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рассвет  作者:
これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話
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これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話:DATA 01

 あのストーカー事件から数か月、私は高校二年生になっていた。

 保健室登校はもちろん終わり、当たり前に教室で授業を受けている。

 春。

 二年生になって早くも数週間。

 私は見事に、ボッチしていた。

 変わらず友達はおらず、基本的には一人で過ごしている。

 相変わらずゲーム廃人をしているし、ゲーム開発の勉強も続けている。

 しかし、少しだけ変わったことがある。

 まず一つ。

 執筆活動を始めた。

 有り体に言えば、小説を書き始めた。

 自分の中の世界観を文章に起こす。

 これがなかなか面白い。

 私はゲームクリエイター希望なのでやはりどんな形でも物語を形にするのは楽しいものです。

 それを投降サイトに投稿している。

 タイトルは「Hand in Hand」である。

「人類最強」と呼ばれる男が戦う話だ。

 物語作成の勉強でもある。

 ゲーム開発会社へ就職すればどんな部署になるかはわからない。

 その一つであるキャラクター作成だけでも色んな形がある。

 デザイン、モデリング、設定。

 ならそもそもの物語を作れるようにしておいて損はない。

 プロットから本文、キャラクターデザイン、モデリング、私は高校在学中に全部出来るようになっていることを目標にしている。

 もちろん学校の勉強だって手を抜いていない。

 私は自分で言うのもなんだが、成績優秀。

 というか、総合点で学年一位だ。

 本来マンガやアニメ、小説では仲いい生徒がものすごい説明口調で私の事を語るシーンが入るのだろうが重ね重ね、私はボッチだ。

 誰が私の事を語ってくれるというのか。

 いませんね。

 悲しいね。

 時間を飛ばして放課後だ。

 何せボッチ。

 当たり前に授業を受けて終わりだ。

 帰り道。

 それも少しだけ変わった。

 引っ越した、のとも少し違う。

 間違いではないのだろうけれど。

 私は帰路に就く。

 三十分もかからないくらいだ。

 細かい道順は当然省くけれど、道中、少しだけ、なんと言うか、気品のある雰囲気の街だった。

 どうも、お金持ちの人たちの街と言った感じだ。

 私の学校からここにたどり着くまでは栄えた感じだがここに入ると途端に落ち着く。

 いい家が並び、そのいい家にはいい車やバイクが止まっている。

 通りを歩いている人たちも品のある恰好をしていて、高そうなワンさんを連れている。

 下手すれば、私よりも大きいかもしれないワンさんもいる。

 化け物め。

 モンスターハンターをしてやろうか。

 ……冗談はさておき。

 ていうか確実に負けてしまうわけだが。

 ともかく。

 散歩中のマダムが連れるワンさんからほのかに距離を取りつつ挨拶をしてくれるマダムに会釈をする。

 愛想笑いなどしたらそれはそれはひどいものになりそうなので顔を伏せて会釈だけ。

 ざ・コミュ障である。

 それが私なのだから、もうそれはしょうがない事だろう。

 努力してどうにかなるとはとても思えない。

 私はリュックを背負い直して紐を両手で掴んで歩き続ける。

 少し歩くとまたいいお家の前に出た。

 全体的に白い家。

 庭は広く、建物自体も大きい。

 門も大きく、高い。

 車用の昇降タイプの門に、人用の扉と二つ入口がある。

 要するに、デカいということだ。

 引っ越し先はここだ。

 新しい、ある意味では私の家。

 当たり前みたいに合鍵を使って人用の入り口から入る。。

 建物の前には広い庭。

 別に特別な何かがあるわけではない。

 整えられた木があるわけでも、豪奢な池があるわけでもない。

 ただ、庭。

 そこの真ん中に座り込んだ小さな背中があった。

 いや私より大きいかもしれない背丈。

 赤みが強い髪。

 その体を黒と赤のパーカーとハーフパンツに包んだ少女。

 門を閉めた私に気付いた少女が振り返った。

 日本人とは少し違う目鼻立ちだ。

 切れ長の目で私を見た。

 一言で表すと美人な顔。

 年齢にはそぐわない、今年十歳とは思えないほどの大人びた、しかし年齢相応のあどけなさも持つ彼女は私に声を掛けた。


「おおミズキ。帰ったか」


 顔だけ振り返った彼女はそう言って少し悪戯っぽ笑顔を見せる。

 私は鍵を閉めてそちらの方へ歩き出す。


「アリサさん、ただいま戻りました」


 言いながら私が近寄るとアリサさんは振り返りながら立ち上がった。

 そしてその両手を私に翳した。


「う゛ぇ゛!」


 私は声にならない悲鳴を上げた。

 彼女の両手には結構長いミミズが握られていたのだ。

 がっつりと。

 二匹。

 その顔は変わらず悪戯っぽいが、しかし元気のいい顔をしていた。


「釣り行こうぜ!」


 そんな風に言う彼女に私は若干引きつつ答える。


「もう夕方ですよ。今から行くのはお父さんお母さんが許さないと思います」


 私が言うと建物の方から声がした。


「そうだぞ。もう少しで晩御飯だ」


 少しだけ鋭い、しやし柔らかさもある女性の声だった。

 びっくりしてそちらを見ると建物の戸を開けて、そこに座っている女性がいた。

 切れ長の目。

 綺麗な長い黒髪をポニーテールにしている。

 長い脚。

 細い体。

 目立つのはその頬に切り傷だと思われる傷跡が残っている所。

 全体的に見て言えることは極めて美人だという事。

 そして背が高い。

 170を超えていることが座っていてもわかる。

 だが私が思うのは、そうじゃない。

 気配が、一切しなかった。

 声を聴くまで全然。

 アリサさんはあからさまに嫌そうに顔をする。

 今にも舌打ちをしそうな顔だった。


「お帰り。ミズキ。学校どうだった?」


 そう言う彼女は瀬戸真琴さん。

 ここの家主さんの奥さんだ。


「ただいま戻りました真琴さん。いつも通りです」


「そうか」


 頷いて真琴さんは立ち上がった。


「二人ともそろそろ上がりな。ミズキ。アリサがちゃんと手洗いうがいをするか見ててやってくれ」


「あっはい」


 真琴さんは戸を閉めて家の中に戻っていった。

 めんどくさそうな顔をするアリサさんの手は泥だらけだった。

 アリサさんが私を見る。

 ほぼ並ぶくらいの背丈だからすぐに目が合う。

 その顔は、変わらずめんどくさそうだ。

 私は首を振る。

 彼女は舌打ちをした。


「ダメですよ。手洗いはしないと。ミミズも戻してください」


 舌打ちに関しては、私は一旦スルーしてとりあえず手洗いを促す。

 ついでにミミズも返してあげるようにも。

 話の間ずっと握ってるのもどうなのかと思う。

 アリサさんはわかったよと返事をしたと思えば足元の、恐らくアリサさん本人が彫ったと思われる元々ミミズが寝床にしていたであろう穴に向かってそのミミズを握った手を振り下ろした。

 ずぼ!とそこそこ野太い音を轟かせてアリサさんはミミズを穴に突っ込んだ。

 一瞬遅れて私は叫んだ。


「ミミズさん!」


 あまりにも無慈悲。

 あまりにも残酷。

 これが、子供!

 時にしてこの世で最も残虐性を発揮するのは子供である……。

 しかしアリサさんはそんな私に構わず手をパンパンと叩いて泥を落としながら歩き出した。

 何たる自由度……。

 子供とは、往々にして、そういう物だ。

 しゃがんで穴を見て見ると、ミミズは穴の中でにょろにょろとしていた。

 しっかりと二匹。

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