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ポンコツ公爵令嬢は変人たちから愛されている  作者: 大鳳葵生
第2章 公爵令嬢でもできること
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1話 公爵令嬢と隣国の姫殿下

 社会情勢の知識が足りない私は、次期公爵であるお兄様から、様々なことを学び、政治の知識ならある程度理解できるようになりましたわ。それに加え、他家がこれまでに行ってきた政策などもある程度復習しました。


 例えば我が親友、レティシア様のご実家、クラヴィウス伯爵家は、領地にある樹海から新種の植物などを発見し、珍しい花や農作物などを特産にするために、行商が行き来しやすい街道の整備や、植物の知識に精通した方を頻繁に招き、領地内でできる様々な農作を考案されています。


 クラヴィウス伯爵は、農作や農作物に関わる商業に対してかなり力を入れていらっしゃいますわ。おかげでクラヴィウス領の平民たちは手に職を持つ方々であふれ、また他の領地からも出稼ぎに働き盛りの方々が出入りされています。


 他には、エミリアさんのご実家ね。ディートリヒ伯爵家は主に金属加工に力を入れていますわ。特産品も武器や鎧、王国兵の防具などはほぼディートリヒ領産です。優秀な鍛冶屋が集まっていらっしゃいますわね。あまり土地がよくなく農作に力を入れにくい領地に対し、農業で使うクワやカマなどを生産することで代わりに農作物を頂いていた地域の名残だそうです。


 クラヴィウス領とディートリヒ領はかなり距離が離れているせいで相性こそよさそうですが、あまり親密な間柄ではありませんね。


 他にはエレナの実家ナダル辺境伯。あそこは主に隣国であるデークルーガ帝国との国境警備などを担っていますわ。また、デークルーガ帝国相手に国交を担うのもナダル辺境伯の仕事ね。あちらの国からの物流もある為、ナダル辺境伯はアルデマグラ公国の中でもかなり有力な貴族でもあります。


 ナダル領は広大で、大きな山脈の上にあり、名馬の産地というのでしょうか。我が国の名馬は主にナダル領の出生のことが多いですわ。確かグレイ様の愛馬のご両親にあたる馬も、ナダルの馬だったはずです。


 他にも色々知人の領地の事情などは覚えておきましたわ。


「……ルクレシア」


 後ろから突然呼ばれ、振り返るとエリオットお兄様がいらっしゃいました。


「もう時間かしら?」


「……そう……王宮……行く」


 お兄様はそうつぶやくと、エントランスの方を指さしましたわ。お兄様の指示通り馬車に乗り込み、馬車にはすでにお父様がお待ちしておりました。


 御者さんと私たちベッケンシュタイン家の護衛に五名の方々が別の馬車で後ろからついてくることになりました。勿論、そこには私の護衛であるヨハンネスも同席しています。


「ルクレシア、本当に行くのかい?」


 お父様が少しだけ心配そうに私を見ていますわ。私をなるべく外に出したくないのでしょう。それに、周りからの目もあります。あのような事件の直後に、その事件のせいで誘発した宰相の失脚。ある意味その原因の私。周りからはとても目立つのでしょうね。


「行きますわ。この国のことをもっと知りたいの」


「そうかい。では、私から言うことは何もない。エリオット、わかっているな?」


「……大丈夫……俺……兄……妹……護る」


「喋り方が不安なのだがなぁ」


「……平常運転」


「ルクレシア、エリオットが他の方とちゃんと会話できるように頼むぞ」


「立場が変わってしまいましたわ。ええ、いいですけれど」


 兄の社交性のなさは致命的ですわね。未来のベッケンシュタイン公爵が今から不安で仕方ありません。これは兄嫁に期待するしかありませんわね。ですが、兄はいつ結婚するのでしょうか。婚約者の方はいらっしゃるはずなのですが。


 馬車の中で他愛もない会話をしていますと、王宮に到着致しましたわ。護衛達もそれぞれ私たちの近くを同行し、会場に足を運びましたわ。


 お父様は公爵家当主の為、指定された中央の席に向かい、お兄様は、各貴族が後継ぎを隣りに座らせられることから父の隣りに行きました。


 私は当然、政治不参加の為、傍聴席に座らせて頂きましたわ。現在、招集可能なすべての伯爵家以上の身分の貴族の当主と、その後継ぎが参加していらっしゃいます。


 それにしてもここ、とても素晴らしいですわね。婚約者候補になりうる方々がたくさんいらっしゃいますわ。近場にあった傍聴席に腰を下ろすと、他には各貴族の次男三男。伯爵家未満にあたる子爵家や男爵家の当主。それから参加している貴族の家族にあたる夫人や令嬢もいらっしゃいますわね。しかし、さすがに女性の参加率は低いですわね。


