていった。
とはいえ確定ではない。
面接に通るかどうかはわからない。
師匠の顔に泥を塗らないようにちゃんとしよう。
頑張るのです。
明日の十時。
寝坊は滅多にするタイプではないので平気として、私は寝不足顔が多いので今日は早めに寝て、しっかりと準備していこう。
いつも以上にしっかりと。




