No.11 冒険者協会からの呼び出し
ダンジョンから家に帰ってきて、両親に心配されたのは当然のことだろう。頭に包帯巻いてれば誰だって心配する。本来ならHPが守ってくれるため、怪我をする前に帰ってくるのが冒険者にとって常識だが、それをガン無視するとこうなるか死ぬ。
母がその日のうちに、病院に予約の電話を行いをして母の運転により病院に向かった。母強し、流れるように連れていかれ治療をしてもらった。
頭の出血は止まっていたので、新品の包帯に替えてもらった。幸い、骨は折れてなかったので打撲用にとシップを全身あちこちに貼ってもらい、予備のシップもダンジョンにも持っていけるようにたくさん貰った。
医者には安静にしておくことといわれ、母から3日間の外出禁止命令をくらった。
もう子供じゃない、酒が飲める年齢だと抗議したが....
「関係ない」の1点張りにくしくも敗れ、今現在、自分の布団の上でダラダラと過ごしていた。
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ダンジョンから帰って、2日ほど経った日に見知らぬ番号から電話がかかってきた。
まあ最初の3桁から個人の電話じゃないことが分かったので出ることにした。
「もしもし、錦戸様で間違いないでしょうか。」
「はい。錦戸ですけど。」
「私、岩手冒険者協会で受付をした華吹レイカと申します。覚えていらっしゃいますか。」
もしかして協会の電話で、個人情報を私的に使ってデートの誘いかと一瞬期待をしたが、それはないと思い、心を落ち着かせて受け答えをした。
「2日ほど前に『兎住まう楽園』に行ったとダンション管理者の前崎さんの聞きましたが、お怪我の具合はどうでしょうか。」
「数日安静にしてれば大丈夫みたいです。前崎さんってあのご高齢の協会員の方のことですか。」
「間違いないと思います。その前崎さんから連絡がありまして、そのことについて連絡しました。魔石はドロップしましたか。」
「あっやべ。売ってない。」
「そうでしたか。今回はこちら側の落ち度だったので、特に罰則等はありませんのでご安心ください。魔石に関しては国の所有物になりますので、今後気をつけてくださると助かります。
今回の件に関しては、私が担当することになったので近日中に魔石を持って、岩手の冒険者協会に来てください。よろしくお願いします。」
こんな感じで、冒険者協会から呼び出しを受けた。
それからすぐ行動に移した。母に緊急の用事ができたといい外出禁止令を解除してもらい、車を借りる。
ルンルン気分で準備したために一度、魔石を忘れて出発しそうになったが他に何事もおきなく、岩手の冒険者協会に向けて出発した。
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受付にいる華吹レイカさんを見つけ、話しかける。やっぱり何故か分からないが彼女のところには誰も並んでいなかった。
「あら錦戸様。お早いですね。魔石の買い取りしますね。」
そういった彼女に魔石を渡す。
「極小魔石が16個と、これはレアの魔石ですね。Fランクのダンジョンで出たんですか。」
「でないって聞いてたんですけど、出ちゃってラッキーと思って突撃したんですよ。そしたら大怪我しました。」
「大変でしたね。よく無事でした。レアな魔物は通常より強い個体であるので冒険者の方々は戦わず避けて通るんですよ。
それに、レアな魔物はCランク以上のダンジョンからしか出ないと言われていましたが、今日常識が変わりました。」
「世紀の大発見ってことですか。」
「そうですね。至急報告しなくてはいけない案件になりました。話を聞きたいので私について来てください。」
そう言って、彼女が受付から出てきて、個室に案内された。
「どんな魔物だったのか、覚えている範囲でいいので教えてください。」
ラッキーラビットのステータスはシンプルだったので伝えられることは伝えた。ついでにどのように倒したのか聞かれたので、スキルで倒したといった。
「ありがとうございました。ラッキーラビットは魔石以外に素材は落としませんでしたか。できれば、研究のために買い取りたいのですが....」
そんなことを上目遣いで言うなんて、もってけドロボーって感じに売った。
とても可愛かったです。
その後、現金を銀行に振り込んでくれるということで領収書をもらった。
極小魔石:100円×16個
ラッキーラビットの角:3万円(研究のため多少増額)
その他(情報料):10万円
税金等は先に引かれて計算されているため、
計13万1600円の収入を手に入れた。
ウハウハで帰ったのは当然のことだろう。
1章『ギャンブラー誕生編』終了です。
次は、掲示板回です。