魔女
フラグ回収回第3弾! 皆さんお待ちかねの、エロ回です!
でもでも、2人がイチャイチャするわけでは無いので、ご安心を。登場人物からして違うみたい。
好奇心がピカピカしている時にでもどうぞ。 ではでは。
言い忘れていました。ちょっと長めです。お時間には気を付けて。
*この世界に異世界転移した、本物の勇者視点。
おれの名前は、乱導ライト。ラノベ主人公みたいな名前だろう。おれもそう思う。
いつからか、異世界転移ものがはやり出してからは、何かと周りから、からかわれたものだ。
まったく不本意である。しかし、認めるのは癪だが、別にそっち系のジャンルが嫌いだったってわけじゃない。
しかし、まさかおれの身に異世界転移などという、超常現象が起きるとは。
おれは、まったく覚えのないまま異世界に来てしまっていたのだ。
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*時は遡り、一日前。
ぶちぎれ中の女神がいた。今日の仕事、多すぎて、死ねる。何でこんなに人が増えてるの。
昔は人口とか少なくて、琴とか奏でながら、神殿でゆっくり午後の紅茶とか楽しめていたのに。
マッハ1の速度で道路を移動中に人にぶつかってしまった。う、やばば。
ああ。残念ながら、手遅れのようだ。空中に吹っ飛んでいった人間の身体は、後5秒程で宇宙空間に突入する。
うん。瞬間移動しても、空気の摩擦熱で蘇生魔法をかけるより先に消し炭になってしまいそうだ。
なら、仕方ないわね。願いの玉と、異世界転移する、魔法のチケットを手裏剣のように彼の下に飛ばす。
彼の身体がこの世から消し去られる直前に異世界転移させる事に成功したようだ。転移に使われるエネルギーの余波が彼の身体を再構築し、蘇生させる事ができるだろう。
私は事無きを得てホッとした。これで、願いの玉に彼が元の世界に帰りたいと言えば、何事も問題なく、済むはずなのだ。しかも、身体能力または知能をチート級まで変えて、何のリスクもなく帰って来れる。
これは事故に巻き込んでしまった、ささやかな借財だ。願わくば、人類発展の起爆剤にまで成長してくれると、私は嬉しい。
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*乱導ライト(以下ライト)視点。
目が覚めると、おれは異国の路地のゴミ置き場の方に放り出されていた。
衣類にしみ込んだ腐敗臭に思わず、顔をしかめる。
何だ。ここは。見慣れない風景。時代を感じさせる。建物。人間以外の種族たち。
なるほど。どうやら、ここは最近流行りの異世界ってやつだな。何だ。こんなとこになぜおれはいるのだ。
早く家に帰らなくては、飼い猫のミーちゃんにまだごはんをあげていない。
帰る手段を探さなくては。うん? ポケットに何かが入っている。つまみ出すと、拳台の水晶の玉のようなものだった。
そして、タグに書いてある、仕様書を確認すると、どうやらアラジンの魔法のランプのような代物らしい。
何だよ。秒でマイホームじゃん。そこでおれは長年のおれの夢を叶える事にした。
ほら、某映画であっただろう。何とかの城とかいって、異空間への扉付きの便利なお家。
あれの「異世界対応最新式のモデルハウス」だ! 強力な超能力を手に入れたり、最強の武器を手に入れたりとかは、興味ないかな。
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どんな夢のような家を手に入れたかは皆さんの想像にお任せするぞ。
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寝っ転がったお布団の中でステータス・オープン!
なになに! おれはどうやら、勇者のようだぜ!
神様、おれに何か出会いイベントプリーズ!
「おお~い! っておいおい。おれはそこまで強欲じゃねえよ。」
こんな素敵なマイホーム貰って、すぐ家にも帰れるし、異世界にも遊びに来れる。
それだけで十分じゃあねえか。
どれどれ。一眠りすっか。ふああ。
おおきな欠伸をしたおおきな口に、突然、クシャクシャにされた紙切れが放り込まれた。
「ぐ。ゴホゴホ。何だ。これ。」
広げて見てみた。
以下内容・・・
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贅沢言うな!
願いを叶えるのはこれっきりだ。
お前の脳内スキャンをして、好みの美女とのお見合いをセッティングした。
以下日程は・・・。〇〇年/〇月/〇日。拒否する事は許さん。分不相応の願いの代償だ。
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えええ。何この脅迫文からの出会い系イベント。何で?
