これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話:DATA 12
師匠にバイクに乗せてもらってから数日後。
今日は平日です。
私は教室の机の上でバイク雑誌を広げていた。
師匠が乗っているバイクはスーパースポーツというらしい。
SSと略されるのが基本らしい。
私が乗せてもらったH2Rは公道走行NGで、手順を積んで車検を通す必要があるらしい。
残念ながらお値段が三桁万円なので高校生が買えるはずもないし足が届きそうもないのです。
大型バイクになるらしいです。
無理です。
ギリギリ買えそうな物はないか?と最近バイク雑誌を見ています。
しかし探すと七十万円だ六十万円だとお高い……
新車で安いのだとス○キ G○X250Rの六十万円と少し。
ホン○ C○R250RRが一番高いな……
でもやはり師匠と同じカワ○キ ニ○ジャがいいな。
400があったはずだ。
雑誌にもあるはずだ。
おや?
見た目が違う。
ぐぐる先生!
なるほど。
型が違うんだね。
雑誌に載っているのは最新の型。
師匠のは一つ前の方だ。
新しいのは尖った機械的なデザインだ。
しかし師匠の400は流線型のデザインで、なんだかツバメみたいなイメージを抱くものだった。
私はどちらかと言えばそっちの方が好きかもしれないなあ。
となると中古になるのか。
どれどれ。
それでも60万くらいか。
絶望。
そんなことを考えながら今あいぽんで見ているのはバイト情報だ。
高校生可。
土日祝か。
夕方のみ可。
などの条件で調べている。
高校生である以上夕方以降や土日にしか時間はない。
土日が潰れちゃうのは辛いがバイクに乗るためだ。
まずは免許代。
近く自動車学校は初夏から年末くらいまで二輪免許取得キャンペーンをやっている。
本来は十九万くらいするのだが八万と少しで行ける。
これを狙うべきだろう。
八万円を稼ぐにはどれくらい働くのだろうか?
最低賃金が900円程か。
日に三時間ほどの勤務で2700円。
大体三十日か。
四か月ぐらいかかりそう。
う~ん。
平日も入るか?
死にそうだが。
執筆やモデリングなどの作業、勉強へあてる時間が減ってしまうのも問題だ。
しかし考え方によっては、という話だけれど、こういうのは時間を確保するために一回一回の時間を短くしたり、週に入れる回数を減らしてその期間が長くなるよりもいっそ短期間で一気に回収してしまって、失った分をその後取り戻すというやり方だ。
夏休みの宿題と同じやり方とも言える。
言えませんね。
逆ですねそれは。
ともかく、計画的に考える必要がある。
夏休みに一気に、という手段も取れるのが高校生の立場だ。
それを踏まえて今から計画を立てるのだ。
両親と師匠に相談してみようか。
バイトの面接って学校の制服でもいいのかな?
でも接客とか出来そうにないしな。
裏方、お皿洗いとかはないかな?
料理補助?
お手伝いするのかな?
あんまり大変じゃないと良いなあ。
働くんだから楽なはずもないけど。
う~ん。
働く私。
もしかしたらめちゃくちゃ才能があってエース扱いされたり!?
……そんなわけがないのですよ。
だって私学校じゃボッチ。
元引きこもり。
そんな人間がワークにワクワクしてるんじゃないよ。
やかましいわ。
バイク雑誌に目を戻す。
他のバイクも気にはなっている。
ネイキッドという奴だ。
なんだか、ざ・ばいくって感じ。
このZ○00FXってなにこれかっこいい!
しぶいなあ!
おや!
これは某海軍エースパイロット養成学校を題材にした映画にて主人公が乗っていたバイクじゃないか!
ほう!
これもペットネームはニ○ジャなのか!
ノンカウルが流行った時期もあったのか。
面白い。
おっと!
バイクの妄想だけで千五百文字行ってしまった!
結論、高い!
高校生がホイホイ買える物ではない!
まずはバイトを見つけるべし。
メッセージアプリを開き、師匠夫婦と両親の私が連絡を取り合う用のグループを開く。
『バイトがしたく思います』
たったこれだけの一文。
既読が三秒後に一つ付いた。
絶対師匠だ。
数秒後一件の通知。
『なんで?』
端的なメッセージ。
これは理由も端的に話せというメッセージも込められている。
師匠の質疑応答は基本的に簡潔に明瞭に、だ。
『バイクの免許が欲しいからです』
『そうか。親御さんが許せばいいんじゃない。中免?』
中免ってなんだ?
速攻ググる。
中型バイク免許か。
原付、小型、普通、大型、の普通が、中型と言われるらしい。
普通二輪を考えていたので中免だ。
『そうです。ニ○ジャ400が欲しくて』
『俺の乗れば』
!!???
当たり前みたいに何を言っているんだ。
高い物を当たり前に貸し出そうとするんじゃないよ。
『正直400乗る機会ないからほしいならやるぞ』
貸出じゃなかった。
くれる気だ。
いやいやそんな訳にはいかない。
ほしい物は自分のお小遣いから買うからこそ尊いのです。
お小遣いは、自身の労働の対価ではなく、両親からの良心なので、それもあるいは違うのかもしれないけれど。
いややはり、ここは辞退させていただくべきだろう。
『何とか自分で頑張って買えるようにしてみます』
せっかくの提案をお断りするのでもしかしたら気分を害するかもしれないと思ってびくびくしながらの返信。
しかしさすが師匠だ、そんなことはなかった。
『頑張れ』
一言。
たったこれだけだ。
しかしこの一言で師匠が理解してくれたという絶対の安心感がある。
数時間後には両親からの返事も入り、バイトとバイク免許取得の許可が下りた。
これで私のバイト、バイク人生のきっかけ作りは出来た。
バイト先を探すところからだ。
こういうのは出来るだけ早くしておく方がいい。
テストが終わってからとか、夏休みになってからとかではなく、今から始めるのです。
さっそく求人サイトを再び開いてバイト先をいくつか探す。
土日祝のみ可。
三時間~の短時間勤務可。
交通費支給。
賄い付き。
これくらいの条件ならいっぱい出てくる。
あとは距離と高校生可の求人だ。
十六歳~と指定してくれている所は思ったより少ない。
飲食店になるとホームとキッチン兼務が多い。
私は接客なんて出来ない。
お客様に不快な思いをさせてしまう自信しかない。
下手すれば裁判とかになりそうだ。
キッチンなどの裏方だ。
倉庫とか、検品、シール貼りとかもあるんだ。
出来そうなものもないでもないな。
いくつか、メール問い合わせができる物を選ぶ。
履歴書も用意しないとだなあ。
そんなことを考えていると、予冷が鳴った。
よーし頑張ってバイト探すぞ!
週末とかにでも面接だ!




