第一話「カルマでの運命」
運命とは最初から決まっているのか?2024年現在の日本では、18の歳を迎えると雲の上に存在する教会カルマに行き、神ノヴァラにこれからの運命、総てが記されてるカルヴァン帳を授かるのだ。このカルヴァン帳にはその人の人生の総て、職業から死因、婚約者と細かく記されている。誰も憧れなど持たない。自由を考えもしない。抗おうともしない世界、秩序の完璧な社会が築かれているのだった。
運命とは最初から決まっているのか?2024年現在の日本では、18の歳を迎えると雲の上に存在する教会カルマに行き、神ノヴァラにこれからの運命、総てが記されてるカルヴァン帳を授かるのだ。このカルヴァン帳にはその人の人生の総て、職業から死因、婚約者と細かく記されている。誰も憧れなど持たない。自由を考えもしない。抗おうともしない世界、秩序の完璧な社会が築かれているのだった。
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第一話「カルマでの運命」
「さあ、目隠しをするんだ」夜明けの時大きな鎧を纏った顔の隠した兵が言う。
教会カルマの存在地は誰も知らない。 行き帰りは目隠しをして教会カルマへ向かうらしい。 2024年3月3日に18歳を迎えた薫は、カルマへ向かってた。足音だけが聞こえる殺風景のような場所の階段をひたすら上がって行く。
「なあ、護衛さん、あとどれくらいだ?」薫が息を切らしながら問う。 薫はすでに二時間ほど歩いていて、日頃運動をしていなかった為、疲れていた。
薫の問いに対しては「黙って歩け。」それだけを発して次々と駆け登る。
薫は、ずっとこの世界に疑問を抱いていて、是非神とやらを拝んだ暁には一発ひっぱ叩いてやろうと決めていのだ。
誰も憧れを持たない世界。総てが正しくある社会。婚約者もかかる病も総てを決められた世界。
「もおうんざりだ」薫はボソッと独り呟いた。
足音が止み、「着いたぞ」と目隠しを解かれた。
すると、約四時間光を見てないからか、視界がボヤッと神々しい後光に包まれた。数秒目が開なかったがしばらくすると、そこには雲の上に建つ全貌が真っ白に統一された教会があった。
「これがカルマ」ほんとの空の上にいる様だった。登ってきた階段を覗いても先が全く見えない。とても高度の高い場所にあるのだろう。
「進め。」護衛の男がカルマに続く道を歩いていく。少し進むと、どおおおおおおん!物凄く大きな門が開いた。「中に一人で入れ」護衛の男はそこに立ち止まりそう言う。
「寒くも暑くもねえ、疲れも無くなってる。」薫は不思議そうに自分の手のひらを見ながら半笑いでそう言った。
正直、想像以上の凄さに開いた口が塞がらない。中は式場の様な至って普通で白に統一された空間で先の見えない空間だった。しばらく歩いていく。
すると、ベルの音が響いた。ごぉーん、ごぉーん、
「ようこそ、教会カルマ’へ。そして、18歳のお誕生日おめでとう。観月薫さん」教会の壇上から女性の美しい声が響き渡った。
「貴女が、神様ですか?」すかさず薫は声の聞こえる方へ歩きながら問う。姿はまだ見えない。
「ええ、そうよ。私が、神:ノヴァラです」その彼女の声と共に姿が露わになった。それは白いドレスを身に纏った、少し背の低い丁度同い年くらいに見えるかわいらしい普通の少女だった。
「初めまして、神様。お会いできて光栄です。」薫は片膝を地面につけて今までの人生で一番美しい形でお辞儀をした。
その姿を見てノヴァラはニコりと笑い、壇上の真ん中にあるイスへと移動し机に置いてある書類をいじり出した。
「では、早速ですが、今日も後ろが詰まっているのでカルヴァン帳を読み上げた後、運命をお渡しします」ノヴァラが定期文のようなものを読み上げ、一人の人間にとっては人生が決まる瞬間が目の前にあった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、神様、少し話しをしないか?」薫はお辞儀の姿勢を解き慌てた神にそう言った。
「何かしら?」ノヴァラは書類から一旦目を離し薫を見てそう問う。
「神様はいつから神様だったんだ?あんたもカルヴァン帳をもっているのか?」薫は長年考えていた世界の疑問に触れた。
「そんな質問をして何になるの?」と神は言う。
「正直驚きました。今までこの秩序に守られた世界に疑問を持つ者はいなかったわ」ノヴァラは少し冷静さが溶けたような声でそう言った。
しかし、その姿は何か安心したようにも薫には見えた。ひっぱ叩く気力も失った。「いいでしょう、少しお話ししましょ」ノヴァラは以外にも乗り気で、書類を少し見て微笑み薫にそう言った。
「私が神になったのは母が死んだ時そう丁度、私が産まれて18年経った時。神となった者は子を産んで子供が18になると母は職を失い死ぬ運命。カルヴァン帳にそう書いてあるの。神に年齢という概念は無いわ。ただ子供を産まされ次の神が人間の言う18歳になると前の神は死ぬ。」
意外と残酷な話しを聞かされて薫は凄く驚いていた。このような話しは俺しか知らないんだ。
みんなは知ろうともせず、神様と言って、運命を他人に決めてもらっている。
「あんたはそれでいいのか?ノヴァラ」薫はそう迫る様な質問をした。ノヴァラは目を閉じ「えぇ、それが私の運命だもの」とそう言った。
薫には悲しそうに聞こえた。’タッタッタッ ’ノヴァラが足音に気づき目を開けると、目の前の机に薫が飛び乗っていた。
「逃げよう、あんたも俺も最初から決まった運命を歩むのは楽しくない!ここから抜け出して共に自由を探そう、」そう言って薫はノヴァラに手を差し伸べた。
記録ー2024 03 03ー 観月薫氏が神を攫った。ーーーーーー
第一章 開幕ー
毎週金曜日更新予定ー