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рассвет  作者:
これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話
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これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話:DATA 11

 師匠に付いていくままにガレージへ。

 私はヘルメットを被り待機。

 師匠は真琴さんが買ってきたらしい先程受け取っていた袋から何やらを取り出す。

 パーカーのようだ。

 あと何やら黒い物。

 それをパーカー内に入れていく。

 ヘルメットもしかしてまだ被らなくてもよかったのではないか。

 師匠は組み立てるようにしてパーカーに何かをしていく。

 数分して振り返った師匠にパーカーを渡される。

 元々来ていたパーカーを脱いで、着替える。

 サイズは少し大きめだが……

 肘に何か入っている。

 固い。

 これプロテクターか。

 なるほど。

 肘部分は調整用の引き絞りようのバンドが付いている。

 背中にも入っているらしい。

 胸にも薄いが入っている。

 完全防備?

 下半身は?と思っていると膝当てらしいものを渡された。

 膝に当てて、バンドを巻いて固定。

 グローブも渡される。

 手の甲が固い。

 てれてれーん。

 ばーいーくーのーりー。

 はい。

 テンション上がる私を師匠は構わずバイクを取り出す。

 カワ○キ ニ○ジャ H2R公道仕様。

 よく知らないが元々は公道を走るようには出来ていないらしいのだが、それを保安部品などを装備することで走行できるようになったらしいのだ。

 よく知らないけれど。

 その後ろにも何台もバイクが並んでいる。

 全部カワサ○。

 黒に緑や白、赤のライン、差し色のバイク。

 10Rって書いてある。

 意味はなんだろ?

 6Rは?

 400もある。

 おや?

 全部同じ顔だ。

 これがあれか。

 アイドルの顔全て同じ顔に見えるってあれか。

 一部からマジ切れされそうだ。

 師匠は、バイクを押して移動。

 ガレージを開けて、門も開ける。

 道路に出て、バイクを道路へ。

 着いていく私。

 師匠が来てみろと手招きをする。

 師匠がハンドル付近を指差す。

 メーターを見ろという事らしい。

 鍵穴をそのまま横にしたようなデザインのメーターだった。

 丸い部分に針がある。

 回転数?

 速度の部分は恐らく電子メーター。

 キーを回していないので画面は暗いままだ。

 師匠はキーを回した。

 瞬間パソコンのとは比べ物にならないレベルのファンの音。

 オーバーヒートしているのでは?とすら思えてしまうくらいの音だった。

 師匠は針が回って、元の位置に戻ったのを確認してからスイッチを押した。

 きゅきゅきゅきゅい!と子気味のいい音が鳴った。

 エンジンがかかった。

 私の体に強い衝撃が走った。

 これがエンジン音?

 信じられない。

 野太い、爆発音のような物だった。

 周囲の空気を叩くようにして後ろのマフラー部分から音を叩き出している。

 以前も聞いたがあの時は車の中から聞いた。

 しかし今は真横から聞いている。

 全く違う。

 音だなんて優しい表現では表せない。

 そんなレベルのエンジン音だった。

 これがH2R。

 これが、バイク。

 私は息を飲んだ。

 声も出せなかった。

 師匠は満足行ったのか、頷いた。

 乗れ、というように首を傾けてバイクを差す。

 しかし、明らかに届かない。

 どう乗っていいのかわからずにいると師匠は手を広げた。

 あ、この人抱え上げる気だと思った。

 そこは先に乗って手を差し伸べるとかじゃないのかと思ったが構造的に無理か。

 私は両手を上げた。

 師匠は私を抱え上げてバイクのリアシートへ乗せた。

 小さなシート部分で座り心地が良いとは思えない。

 シートの少し下に設置された折り畳みペダルに両足をそれぞれ置く。

 師匠がヘルメットを指差す。

 左顎部分。

 触ってみると細長い物が付いている。

 師匠がそれを操作する。

 耳元でテレンと音がした。

 無線機?

