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第44話 レインの憂鬱

 


 アルファス連邦国は西島のリヒト州•ベールニア州•アストレア州と東島のタルバニア州•フォルト州•リーベル州•ライント州•スフィア中央州そして東島の北側5分の1と北島が聖域である自然保護区とその周辺の島々で成り立っている。

 各州は地方自治権を有しており、それまでの領地軍の代わりに地方警察執行権を有している。

 そしてアルファス連邦国の首都となったスフィア中央州の中心部にあるスフィア城は琵琶湖並みの大きさを誇るパレス湖の島に建てられている。

 そしてそのスフィア城の中でも5ヶ所ある出入り口から遠い島に建てられた建物に第2王子であるレイン•アルファスの部屋があり、その第2王子は豪華な天蓋付きのベッドに顔を埋めていた。


「はぁ、なんであそこで精霊界に来る事を楽しみにしています、とか言っちゃうんだよぉ。」


『• • • • • • 光栄じゃない。』


 シルフィは明らか目を反らせて言った。


「どうでも良いよぉ〜。」


『はぁ、精霊王様の言葉にどうでも良いって言っている人間は多分貴方が最初ね。』


 シルフィは呆れながらそう言った。

 だが、そのせいであの後他国の大使や司祭、教皇と長々と話す羽目になったのである。


「ルフ教徒も言いそうだよ。」


『アイツらは人間じゃない。』


 シルフィはどうやらまだ人間が嫌いなようである。

 10年近く一緒に過ごしてきて少しは慣れたのかと思ったが、よほど古代文明に恨みがあったらしい。

 気持ちは分かるが。


「あっそ。しかしどうしようかなぁ、学校も戦争のせいで臨時休校となったし。」


『本でも読んでいたら良いじゃない。あ!精霊界に行く?』


「今行ったらお父さんの胃に穴が空いちゃうよ。」


 ただでさえ独立に関しての引き継ぎや人員整理などの仕事が山積みだったのだ。

 相当ストレスが溜まっているだろう、そんな中息子が精霊界に行ったなどと言ったら発狂しそうだ。

 お父さんの胃の為、大人しくしておくと決めた。


『ポーション飲んだら大丈夫よ。まぁ、精霊界は落ち着いたら行きましょ。約束でしょ?』


「精霊界はともかくポーションの問題じゃなくてストレスだよ。学校でなんて言われるだろう?」


『貴方が第2王子だってバレないわよ。その為にこれを付けていたんじゃない。』


 そう言い机の上に置いてあるネックレスを見せてくる。

 このネックレスは《擬態》と言う魔道具であり付けた人を別人のようにしてくれる道具だ。

 アルファス家の宝の一つであるが、1分間に20ほどの魔力が必要など、効率が悪すぎる為、常に付けていられる人は1分辺り300の回復が出来る俺と1分辺り41の回復が出来る大賢者ぐらいである。


「忘れてた。」


『はぁ、全く。そういえば港に変な船が停泊してたわね。』


 現在、これまで駐留していたルクレール王国軍の最後まで残っていた部隊がルクレール王国へと撤退するのでその記念式典を行なっている。

 そしてそのホスト役として数年前にルクレール王国海軍で就役したばかりのオルレアン級装甲艦が2隻が港に停泊している。

 現在エリフィス教諸国では装甲艦の建造ラッシュ中であり、独立した我が国も装甲艦の建造を行なっている。

 この世界は魔法がある為、建物の建築も船の建造も地球より非常に早い。

 何せオルレアン級装甲艦も1ヶ月ほどで完成したほどである。

 問題はこれまでの戦列艦より高価な装甲艦の建造費を捻出する事だが、幸いにもアルファス連邦国は豊かであり、その心配は無さそうである。


「そうだね、ようやくこの世界も木造艦艇から鉄製艦艇に移行し始めたか。」


『へぇ〜。ニホンの船も鉄なの?』


「鉄、うん、まぁ、鉄だね。強度は段違いだけど。まぁ、でもあの船は戦艦というより装甲艦だな、ははは。」


 いくら魔法があるからとは言え、この時代の精錬技術と現代日本の精錬技術を一緒にしたら困る。

 だが、ファンタジー鉱物として有名なミスリルもオリハルコンもヒヒイロカネもある世界だ、正直チタン合金や炭素繊維が負けないか心配である。


『装甲艦?戦艦とは違うの?』


「まぁ、広い目で見たら戦艦の一種だけど、固定式の大砲だし、回転式じゃないから装甲艦だな。まぁあと5年ほどで回転式砲塔を搭載する戦艦も出てくるだろう。ただでさえ魔導戦艦とか言う古代文明の遺産があるんだから、ここまで来るのと発展は早いだろうな。」


