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ポンコツ公爵令嬢は変人たちから愛されている  作者: 大鳳葵生
第3章 ポンコツしかできないこと
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24話 ヴィクトーリア・フランスワという女性

 ヨハンネスと顔をあわせることなく夜を迎え、朝日が昇る。グレイ様の生誕祭まで残り119日。気がつけば結構な月日が経ちましたわ。


 いつの間にか夏がすぎ季節もすっかり秋に移り変わっていました。


「なんとかヨハンネスを説得しますわよ!」


「が、がんばりましょー」


 あまり乗り気でないメルヒオール様。本日午前中の屋敷内護衛当番のようです。


 ジェスカよりもヨハンネス避け効果が薄そうね……? ダンゴムシって何が来ると避けるのかしら? なんの話だったかしら?


 メルヒオール様と二人、ヨハンネスがいそうな場所をうろつきましたが、想像通りどこにもいらっしゃいません。


「屋敷にいないのではないでしょうか? どこかに探しに行くべきです」


「そうでしょうか? ああ見えて責任感のある方ですよ? ですからきっと私の傍にいらっしゃいます」


 でもどのように誘い出しましょうか? ヨハンネスって何したら喜ぶの? 女装させたらとかですか?


「そういえばヨハンネスはクエンカ領出身だったと伺ったことがありますが、どうなんですかクエンカ家嫡男さん?」


「ええ、フランスワ家はクエンカ領の騎士一家ですからね。ヨハンネスの親もキョウダイも知っています」


 つまりメルヒオール様はヨハンネスの幼馴染みということですね。でしたらヨハンネスの幼い頃のお話でも聞いてみましょうか。


「ヨハンネスいえこの場合はユーハン様とお呼びすべきでしょうか? 彼の幼少期はどのような感じだったのかしら?」


「そうだね。ドレスを着ていたよ」


「その頃からですか」


「ええ。最初は女の子と間違えてしまいましたよ。確かヴィクトーリアと名乗っていました!」


「ヴィクトーリア? へえ昔はそうなのっていらっしゃったのですね」


 ではラウラという名前は途中から名乗り始めたのかしら? ヴィクトーリアね。どこかで聞き覚えがあるような……。


 そうですわ。幼い頃にいたユリエ様の侍女がそんな名前だったわね。


 髪もヨハンネスと似たような色だったような気がするのですよね。さすがに年齢的にも別人でしょうけど。私ヨハンネスの年齢知らない気が……


「あれ? そういえばヨハンネスっておいくつなんですか?」


「え? ご存じなかったのですか? あいつはもう25歳ですよ?」


「あ、それなりに上だったのですね。お顔が可愛らしいからもっと年が若いかと」


 メルヒオール様は以前お聞きしました。確か28歳でしたよね。……もしかして16歳の私ってかなり若い? グレイ様も若い。一応年上ですけど。


 ユリエ様のところにいたヴィクトーリアとあったのは十年ほど前かしら?


 十年前のヨハンネス……まさか同一人物ということはありませんよね? 一応ユリエ様とヨハンネスはこの前一緒にいらっしゃいましたが、そのような気配はありませんでしたし。


 でも似ている。それに名前の一致もあるのよね。まあ、ありふれた名前ですし、金髪なんて腐るほどいますし、考えるだけ無駄ね。


 それにユリエ様の侍女なんだから正真正銘女しかありえない。つまり別人ってことでいいのよね?


