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第49話 戦後

 


 戦争がシールスト国の滅亡という形で終了してから1週間が経過した。

 あれから結局、魔獣はテーラの街へと襲来する事は無く、当初領地軍と合わせて約3万弱いた連合軍はルシタニア連邦国軍以外の軍は本国へと撤退し、現在はテーラ領地軍4000とルシタニア連邦国軍6000の計1万が残るのみとなっている。

 結果ルシタニア連邦国はテーラ地方を合併し、テーラ地方はテーラ州となりルシタニア連邦国となった。

 薬草の供給は再開され需要と供給のバランスが大分取れてきたが、まだ需要の方が多いと言った形である。

 ニノ•リーティスを隊長とした300名の精霊使いを派遣したアルファス連邦国軍は1名の戦死者も出す事無く無事本国へと帰還した。

 この戦争で連合軍は8万人の兵の内、1万人弱の死傷者を出したが、シールスト国軍が10万の兵の内約3万5000の死傷者を出した事に比べたら軽微と言えるだろう。

 この戦争は精霊使いの強さと銃の効果が改めて示された戦いとなり、この戦い以降各国の軍隊の主力は剣や槍から銃となっていく事になり、軍拡競争とそれによる急速な科学技術の進歩に繋がる事になった。



 そしてこの戦いで再燃したのが同一民族であるルシタニア連邦国とフラント王国の統一である。

 この案はフラント王国のルクレール王国からの独立後一旦表舞台に出てくる事となったが、シールスト国との関係を悪くしたくなかった貴族により廃案となっていた。

 しかしその懸念であったシールスト国が滅び妖精の森の一部となった事で再び再燃する事となった。

 フラント王国とルシタニア連邦国では圧倒的に経済力でルシタニア連邦国の方が上であった、だがフラント王国にもルシタニア連邦国と同様に王族がおり、それが懸念材料となっていた。

 しかしその懸念は直ぐに解消される事となる、フラント王国王族がルシタニア王家と合併する事を発表したからである、ルシタニア連邦国はトップの大統領はルシタニア家による世襲制であり、それにフラント王国王家が合併する事となったのである。

 ここまで発表されたら今更引き返す訳にはいかなかった、幸いにも両国国民は統一を強く望んでおり、エリフィス教総本山があるスイレン聖王国の仲介の元徐々に統一し、統一歴1703年、つまり3年後に統一する事で両者合意したのである。

 それは戦争が終わってから僅か1週間後のスピード決定であった。



 9月17日、本来なら学校が始まっている頃だが、戦争により無期限延期とされていた。

 しかし戦争が終わり25日からリフェルティア学園が再開する事が通達されていたのである。

 本来なら9月2〜9月5日まで第1次総合テストがあったが、それが25日〜28日となったのである。

 その為、リフェルティア学園の生徒であるレインは必死に勉強しているかと思えば勉強はせずに王族の一員として国の会議に参加していた。

 この会議は国の重要な指針を決める時に開催される国家安全保障会議であり、王族の他各大臣や各州知事である伯爵が参加する大事な会議であった。


「では、会議を始める。最初に言っておくが、この会議は我がアルファス連邦国の指針を決める重要な会議であり、不敬罪などつまらない事で会議を止める事は無い。各人国の為に意見を出してくれ。」


 アルファス連邦国国王であるレイルズがそう言い会議が始まった。

 不敬罪とは王族に無礼な発言や行動を起こした者を処罰する法律であり、最悪不敬罪で極刑に処す事も可能である。

 レインやレイルズなどの王族としては正直嫌であったが、周りからの強い勧めもあり制定したのである。


「では、先に国内情勢からです。各州の地方自治体制は確立し、地方自治法に則った行動をとる事が可能です。また、これまでの局体制の廃止と局体制に変わる省庁体制の確立は大方完了致しました。また軍警分離は今の所予定通り進んでおり、来年春頃には完全分離が完了する予定です。」


