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第52話 テスト結果

 


 数週間遅れた第一次総合テストも全科目終了し、生徒達が疲れて寝静まっていた頃、校舎では先生達が必死にテストの答案の採点を行っていた。

 今回のテストは年3回あり、それで次年度の学年順位やクラスなどが決まる重要なテストである。

 数点の差が今後に大きく影響するテストであり、先生達も必死である。


「エミリア先生、Sクラスの数学のテスト20名全ての採点が終了しました。まだ他のクラスを含めて全ての採点は終わってませんが、1位は出ました。」


 リフェルティア学園はSクラスからGクラスまでの8クラスあり、Sクラスのみが20名で、残りの7クラスは各40名の1学年300名である。

 テストの教科は全13教科であり、基本教科4教科と副教科8教科であり、各教科は200点満点であるが、精霊魔法のように筆記試験が無い教科もある。


「あら?誰かしら?」


「1位は200点中200点でレイン•ファリアです。ちなみに同率2位は187点でエルナ•クリフォスとラーラ•エリストルです。しかし、まさか満点を取られるとは思いませんでした。」


 そう、数学の教科担当は満点を取られたのが悔しそうに呟く。

 レインとエルナはその身分を隠して入学している、もちろん担任であるエミリアはその事を知っているが各教科担当は知らない。


「あら、レイン君が一位だったの。彼は入学試験に満点で合格したからね。貴方の事だから簡単なテストではないでしょうけど。」


 800点満点の入学試験テストに800点で合格するという前代未聞で入学した為、さぞ良い点数を取ると思っていたが、まさか満点だとは思わなかった。

 ちなみにレインの姉であるルーシアは1年の第一次総合テストでは数学は191点であった。


「当たり前です!現在Sクラス•Aクラスの2クラスの採点が終了していますが、Sクラスの平均が162点、Aクラスは153点ですよ。」


 SクラスからGクラスまで全てのクラスが同じテストを受ける。

 大体クラスが一つ下がるにつれ10点下がると言った感じである。


「あら、2クラスとも頑張ったじゃない?去年は確か157点と149点だったわよね?」

 

 Sクラスは他のクラスと違い20名しかいない、その為レインが200点、エルナとラーラが187点を取る嫌でもクラスの平均点は上がる。

 現にその3人以外の人達の点数は過去と比べてもそんなに大差無い。


「担当教科でも無いのによく覚えてますね。」


「記憶力は良いのよ。2クラス分の採点したんだから貴方はもう帰ってもいいんじゃ無い?発表まであと4日間もあるんだし。」


 総合テストは全学年共通で行われる為、採点する答案も莫大な量である。

 現在11時を回った所だが、テストが終わった12時から約10時間以上ずっと採点を行なってまだ終わらないのである。

 ちなみにこの日から5日後の結果発表まで午前中授業だが、それはテスト終わりの生徒への休息では無く、先生達の採点時間を取る為である。


「ええ、お先に失礼します。」


「ええ、お疲れ様。」


 数学担当の教科担当が帰ると1年の担当教科合同室も半分くらいの講師しか居ない。

 基本、学園内に講師専用の寮があるが、答案の持ち帰りは厳禁であり、生徒立ち入り禁止の部屋などでやらなければならない。


「エミリア先生、Sクラスの国語の採点が終了しましたのでここに置いておきます。」


 そう言ってきたのは国語の担当教科である。

 この世界は言語や通貨は地球と違い共通言語•共通通貨エルがある、その共通言語の勉強が国語である。

 ちなみにこの国語だが、基本教科に入っているが受講しなくて良い者がいる。

 それはスキル全言語理解を持っている人である。

 スキルには下から下級•中級•上級•超級の4つが存在し、超級以外は何名か同じスキルを保有している人がいる。

 そして全言語理解は中級の為、このリフェルティア学園にも何名か存在するのである。

 ちなみにレインが持っているスキル精霊視は超級、万物創造と物体改編はその更に上をいく存在の為、ランク外である。


「ええ、ご苦労様。」


「あ、1位はレイン•ファリア君で200点満点で200点でした、流石ですね。では失礼します。」


 そう言って国語担当は帰っていった。


「え、ええ。お疲れ様。ってレイン君、歴史も200点ね。はぁ、私もやっと終わったわ。」


 国語担当にそう言いながら自分の担当教科の歴史を採点していると、この子やけに正解が多いわね、と思い名前を見るとレイン•ファリアと書かれていた。


「あら、エミリア。まだ採点していたの?」


 そこに現れたのはリフェルティア学園学長であり、エミリアの姉であるリレス•リフェルティアであった。

 学園職員が採点で忙しい中、唯一暇である学長は講師から恨みのターゲットである。


「あぁ、お姉様。今終わったので帰る所です。レイン君今の所、数学•国語•歴史で合わせて600点ですよ。」


「あらあら、流石レイン君ね。」


 そりゃあそうだ、レインは見た目は12歳でも中身は近畿の難関高校を首席で卒業し、首都にある理系工業大学を首席で卒業し、そのまま技研(防衛技術研究開発本部)に就職した超エリートである。