異世界転生ものの主人公ってこんな感じだっけか。
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ふざけんな! おれの異空間へ行ける扉の6枠のうち1枠をヒロイン(仮)の実家に固定されているとか、集合時間が2時間後とか、不満しかない。やるせない。
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取り敢えず、実家帰ってから、スーツに早着替え。近所のお花屋さんのきれいなお姉さんから、赤いバラの花束を買い、シトラス系の香水を身にまとい、おれはいざ戦場へと舞い戻った。
コンコン。扉をノックする。あの洋風のドアに良く付いている、ライオンさんを使った。
くぐもった音。
「あの。お邪魔します。」
ドアが勝手に開いた。集合時間の5分前だ。入ってもいいんじゃね。
絨毯が淡く光り、矢印の型をとる。
うん。おけおけ。右に曲がって、階段を上がって。それから廊下を直進。曲がり角の2部屋目か。
ここだな。ここなんだな。
しかし、誰も出迎えてくれない事を考えると、おれは招かざる客か。そうだとしたら、おれ、帰っていいかな。しかしだ。一言だけ声をかけて立ち去るのが礼儀というものだろう。
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「入ってくれ。そのう。何にもない、粗末な部屋だがな。」
うわあ。薬瓶やら、何か怪しげな鉱物やら、魔導書らしき書物やら、ぎっしりの研究室だった。
「今から君に、お届け物を頼みたい。」そう言って振り返った、白衣のライムグリーンがかった銀髪の女性は、俺を見ると人懐っこい笑みを浮かべたのだった。
「え? あ、はい。あのう。伺っていたお話しとだいぶ違うのですが。」
「何を言っているのだい? 何ら問題はない。それで、私の頼みを聞いてくれるのかい?」
彼女の妖艶な笑みがおれを貫く。クッ。おれはカエルだ。
「どのようなものをを宅配すればよろしいので?」
彼女は満足げに微笑み、何やら書類も一緒に手渡してきたのだった。
~以下書類の極秘内容~
夫婦専用のおもちゃ
*5感を最大限まで高め、それら全ての快感を融合し、通常の行為の2乗倍の快感を得ることをができます。(感覚が共用される。)
*直、異空間ではありますが、プレイヤーは2人用です。
*エルフ族、ドワーフ族、ニンフ族、人間、その他各人種のカップルをデータを基に研究を進めさせていただいております。
*特に長寿で感覚が鈍くなりつつあるエルフの熟年夫妻にも大変好評であります。
~2人の愛を永遠に~
要するに、大人のおもちゃである。ええええ。なにこれ。エッチ岩。
おれは泣く泣くダッシュで村はずれの屋敷へ行き、ポストに投げ込んで、家に、元の世界に帰ろうとした。
*ヴァレンタイン家(レイ宛て)と書かれていた。
もう、いいよね。頼みを聞いてやったし、おれは無断で帰らせてもらう。何てハレンチな女なんだ。
あんな、清楚そうな見た目なのに。知ってるよ。その願いが男の歪んだ願望だって事も。
でも、あんまりだ。すっごく俺好みだったのに。
おれはこの村には一生足を踏み入れないはずだった。2度とかかわるまいと思っていた。
「見~つけた!」突如、頭上に彼女がワープしてきた。
ぎゃああ。痴女に否応なく組み付される。
「ええい。離せ。痴女め!」
「ちょっと。暴れないで、私の話を聞いてくれないか。」
一生懸命ながら支離滅裂な彼女のお話をまとめるとこうだ。
普段は薬学を研究し、未知のウイルスや、怪物などを駆除する猛毒などの研究などをしているそうだ。
そして、先月の事だ。どうやら、千年の時を生きるエルフが、どうやら、生きる希望や情事にマンネリ化し、鬱になる人々が増えているらしい。
そういう時代の流れで、白衣の魔女である彼女にお知恵を借りにきたところ、実験の産物ではあるが、とんでもない代物が出来てしまった。
もちろん、販売も宣伝もしないつもりであったが、これが大ヒット。莫大な資金を動かすベストセラーになった。口コミってのは恐ろしい。
かなりの貯金がたまった彼女は看板をおろし、雲隠れする予定なのだという。そしてその駆け落ち相手におれが選ばれたとのことだ。
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「私、こんないかがわしい商売をしてしまいましたけど、もしあなたが差別をお持ちでないのでしたら、私を選んでくれませんか。」
後ろからそっとおれに抱き着く彼女。柔らかな感触と爽やかなラベンダーの香りがおれの理性を破壊する。
女の子ってなんでこんなに可愛い雰囲気というか、場を作れるのだろうか。
傾国の美女とはよく言ったものだ。
おれは彼女には敵わない気がする。
気づけばおれたちは一緒にお花畑を見まわしていた。
彼女の艶やかな瞳に映るお花畑は、この世の何者にも代えがたい、美しさを醸し出していた。
それは、深い紫紺の宇宙の銀河のような奥深さ。
そして、黄金を纏った神々のような雄大さ。
彼女の瞳は左右非対称の色をしていた。
彼女の美しいご尊顔に見呆けていたおれは、彼女の耳が少しばかりとんがっている事に気付く。
彼女は、クスリと笑い、
「私の名前はユーグレナ。まずはお友達からよろしくしてくださいね。ちなみに、私はハーフエルフです。あまりにも耳を見て来るんだもの。」
ユーグレナさんはそう言って顔を少しばかり赤らめて、目をそらす。
「ちなみに、お父様はイヴァリアント様よ。」
おれは、最後の言葉まで耳に入ってこなかったのだった。
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おれの新居のゴミ箱の中の揉みくちゃの書類に「お2人方、お幸せに。」と透かし文字がうっすらと夕焼けに照らされ浮かび上がっていた。
ううん。レイシャさんとレイのお話考えるの楽しい! 平和な世界観がお気に入りなのです。
そう言えば、あの色ってそういう意味があるらしいですよ。
バイク好きならこのネタ即バレだったかな。(笑)
*近々、ネタ解説番も作ろうと思います。君はいくつ解読できたかな?
自分で探すのが好きな人は見ちゃうと楽しみが減るので、スルーしちゃって下さい。