 地方自治法は現代日本の地方自治法より地方分権を強化した法律となっている。

 現在、軍と警察は分離されている最中であり、警察の方は新設された保安省がその管轄を行う予定である。

 日本は約1億2700万の人口に対し軍隊(自衛隊27万人)•警察(26万人)の総数は約53万人で国民の約0.004%程度

 大韓民国では約5100万人の人口に対し約74万人(軍隊65万人、警察9万人で国民の約0.015%程度でアメリカは約3億1700万人の人口に対し約216万人(軍隊144万人、警察72万人)で0.007%である。

 ちなみにあの北朝鮮は10%以上である。

 だが、ルクレール王国では2400万の人口に対し軍隊(28万人)•警察(衛兵2万人)の総数は約30万人で国民の約0.013%ほど。

 アルファス連邦国は840万の人口に対し、軍隊(8.5万人)•警察(1.5万人)で0.012%となる。


「なるほど、予算の方はどうなっている?」


「はい、これまでの田祖制に変わり土地価格単位で税を徴収する地租改正を行いましたが、予定通り徴税額に変動はありません。ただ未だ一部の地域で測量が未完了であり、その場所はこれまで通りの3公7民で徴収しています。今年度中には測量は完了するかと。」


 これまでアルファス領を含みこの世界は何公何民の田祖制であった、しかし明治時代の日本と同じくアルファス連邦国は世界に先駆け土地価格の割合に応じて税率を決める地租改正を行った。

 ちなみに日本の地租改正は3%にしたが、反対され結果2.5%となったが、アルファス連邦国では最初から1.5%である。

 最も10年と経たない内に付加価値税(消費税)•法人税•所得税•固定資産税に切り替える予定であるが。


「まぁ、徴税額を変えない計算で決めたからな。流石に今年度は赤字かな?」


「えっと、他国からの独立祝い金などもありましたのでギリギリ黒字です。来年度も黒字かと。」


 元々アルファス領の時から財政は2割程の歳入超過で大幅黒字であった。

 独立したばかりの今年度は国家体制の構築や軍の規模拡大などにより赤字となる可能性があった。

 だが、他国からの独立祝い金などによりなんとか黒字を保てたのである。


「はぁ、まぁ予算の心配をしなくていいのは気楽ですな。」


「では、続いて軍について説明します。」


「あぁ、続けてくれ。」


 レイルズは軍の担当者に続けるように促し軍についての説明が始まった。

 軍に関してはレインが後を見越して中世の近代軍ではなく現代軍での体制を構築するように促した。

 その為、レインの意見がかなり反映され、南西シフトした陸上自衛隊と似通った組織体制となっている。


「はい。我がアルファス連邦国軍は現在陸軍6.5万、海軍2万の計8万5000人です。陸軍の配置は西アルファス島と東アルファス島でそれぞれ西部方面隊と東部方面隊が管轄しています。西部方面隊ではベールニア州•アストレア州に各5000、リヒト州に7500の兵力を配置しています。」


 そう言いベールニア州、アストレア州、リヒト州の州知事がそれぞれ頷いた。他の国家と違いアルファス連邦国では領地軍というものは存在しない、その為、各州の防衛はこの軍隊によって確立されるのである。よって自領の安全保障に関わる事なので各州知事は真剣に聞き入っている。


「東部方面隊ではライント州•リーベル州•フォルト州•タルバニア州に各5000、スフィア中央州に7500の兵力を配置しています。またそれら基幹部隊とは別に機動部隊として1万5000の兵力を分散配置しています。そして残りの5000弱は聖域の防衛部隊です。」


 アルファス連邦国陸軍は主に西部方面隊と東部方面隊に分けられるが、7500名配置されているリヒト州とスフィア中央州に各方面隊司令部が設置される見通しである。

 機動部隊は陸上自衛隊の機動旅団を模して設立された組織であり、有事の際には配備地域に留まらず全土を担当する部隊となる。


「また、スフィア中央州の7500名を第1師団、ライント州•リーベル州の計1万を第2師団、タルバニア州•フォルト州の計1万を第3師団、ベールニア州•アストレア州の計1万を第4師団、リヒト州の7500を第5師団、機動部隊を2分割してそれぞれ第6旅団、第7旅団、聖域の部隊を第8旅団と決定しています。不明瞭な点があればご質問を。」