 その後もJAXA(日本航空宇宙研究開発機構)や理研(理化学研究所)を8年に渡って渡り歩いてきたのだ、今更そんな問題で間違えるような人では無かった。


「はぁ、もしかしたら他の教科も似たような感じかもしれないわね。まさか満点とか無いでしょうね?」


「レイン君は以上だから、どんな問題を出してもサラサラ解いてしまうと思うわ。」


「諦めますか。」


 そう言いながら2人はまだ採点する人がいる部屋を出て帰宅した。

 そしてそれから5日後、いよいよ第1次総合テストの結果発表の日を迎えた。

 テストは点数と学年順位、クラス順位をステータスで見る事ができ、張り出されるような事は無い。

 その為、各人部屋で自分の教科毎の点数と睨めっこするのである。

  そして、Sクラスのレインとエルナの部屋にはレインとエルナ、そしてカノンとラーラが居た。


「はぁ、大丈夫かな?ここで20位以下だったら次のテストで挽回しなければ!」


「大丈夫よ。ラーラ頑張ってたじゃない。私が心配しているのはラーラよりカノンよ。」


 エルナが横目でカノンを見るが、カノンはテストが心配なのかすっかり自分だけの空間に居た。


「だ、大丈夫だよ。俺ちゃんと勉強したもん。」


 カノンはそう言うが結果が全てである。


「はぁ、まぁ良いわ。先にクラス順位と学年順位ね。」


「「「「ステータス!」」」」


 4人が一斉にそう言い「ステータス」と言い一斉にステータスを開いた。


「あぁ、また2位だわ!あんなに勉強したのにぃ!」


 エルナが悔しそうにステータスに記載されている2位という数字を見る。


「やったわ!3位に上がったわ!」


「う、嘘だろ?4位に下がった。ラーラにまけたぁ!!」


 入学時にはカノンが3位、ラーラが4位であった。

 今回のテストも入学試験と同じ方式であるが、剣でいくら成績が良かったからといえ、入学試験時みたいに加算される事は無い。

 最も剣がいくら強いからとは言え学年4位の為、学力も優秀と言える位置にいるが、俺達4人という括りで見るとやはり霞んで見える。


「レイン君は?」


「いや、1位だったんだけど。点数はマジか?」


 僕は自分のステータスに記載されていた点数を見て唖然としていた。


「何点だったの?ちなみに私は2200点中2005点よ。」


 今回のテストを含め、基本教科4教科(数•国•社•理)と副教科8教科の計12教科で1教科200点満点で最大2400点である。

 だが、教科によってはテストが無い教科もある、例えば精霊魔法の教科だと精霊と契約している事が対象であり、契約出来たら合格、出来なかったら別の教科選択となる。

 その為、カノンとラーラは2200点満点であり、エルナとレインは2000点満点であった。


「俺は2200点中1998点だった。エルナは?」


「私は2000点中級1895点だったわ。」


 2000点満点、つまり精霊魔法A•Bの2教科分400点が無い。

 1教科200点満点なので2000点満点という事は10教科、平均して1教科あたり約190点、100点満点だと95点となる。

 それを考えるとエルナは優秀という事が分かるだろう、だが。


「「「レインは?」」」


「満点。」


 その言葉に他の3人は一緒、理解が出来なかった。


「え?」


「はい?満点?」


 そして暫く経って思考が再起動したカノンとエルナがもう一度聞いてくる。

 だが、何回聞かれても答えは一緒である。


「レインってエルナと同じ教科よね?って事は2000点中2000点!?」


「そうみたい。」


 僕はラーラの答えに同意した。


「「「はぁぁぁぁぁ!!!!?」」」


「ちょっと!?私、あんなに頑張ったのよ?まさかシルフィに教えてもらったんじゃないでしょうね?」


 シルフィは風属性の大精霊、風属性の精霊は知識の精霊と言い非常に知識が豊富である。

 最も無属性の精霊で知識の精霊は別に居るのだが、ここでは割愛。


「それは無理だよエルナ、テスト時間帯は教室に精霊結界が張られているからシルフィは近く事も出来ないよ。」

 

 契約精霊は契約者の事を第一に考える。

 その為、テスト中に契約精霊に教えてもらいカンニングする事も可能だ。

 何しろ精霊と契約者の間では念話があり、喋らなくても心に思うだけで契約精霊と会話ができる。

 しかし、その事は学園も把握している。

 その為、テスト会場に精霊結界が張られており如何なる精霊も侵入する事は困難であった。


『え?普通にレインの中にいたけど。』

 

 だが、どうやら学園が誇る精霊結界の前では大精霊は当てはまらないみたいであった。

 この時はレイン達も知らなかったが、会場に張られている結界は中位精霊以下に対して効果を発揮する結界であり、中位精霊以上のつまり高位精霊に対して効かないのである。

 理由はただ単にただでさえ契約するのが難しい高位精霊と学生が契約出来る訳がないという理由とそれ以上の契約となると製造が不可能になるからという技術的な問題であった。


「おい、これって学園始まって以来の大問題じゃ無いのか?」


「カノン、落ち着いて。まさか学園が大精霊と生徒が契約しているなんて想像出来るわけないでしょ?レインが異常なのよ。」


 ラーラが地味に失礼な事を言ってくるが、シルフィの事に関しては否定出来ないので黙っておく。


「でも、レインが大精霊と契約しているってエミリア先生と学園長は知っているんでしょ?」


「ええ、それでいて何にも言われないのは大精霊がそんなカンニング行為なんかするはず無いって思っているんでしょうね。」


 シルフィが風属性の大精霊と知っている先生は2人しか居ない。

 まずSクラス担任のリフェルティアと学長のリフェルティアの2名である。

 精霊魔法担当の先生もシルフィは風属性の下位精霊で通している、理由は人間の姿に成れる精霊は中位精霊以上の高位精霊のみであるからである。


「とりあえずレインは異常、それで良いな?」


「「ええ!」」


 え!?ちょっと酷く無い?


「お〜い、俺の意見は?」


『今はあの3人に任せた方が良さそうね。3人ともかなりショック受けているみたいだし。』


 僕の意見にシルフィがそう言い諦める事にした。

 でも、まさか僕自身も2000点中2000点取るとは予想外であった。

 これからは自重しよう。


「そう、だね。」


 そして後日、この事を知ったお父さんから少し自重しろと書かれた分厚い手紙が届いた。




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