 師匠も自分のヘルメットに装着された物を同じように操作した。


『聞こえるか?』


 師匠の声が耳元で聞こえた。

 私は頷いた。


『何かあればこれで会話が出来る。直ぐに言え』


 私は頷く。

 師匠も頷く。

 器用に私を避けてバイクに乗る師匠。


『行くぞ。捕まれ』


 どこを?

 見るとシートの前面に掴むベルトのような部分がある。

 しかし、細い。

 何だか不安だ。

 私が逡巡していると師匠が声を掛けてくる。


『それもそう千切れるものじゃないから心配するな。……まあでも、わからんか。俺の腰でもいいなら掴め』


 殿方の体に触れるだなんて!

 ……さすがにそこまでではないにしても私だって年頃だ、さすがに躊躇する。

 彼氏いない歴どころか友達いない歴=年齢のぼっち喪女が私だ。

 当然、父親や学校の先生、同級生以外まともに会話なんてしていない。

 胃や同級生なんて、基本的な会話なんて提出物の回収の時くらいだ。

 大概名前を間違えられている。

 私はカワサキです。

 川田さんじゃないです。

 師匠と会話している時だって平静を装っているだけで緊張している。

 雰囲気が怖いからというのもあるけれど、やはり、異性としても意識してしまう。

 何より師匠は私を助けてくれた人だ。

 私の中では謎だが、かっこいい人像が出来上がっている。

 接し方に悩む。

 師匠が振り返る。

 フルフェイスのミラー加工されたシールド越しにどうした?という雰囲気を感じる。

 私は首を振る。

 師匠は振り返ったまま私を見て言う。


『俺では……不安か? ……俺が怖いのか?』


 師匠の二言目には、少し哀愁を感じた。

 私は少し焦り、師匠の腰に手を回した。

 服の先を少し摘む。


『それじゃ落ちる。ちゃんと掴め。自分の手と手を絡めるんだ』


 言われたようにする。

 そうすると師匠の背中に密着する形になる。

 さすがに、体が緊張する。

 背中に耳を当たる。

 しかし漫画のように高い鼓動が聞こえる事もなく、あんまりわからなかった。

 ただ分かったことは、師匠の体は細身で、しかし、強いことが分かるだけの筋肉があった。

 引き締められた肉体だった。

 私が手を回している腹筋はとても固く、服越しにもバキバキに割れているのだとわかった。

 そして分かった。

 師匠は腰に何かを巻いている。

 銃か、ナイフか。

 わからないけれど、少し大きめのパーカーの裾に隠すように、左右の腰に一つずつ、何かがあった。

 師匠は今度は振り返らず言う。


『行くぞ』


 師匠が左足のペダルを落とすと「ガコン!」と大きな音が鳴り響いた。

 アクセルを回してクラッチを繋ぐ。

 タイヤが回って、地面を蹴り出す。

 後ろに引っ張られるような感覚になる。

 聞こえるエンジン音が後方に流れていく。

 徐々に速度が上がり、師匠がその度にシフトアップしていく。

 ショックがほとんどなく、滑らかに加速していく。

 エンジン音の質が変わっていく。

 街中を疾走するバイク。

 体に当たる風は鋭く、痛みにも近い。

 だけれど、悪くない感じだ。

 特にこのバイクは良い。

 師匠がシフトチェンジや、前走車の減速でアクセルを緩めた瞬間、独特な「ぴゅん」という音が鳴る。

 空気を吸っているのだろう。

 後に知るのだが、スーパーチャージャーというらしい。

 それが何ともいい感じで、私は少しだけバイクという物に乗りたくなった。

 私もいつか、免許取れたらなとか考えてしまう。

 私の身長では、免許は取れないのだけれど。

 私は師匠に身を預けて、一日中過ごした。

 昼の明るい時間から太陽が天辺を超えて、そこからどんどん落ちていく。

 太陽が地平線に近付き、夕日に空を染めていくまで、私はずっと師匠と一緒にいた。

 私は、免許を取れないことに絶望しながら、今この時をかみしめていた。


 尚、身長制限に関して近所の自動車学校が140㎝以上という風に入校条件を限定していたのでそれを私は免許は140㎝以上ないと取れない、と勘違いしていただけだと判明するのはこれから数年を要する。

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