 会議を行う講堂の中には、護衛を連れてこられない為、ヨハンネスは外で待機しています。周りは知らない人だらけですわね。少しだけ心細いですわ。そう考えていたらお隣に座られても宜しいでしょうか。と、女性の声が聞こえ、声の主の顔を確かめると、そこにはレティシア様がいらっしゃいましたわ。


「あら、レティシア様」


「ルクレシア様も参加されているのですね」


 やはり親友であるレティシア様から見ても、不可解な行動なのでしょう。私がこのような場に顔をだすイメージがなかったのでしょう。


「今回は特別といっても過言ありませんわ。特に原因なのですから」


「……そう、ですね」


 暫く二人で話していると、議会の中心にとある人物が現れ、周囲の人々の声が騒がしくなってきましたわ。中央の国王陛下、その隣に座る王子殿下のグレイ様。


 そして何故いらっしゃるかわかりませんが、グレイ様から見て反対側に座るのは、隣国デークルーガ帝国の姫殿下がいらっしゃいましたわ。


 ユリエ・ファンデル・デークルーガ。特徴的なほど綺麗な銀髪は、光が当たると少しだけ青いように見える綺麗な髪の女性。隣国の姫殿下が何故我が国の会議に参加されているのでしょうか。そして彼女は私と同様の桜色の瞳をしていますわね。一応デークルーガ家は私のお母様の実家でもあります。彼女とは幼い頃に少しだけお会いした程度ですが、大人になってもすぐに彼女とわかるくらいには、彼女の姿は特徴的すぎますわ。


 そして彼女も傍聴席の私に気付いたのでしょう。その桜色の瞳が私を捉えましたわ。中央の議席の中で、唯一座る女性の彼女のことは一切説明もなく、次期宰相を決める話し合いが始まりましたわ。他の方々も何故彼女がと思っている方々も少なくありませんが、特に理由もなくデークルーガ帝国の姫殿下に口出しできる方なんてあまりいらっしゃいませんわ。


 ちなみにうちのお父様は当然、妻の実家の為彼女がいることを知っていたのでしょう。お兄様ともども大して驚いている様子がありません。もっとも、お兄様はよほどのことがない限り驚きはしませんが。


 様々な貴族が自薦他薦する中、国王陛下がリンナンコスキ公爵閣下を推薦してくださりましたわ。どうやら私が施行したわがままが通ってくれたのか、単純に国王陛下は元よりリンナンコスキ公爵閣下を推薦するつもりだったのか。今となってはどうでもいいですわ。


 当然、わが父ベッケンシュタイン公爵閣下を押している保守派の貴族たちからの反対の声が上がりましたわ。そこで突然ユリエ姫殿下が立ち上がりましたわ。


「静かにしてください。天啓が聞こえました。リンナンコスキ公爵閣下こそ、次期宰相に相応しいでしょう」


 ああ、天啓それですか。他国の会議でもやりますのね。


「天啓とは何のことでしょうか?」


 レティシア様は知らないのでしょう。私も彼女が血縁だから存じあげていたのですが、あれが彼女の最大の特徴なのです。


「彼女、ユリエ姫殿下は神の声が聞こえるとよく仰る方なのですわ。まさか、他国の宰相を決める会議に参加してまで、天啓それを言いに来るとは思いもしませんでしたが」


「それはそれは、変わった方なのですね」


「そうですわね」


 しかし、傍聴席の私たちには発言権はなく、代わりに思っていることを言ってくださる保守派の貴族の方々。


「天啓とかふざけているのか!」「我が国の政治に関わるな!」「女が政治を語るな!」「国に帰っちまえ!!」


 皆様、その方は他国の姫でしてよ?


 ですが、我が国の政治に天啓などと言われなおかつ自分たちに不利なことを言われてしまえば、当然文句も出てくるでしょう。それと、あなた方が推しているベッケンシュタイン公爵の妻であるベッケンシュタイン公爵夫人のご実家の姫でもありましてよ?


 しかし、このような場で天啓とか言い出す方と血縁といいますのは、少し恥ずかしいですわね。


 新章スタートです!


 簡易キャラ紹介は復活するかどうかは未定です。


 何もできないと悟ったルクレシアが語り部となるため、様々なことに興味を持ち勉強するに奮闘し、そして当然変人たちが集まります!


 第二章は一章以上に面白くなるように頑張ります!!


 今回もありがとうございました。

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