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рассвет  作者:
これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話
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これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話:DATA 07

 師匠とのランニングを終えて数時間後、私は学校にいた。

 ちなみに送ってもらった。

 足が震えて背中の筋肉は痛み、もう歩いてとか電車やバスで登校できる気がしなかったが察した師匠が車で送ってくれた。

 今は不自然に姿勢のいい状態で席に着いて私は授業を受けている。

 背筋を曲げると痛い。

 ノートを取るのもつらい。

 書道をしているような形でノートを取っている。

 ちなみに私の二年生になってからの席は真ん中の列の最後尾。

 なんでやねん。

 でもいい感じの身長の並びで黒板は割と見える。

 私はノートを取りつつ考える。

 レイチェル・コールフィールドさんはメールの返事に一言「英雄」とだけ言ってきた。

 それはどういう意味なのだろうか?

 初対面の時に渡された名刺は今も持っている。

 特殊任務警察支隊(OMON)所属と記載されたその名刺。

 まず疑問。

 一隊員がわざわざ名刺を持つだろうか?

 バッジだけならともかく、軍人や警察が名刺。

 いや私はそこまで社会経験がある人間でもないから警察や軍隊でも名刺の所有は当たり前なのかもしれない。

 ここは重要ではない。

 特殊任務警察支隊、ここはロシアにある警察に近い組織で、暴動などの鎮圧に重きを置いた組織だ。

 基本的にはチーム行動だ。

 だから特定の誰かに向けて「英雄」と称するのはどうも違和感がある。

 暴動を抑えることに貢献したからと言って指揮官や特定の隊員だけが名を上げるのはさすがにおかしいと思う。

 それにあの年齢だ。

 そもそも入隊できるものなのか?

 しかし数か月同じ家に過ごして思う。

 ただ者ではない。

 確実に。

 加えて師匠宅にやってくる方々も同様だ。

 雰囲気でわかる。

 若い方も多いがその全てが普通の人間ではないとわかる雰囲気があった。

 にしても背中が痛い。

 師匠宅に来る人のほとんどの人が若くして相応の実力を持っている人だ。

 それはきっと、本来はあり得ない。

 どれだけ正しい訓練をしても、あの年齢層でそこまで行くには時間が足りなさすぎる。

 それ故に私の考えはこうだ。

 皆、元少年兵。

 そうしないと特に師匠の年齢ではかなり難しい。

 顔立ちは日本人だ。

 国籍はわからないが顔立ちはしっかりと日本人、

 その上で、ロシアの特殊機関に所属している……

 あの年齢で。

 もうそれは、元々少年兵なんかで経験を積んでいないと難しいのではないか?

 私はそう考えている。

 失礼な話かもしれない。

 誰かの過去を元少年兵だと想像することは世間的にはものすごく失礼だろう。

 しかしそうとしか考えられない。

 にしても足が痛い。

 今日体育がないのだけが救いだった。

 ともかく、師匠たちは、私の予想では、ロシア軍だとか自衛隊だとかそういうのではない。

 もっと深い所にいる人物だと思っている。

 インポッシブルなミッションとかしていそうだと考えている。

 しかしそれをなかなか教えてはくれないので、答えを知れる日はこなそうである。

 話は変わるが、私はバイトをしようかと考えている。

 バイクが、ほしいのだ。

 師匠が乗っているバイク、NI○N○JA H2。

 伏字になっていないのは気にしない。

 ものすごくお高い。

 調べたら300万くらい。

 そんなものを高校生の私が稼ぐなんて非合法しかないのでいったん諦めて、小振りなバイクを選ぼうと思っている。

 しかしせっかく乗るならスポーツタイプがいいと思っている。

 なので小さいNI○NJAがないか検討中。

 250か400。

 足が届くかどうかはわからないけれど……

 まずはバイトだ。

 アニメとかではグループでバイトして何かの費用を稼ぐ回がある。

 私はボッチだ。

 一人である。

 もう一度。

 私はボッチだ。

 もくもくと稼ぐのです。

 チャイムが鳴った。

 授業が終わり、教科書を畳む。

 しかし考え事は止めない。

 まず一隊員があそこまでの豪邸を持てるとは思えないし、そもそも日本に家があることなどおかしい。

 退役してもおかしい気がする。

 どうしてわざわざ?

 それに、どうして一隊員が警察署の所長と直接的にやり取りが出来るのか。

 あのストーカー事件は恐らく師匠がいなければ解決できていない。

 師匠がいたから正式に被害届が受理されたし、逮捕も出来た。

 何より、事情聴取を受けた私よりも先に、暴行傷害で逮捕されたはずの師匠は私釈放されていた。

 あとで知ったが十五分もしないうちに釈放されたらしい。

 やはり、普通の人間ではない。

 考えても答えが出る訳もないのだが、しかし、考えてしまう。

 師匠の書斎にあるラックの中には何が入っているのか。

 あのレンズが塗りつぶされたゴーグルは何なのか。

 答えは出ないまま考え続けてしまう。

 そしてレイチェルさんが言った「英雄」の一言。

 師匠はきっと、私では想像もつかない組織のメンバーで、その中でも一目置かれるような存在なのだ。

 だった、になるのか。

 あの年齢で。

 やはり少年兵か。

 そこまで考えて、私は、足と背中が痛すぎてお手洗いに行けないことに気付いた。

 立ち上がれない。

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