 装甲艦が出てくる時点で日本で言うと明治時代に突入しているのだが、他の技術を見る限りまだかろうじて1700年代であろう。

 最も魔法があるので生活レベルは1800年代後半だろうが。

 そもそも数が少ないとは言え通信機や映像送信機テレビ受信機テレビカメラがある時点で1900年代に突入してしまっている。


『レインは船について詳しいね。』


「前世では一応海洋工学を専攻してたからな。この発展具合だと、あと50年程度で古代文明の魔導戦艦より強い魔導戦艦が出てきそうだな。」


 前世では海洋工学を専攻しており、技研(防衛技術研究開発本部)でも艦艇に搭載する新型動力の開発を行ってた。

 その為、船については専門だった為、詳しいのである。

 最も石炭や石油の代わりに魔力を動力にしている船が存在している時点で色々と理論崩壊が起きているのだが、最近はもう慣れてきた。


『50年ね、直ぐだわ。』


「精霊はね、人間にとったら人生の3分の2だよ。しかしまぁ、これだけ戦争してたら文明も発展するだろうな。」


 まぁ、地球の4倍もあるから他の大陸の事など全く知らない為、分からないが、エリフィス教諸国とルフ教諸国が睨み合う東西冷戦のような構図は200年間続いている為、急激に発展してもおかしくない。

 最も地球では内乱や戦争があったが、この世界では内乱など殆ど無いし(少なくともエリフィス教諸国では。)国家間の戦争も少ない。

 現在戦争中のシールスト国が侵攻してきた戦争も20年ぶりの戦争らしい。


『多いの?この戦争の数。』


「地球よりは遥かに少ないよ。でも数ヶ国が関わってくる戦争ならこっちの方が多いかな?まぁ、戦争せずに睨み合って軍事に金をつぎ込んでいる方が技術は進歩するんだよなぁ。残念だけど平和より戦争一歩手前が1番技術の進歩が早いんだよ。」


『平和で軍事費の分を開発費に突っ込んだ方が発展するでしょう?』


「同じ予算でも戦争に紐付けした方が何故か発展するんだよ。」


 悲しいが、1900〜1945年までの45年間と1945年〜1990年までの45年間では2つの世界大戦を行った前者より大きな戦争が無く、互いに睨み合っていた後者の方が科学技術は発展しているのである。

 電子レンジやGPS、パソコンなど軍事技術が民家に転用された例は多く、年間7000億ドル程(約70兆〜80兆円)の予算を軍事につぎ込んでいるアメリカが科学技術では世界一である。

 ちなみにアメリカは軍事費はGDP比3.2%で科学技術費はGDP比2.7%、日本は軍事費はGDP比0.9%で科学技術費はGDP比3.3%である。


『人間のする事はよく分からないわ。』


「そうだね。まぁ、こっちは石油や石炭より魔力で動くみたいだから大気汚染などの公害は少ないだろうな」


 そう、この世界でも蒸気推進艦艇は普通にあるが、石炭では無く魔力、装甲艦も石炭や重油では無く魔力なのだ。

 石炭や石油と違い魔力は魔力の残り香が出るだけで大気汚染はともかく水質汚濁なども起こさないクリーンエネルギーである。

 さらに埋蔵量なども無く、採掘なども必要無く、夢のエネルギーである。


『それは何よりね。まぁ、次期国王として頑張ってね。』


「俺より先にシリウス兄様やルー姉様がなったら良いよ。女王でもカッコいいと思うよ。」


『過去に何度かアルファス家の当主が女性ってあったからね。悪くは無いわね。ちなみにエルフィーナ王国は女王よ。』


 エルフィーナ王国はエリフィス教諸国の中でも比較的南の方にある国家である。

 エルフ族の国であり、王家とアルファス家は非常に仲が良く、今回の独立審議会でも賛成に票を入れてくれた(反対は居なかったが)。


「エルフィーナ王国って確かあのエルフ族の国の?」


『ええ、そうよ。エルフ族は寿命が長いからね。建国してから600年ほど経つけど今の女王で4代目よ。』


「1人当たり150年かよ。長いな。」


『あら、貴方にもエルフ族の血が入ってるから可能性はあるわね。』


 え!?俺も数百年生きるの?

 いや、確かにこの身体はあの女神様が作ったけど、せめて不死は嫌だなぁ。


「え!?なんで?」


『なんでってエルフィーナ王家とアルファス家の付き合いは長いからね。そう言う事じゃない?まぁ長いって言っても350年ほどだけどね。』


「知らなかった。」


『ふふふ、貴方が前世いた国だって建国2700年くらいじゃ無い。』


 いや、まぁ確かに日本の和暦である皇紀は西暦2050年だと2700年となる為、建国から2700年経っているという計算である。

 最も建国2700年は神話も一部入っている為、6世紀に建国されたとされるのが一般的である為、約1400年ほどであり、どちにしろ世界一歴史の長い国家である。


「まぁ、確かに。そんなんだけどね。」


『まぁ、いいわ。ここじゃ暇だから外に出ましょ。』


 僕の部屋がある別館は島の1番端っこであり、人目につかない場所である。

 その為、立派な広い庭があり、湖で泳いでも誰にも見つからない。

 また、僕が万物創造スキルの使用や魔法の練習をする場所でもあった。


「そうだね、じゃあ行くか。」


 そう言って部屋から出て庭に行く事にした。



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