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рассвет  作者:
調書報告
13/29

調書報告・02

「後の調査で、件のストーカーは私が当時の所属していたオンラインゲームのクランの元メンバーだったことが分かりました。近くに住んでいるから、という理由で何度も会おうと言ってきていた人物で、さすがに問題行動だとして強制脱退させたメンバーでした。それから期間も開いていましたので、私も思い付きさえしませんでした」


私の言葉にミッチェル少将は何度も頷く。


「最後の時、ししょ、訂正。あなたたちの言う『死線(デッドライン)』は包丁で刺されそうになりましたがそれを受け止めて包丁を落とし、男の顔面を掴んで柱に叩きつけました。下手をすれば死んでいましたね。相手が」


思い出して笑う私にミッチェル少将も小さく笑う。

クレアが小さく「無事でよかった」と言った。

頷いて私は続ける。


「『死線』は逮捕され、私は事情聴取のために警察署へ。あの場にいた他の方たちも調書のため警察署へ。しかし、私以外は、ほんの数分で釈放されました。『死線』もね。あの時の私はそれが理解できず、不思議でした。今となれば、日本の警察も驚いたと察することが出来ます。相当驚いたでしょうね、日本政府は」


「伝説の英雄が逮捕されたと知れば、ね」


ミッチェル少将は笑った。

恐らく、当時の日本政府は、冷や汗が止まらなかったことだろう。

ミッチェル少将は端末を操作する。


「逮捕された後が釈放された『死線』は事情聴取を終えて警察署から出てきた君を出迎えたと記載されている」


「出迎えた、というか、腕を組んで柱に寄り掛かってましたね。すごくめんどくさそうな顔をしていたのを覚えています」


「……それはまた」


「悪い人でもないんですがね。いい人過ぎるから、それで気負わせないように悪人面しているんです」


「記録にもあるな。1人を選び続けるための手段として周囲への敵対心を出すことで誰も近寄らせないようしていたと」


「それが恐らく、彼なりの秘密の抱え方と、味方の守り方、だったのでしょうね」


机の後ろにいるノンナが新しい煙草に火を点けたのが見えた煙でわかった。

寝ると言いながら、ちゃんと聞いているらしい。

私は続ける。


「後の調査で男は私がSNSに挙げた写真の景色や反射した体の一部などから私を特定していったらしいです。先程近くに住んでいたからなんdも会おうと言われていたと言いましたが、そのクラン時代は関東にいた、くらいしか言っていませんでした。同じ県内だなんてことも言っていませんでした。なので、逮捕された彼はその事実を知った時に運命を感じたと思って、行動したと、そう供述したらしい」


エレナが分かりやすくげんなりした表情になる。

ヴィクトリアがげ~と舌を出して感情をあらわにする。


「最初は私の住んでいる地区が分かって、それだけで運命だと思っていた程度だったらしいですが、いつのまにかそれが相思相愛のような認識にすり替わっていったのではないか?と証言に整合性を持たせると、そう判断できるらしいです」


「犯人は確か、精神的に通常の思考能力はないとして、隔離病棟へ行ったんだったね」


「はい。しかし、その隔離病棟を事件から二年後出ることになったと聞いていますが、その後の消息は不明です。本来予定していた厚生施設へ言った形跡もなく、家に帰った形跡もなく、もちろん私を探しているだとかもなく、ただ、消息不明です」


「……どこに行ったと思う?」


「……師匠が、恐らく」


「……」


エレナがやりかねないなと呟くと机の後ろからかっかっかっという乾いた笑いが響いた。

私も頷いた。


「その後、事件後暫くして君は『死線』宅に居候と言う立場になっているね。その時の話も聞きたいが、ここから少しずつ『死線』の正体を知っていくことになる、と記録ではある。まだ当時の『死線』は十九歳。『名も無き男(ジョン・ドゥ)』戦から半年後の話らしいが、なるほど、そう繋がるのか」


「男が逮捕後、その両親が家に来るということが起こりまして、それはすぐに収まりましたが、安全面を考えてやはり当分は師匠のお世話になろうという話になりました。またあのマンションかと思っていましたがあの部屋は一時使用だったらしく、ずっとはダメだからと師匠宅に行くことになりました。既婚者で、奥さんと娘もいますし、まあそんなこんなで私は師匠宅で居候になりました。私と師匠が出会って一年間は私が元々やろうとしていたゲーム開発の色々を教えていただいていました。特に師匠は、過去の経験を書物にした物を出版していましたからストーリー作成などの面を重点に教えていただきました。未だに、その点でも私は彼には勝てません」


「そこからさらに色々あり、結局君は、最後には軍人を志した」


「そうです」


「ではそこに至るまでの話を、きこうかな?」


「わかりました」


私は照れくさくなり、コーヒーを口に含んだ。


「これはただの女子高生だった私が軍人になるまでの話です」

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