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第8話 物体改編スキル



「さてと、一抹の不安を覚えるが物体改編スキルでも見るとするか。」


『大丈夫だよ。多分』


「多分ね。ステータス。」


 そして僕はステータス画面からスキルウィンドウを開きその中にある物体改編スキル(Lv.1)をタップした。



スキル:物体改編(Lv.1)


説明:物体改編スキルは生命を持たない物の性能を変更する事が出来るスキルである。

Lv1〜Lv.10まであり、Lv.10なら全ての物に対して物体改編スキルを行なう事が出来る。

生命を持つ物についてはこのスキルは発動しない。

1文字付け足す、もしくは減らすのに魔力を10消費する。



「うん、シルフィ。このスキル使い道ある?無くね?」


『う〜ん、多分このスキルはさっきの万物創造スキルの図鑑にあったじゅんようかんとかせんとうきなどの機械に対して使う物じゃない?万物創造スキルと物体改編スキルはセットなんだよ。』


「いやいや、万物創造スキルは過剰過ぎなんだって。」


 あんなミサイル巡洋艦や戦車や戦闘機などこの世界の文明レベルからしたら明らかに過剰戦力であるのは明白であった。


『兵器以外にも色々あったじゃない?』


「21世紀の地球を知らないからそう言えるんだよ。例えばこの世界にもある弓矢をな、21世紀の技術を使って作るとだな射程距離が数百メートルにもなるんだぞ?」


『弓矢で射程距離が数百メートル!?確かにそれは凄いね。』


 コンバットクロスボウという物ならカーボン製であり、射程距離が200m近くある。

 しかもこの時代の弓矢より軽くて丈夫で小型である。


「これはまだ一般には普及してなくてまだ研究段階だが、俺の細胞一つでもあったら、全く俺と同じコピーが作れる技術もあるんだぞ?」


『生命の複写?』


「そうだ。クローンという技術なんだがな、新たな命を意図的に作れるんだ。流石に人の尊厳に関わる事だから反対もあるが、俺の居た日本っていう国はそういう事に対する意識が薄かったし、技術もあるからな。他の技術がある国に対して普及するのにそう時間はかからないと思う。」


 正確には国民の意識が融和的というよりアニメなどの文化の影響により、国民の意識がそうなっているだけなのである。

 しかしアニメなど無いこの世界にその事を説明するのは非常に面倒である。


『凄い科学技術力だね。』


「あぁ、恐ろしいよ。文明の発達は戦争の引き金にもなるしな。文明がそれだけ発達していたら自然に与える影響もそれだけ増える。俺が居た国は持っていないが、都市を1発で更地に出来る爆弾もあったほどだ。」