 その後もいくつかお話をお聞きしましたわ。お忍びでグレイ様がいらっしゃったこともあったそうです。


 まあ、仮にもグレイ様とヨハンネスははとこですものね。忘れそうになりますがヨハンネスのおばあ様は王族。


 つまり私よりも高貴な血が流れている!? まあ、グレイ様もそうですし、あまり気にすることはありませんね。


「話が脱線しましたね」


「またですか。今ルクレシア様絶対に頭の中の考え事が脱線しただけでしょ? せめて声に出してください」


「……? そうね私が一番高貴だということよ」


「それで納得しましょう」


 メルヒオール様も随分私へ順応してくださいましたね。関心関心。


「ってこんなことしている場合ではありません! まずはヨハンネスをおびき寄せます! メルヒオール様もお力添えよろしくお願い致しますわ!」


「君が後宮入りしないためにも……」


 私はメルヒオール様に対してにっこりと微笑みかけますと、メルヒオール様もつられて笑顔を作りましたわ。


 メルヒオール様のお顔を両手で抑え、私は目を閉じ少しずつ顔を近づけましたわ。


 その瞬間でした。後方からがさっという物音。私は小声でメルヒオール様に声をかけましたわ。


「後ろにヨハンネスがいます。捕まえなさい」


「畏ましました……ドキッとしたぁ」


 メルヒオール様は一目散に物陰に飛び込むとヨハンネスを発見したようです。こんな方法に引っかかるだなんて。


 私って優秀な交渉材料なのではなくて? 嬉しくないわね。でも私ってこういうとこしか強みないのよね?


 んー? 何か武器がほしいものね。考えておきましょう。


「捕まえてきましたよ」


「ありがとう。さーてヨハンネス今からじっくりお話しましょう? 嬉しいでしょう?」


「え、ええとっても」


 引きつった笑顔のヨハンネス。まあ、嬉しそうだこと。いい子だからしっかり縛り付けられましょうねー?


 メルヒオール様と二人でしっかりと縛り上げたヨハンネス。もう丸まることしかできませんよ? ダンゴムシの姿勢で媚びへつらいなさい。


「貴方が私から避けていた理由は想像つきます。三日間逃げ切ればよいと考えたのでしょう?」


「ええ。お嬢様を護る為には、王宮に閉じ込めるべきだと……ナダル領が戦場じゃなくなった今。お嬢様がこれ以上危険な場所に行く理由は御座いません」


 確かに私が王宮を飛び出した理由はエレナの故郷まで侵略してきたデークルーガ兵を退けるため。それにはヨハンネスも同意してくださっていたようです。


「いいですか? 私はこれ以上関係ない誰かを苦しめたくないのです」


「それは……お嬢様が苦しんで良いという意味にはなりません」


 お互いの主張がかみ合いません。ではメルヒオール様と同じ手法で行かせて頂きましょう。


「私、もしこのまま王宮に閉じ込められてしまうのであれば、そのまま後宮入りしようと考えています」


 どうです? これならばあなたもデークルーガ帝国密入国作戦に賛成してくださいますよね?


「それでも……お嬢様が、ルクレシア様がご無事だと言えるなら。ご自分の意思で後宮入りされるのでしたら……ユリエ様のような方にお嬢様を渡すくらいなら!」


 あら? 固い意志ですこと。私を欲するより私の安全ですか。うれしいですが。今はそうじゃなくてですね。


 ユリエ様は確かに可笑しな方かもしれませんが、何故そこまで気にされているのでしょうか?


「それは……ヴィクトーリアに関係するお話ですか?」


 私の言葉を聞いたヨハンネスは一瞬だけ目を大きく見開いたように見えましたが、見間違いを疑う程度の早さでした。


「私にその話は教えてくださいませんの?」


「これは……すみません。言えませんけど、それでもルクレシア様をユリエ様のところに行かせたくないんです」


「そうですか。あなたの説得は後回しにしましょう。オルガお義姉様の攻略も難しそうなのですから。ここに時間を使いすぎることはできません」


 私はメルヒオール様に縛り上げたヨハンネスの開放を命じ、その間に屋敷に戻ることにしましたわ。


 どうせお義姉様もヨハンネスも説得できそうに思えません。でしたら私が取る最後の説得手段を出すしかありません。


 今回は彼のことを少々頼りすぎかもしれませんが、使えるものは使いましょう。


 こういう時のアウトローですよ?

今回もありがとうございました!!

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