 基本的に2つの州で1つの師団構成であり、リヒト州とスフィア中央州のみ1つの州で1つの師団構成である。

 そして説明を終えた軍の担当者がそう言うと財務省の担当者が手を挙げた。


「その、師団などはどのような単位で決めているんだ?」


「基本的に40名程度を小隊、5個小隊の計200名程度を中隊、6個中隊1200名程度を大隊、3個大隊の3600名程度が連隊、2個連隊の7200名程度が旅団、3個連隊1万800名程度及び4個連隊1万4400名程度が師団という単位ですが、今後第1師団及び第5師団は増強される予定ですので師団と定めています。近衛師団に関してはこの規定を当てはめずに師団としています。」


 基本的にアルファス連邦国陸軍は現代日本の陸上自衛隊を模倣しており、まだ国民も少なく、よって兵力も少ないアルファス連邦国陸軍では自衛隊を見習った方が良いと考えたのである。

 勿論、兵力の関係だけではなく、アルファス連邦国は日本と同じ海洋国家であり、島嶼部も数多い為でもある。


「なるほど、ではその第1師団及び第5師団は1万人程度に増員されると言う事か?」


「はい、そう言う認識で構いません。」


 そう軍の担当者が肯定すると、満足したのか財務省の担当者は椅子に座って続けるように促した。


「では続いて近衛師団に関して説明致します。近衛師団は精霊使いの精霊魔法部隊とその他の近衛部隊で成り立っています。また近衛部隊でも剣を扱う騎士団と銃を扱う部隊で分けられています。この部隊は軍の中から特に射撃試験の優秀な人材を選抜した人達です。」


「ふむ、銃の配備に関してはどうなっている?」


 アルファス連邦国陸軍は全ての騎士団を除く全ての部隊に銃を配備する計画を立てている。

 単純計算で配備予定のレスター銃は1丁4000エル(現代貨幣価値に換算する約24万円)である。

 それが全部隊+αで約8万丁で約3億2000万エル(現代貨幣価値に換算すると約192億円)にもなる。


「はい、レスター銃の配備は3割方が完了しています。来年の冬から再来年の春にかけて完了するかと。」


「では、続いて海軍の方に移りたいと思います。現在我が海軍は戦列艦が主力で魔導戦艦は1隻もありません。そこで最近になってルクレール王国海軍で就役した装甲艦の建造を行う事に致しました。計4隻の建造計画になります。」


 約10年前にルクレール王国海軍で装甲艦が建造された事は皆知って

 おり、その性能が非常に芳しいものだと言う事も知っていた。

 しかし木とは違い鉄は木と比べて非常に高価である、装甲艦が高額な事は簡単に想定でき、財務省の担当者は厳しい顔つきとなった。


「その装甲艦はかなり高価になるんじゃ無いのか?」


「そうですね、一般的な戦列艦が約1億5000万エル、装甲艦の建造予定価格が約6億エルになります。」


 戦列艦4隻分の価格と装甲艦の1隻の価格が同意、装甲艦にそれだけの価値があるなら問題無いが、現時点で非常に博打であった。

 が、しかしあの絶大な威力を誇る魔導戦艦の縮小版とは言え魔導戦艦を持たないアルファス連邦国にしてみれば非常に大きな戦力となり得た。


「• • • • • • それだけの価値が装甲艦にあるのか?」


「ルクレール王国の装甲艦を視察して、それだけの価値があると我々は判断しました。」


 そう海軍の担当者が言うとレイルズは静かに頷いた。

 国王が拒否しなかった為、この建造計画はそのまま予算案が通され、建造する事が決定した。


「そうか、なら問題ないのだが。」


 そして国王が認めた為、質問した財務省の担当者も認める事となった。




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