『都市を1発で更地に?それはもう私のような大精霊にしか出来ない事だね、それを人間が?』


 核爆弾により都市一つを破壊出来る物だが、過去資料としてもその映像を見た事が無いシルフィが信じられないのも無理は無い。


「あぁ、まぁそんな兵器は使いづらい為か、使えない兵器の代名詞にもなっている兵器だけどな。」


『この世界にもあと300〜400年経ったらそんな事になるのかな?』


「分からない。この世界には魔法という不確定要素があるからな。」


『そうか、』


 魔法があるこの世界と魔法が無い地球の歴史の歩みを同一視するのは無理がある。

 例えば地球で数週間かかる土木作業も魔法があるこの世界では土魔法により一瞬で終わるのである。


「精霊がつくった人間が精霊の根源である自然に影響を及ぼす事になるんだよ。」


『その言い方に悪意を感じるな。』


「間違っては無いだろう。精霊が遊び半分でつくったのが人間だろ?暇つぶしに人間と契約するってこの前言ってなかったか?」


 精霊は死ぬ事もあるが、永遠の時を生きているのである。

 精々百年も生きられ無い人間と契約する事は精霊にとって良い暇つぶしでもあるのだ。


『はぁ〜、いくら私達がつくったとはいえ仮にも命がある人間に遊び半分で契約する事は無い。』


「まぁ、そうだろうね。じゃ無いと大精霊でもあるシルフィが俺と契約する事は無いからな。」


『分かってて言ってたのか?』


「大精霊には人の心を読む力があるんじゃ無かったっけ?」


 中位精霊•上位精霊とその上の大精霊は人が考えている事を読む事が出来るのである。

 当然、風の大精霊であるシルフィが契約者のレインの心を読む事は造作も無い事である。


『なんでお貴方にそんな力を使う必要があるとは思えないけど?レインは自分が転生者だと私に話してくれたじゃないか?普通そんな話はしないわ。』


「信用してくれてありがとう、シルフィ。」


『ふふふ、どういたしましてレイン。そう言えばレインは転生前どんな仕事をしてたの?』


 シルフィはレインが地球からの転生者だと知ってからずっと気になって事を聞いた。

 いくら転生者でもレインの知識量は異常であった。

 じゃ無いと知力1250なんていう数値が出てくるのはあり得ないのである。


「え?俺は国立の科学技術研究機関の研究開発者だったよ。」


『研究開発者?何について研究してたの?』


「色々だよ。防衛技術研究開発本部というまぁ軍事研究所だと新型推進システムについての研究だね。さっき万物創造スキルの図鑑で大っきい船があったろ?」


 防衛技術研究開発本部とは防衛省管轄のいわゆる軍事研究所である。

 当然防衛技術研究本部は国の研究機関である為、そこに勤めていた事はとても優秀な証拠でもあるのだ。


『確かみさいるじゅんようかん、だったかな?』


「ミサイル巡洋艦だよ。その艦艇に搭載される推進システムの研究開発をしていたんだよ。その研究開発が成功してね、今度はレールガン、電磁加速砲という次世代の砲を研究していたんだけど直ぐに完成間近になったから俺は要らなくなってね。また別の国立研究所に移動になったんだ。」


『なんだか聞いている限りでは優秀そうな研究者だね?』


 実際に優秀な研究開発者であったのだが、その時に女神エリフィスによって殺されたのだ。

 もしあの時、殺されてなかったら色々な研究に関わる事が出来たと思うが、自分はこの世界も結構気に入っているのである。


「そうか?この類の研究になると一人でどうこう出来る話じゃなくなるからね。数十人、下手したら百人体制になるから、俺はその歯車の中の一つだね。」


『ふ〜ん、大変そうだね。それでそのぼうえいぎじゅつけんきゅうかいはつほんぶって言う所を離れて何をしてたの?』


「次は理化学研究所と言う所で新型バッテリーと言う電気という物質を貯める装置の開発チームに入れられたんだ。そしてやっと完成して家に帰る途中で女神エリフィスに殺されたんだよ。」


 研究開発者としての人生を大まかに説明したが、自分でもこの研究者人生は凄いと思っている。


『ほんと、研究開発一筋の人生だったんだね。』


「前世の事は良いんだよ。今俺が生きているのはこの世界だ。そうだ!精霊王について教えてよ?」


『ふふふ、貴方ってやっぱり面白い。』


 僕はただ単に気になってた事を聞いたのだが、シルフィはクスクスと笑い始めた。


「ん?どいう事?」


『普通の人はね、契約した精霊と話す時にね、精霊様とか様づけで呼ぶのよ。精霊王について聞いてくる人なんて今までいなかったのよ。なのに貴方は精霊様って呼んだ事あった?』


「1回も精霊の事を様づけで呼んだ事無いと思う。だってなんか呼びにくいし、シルフィもシルフィ様なんて嫌だろ?」


 精霊がいない世界から来た自分はこの世界での精霊に対する考え方を知らない。

 この家に生まれてきて多少は教え込まれたが、やっぱり精霊に対して様付けは何か違和感がある。

 しかしシルフィはそんな自分を気に入っているみたいなので特に変えるつもりも無い。


『もう慣れたわ。でもはっきり言って嫌だわ。レインはそんな様づけで呼ばないから好きだわ。』


「ふふふ、ありがとうシルフィ。」


『どういたしまして、じゃあ精霊王について説明するわ、その代わり。』


 分かっているわよね?っと目配らせをしてきたシルフィだったが、そんな事は百も承知である。


「分かってる。他言無用だろ?」


『ふふふ、流石ね。』





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