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第39話 精霊使いニノ•リーティス

 


 私は名前はニノ•リーティス、アルファス連邦国精霊魔法部隊の隊長であり、宮廷精霊使いでもある。

 実を言うとアルファス連邦国はまだルクレール王国から独立していないのだが、来週には独立宣言を行う為、他国からは既に独立国と扱われている。

 それはさておき精霊魔法部隊とは精霊と契約している魔法師で編成された部隊であり王家直属の近衛師団に所属している。

 その数は800人と他国に比べて圧倒的に多いらしい、その理由はアルファス連邦国が精霊の加護を受けた土地であり、精霊の数も多いのだそうだ。

 私は5歳の時に母を亡くした、元々病弱だった母は父からの暴力によってこの世を去った。

 その父も母がこの世を去って数日後領主軍の人達が大勢やって来て捕まった、その後牢屋で亡くなったそうだ。

 大人になってから知った事だが、父は他にも何人もの人を殺してたそうだ、私は今でも母を殺した父は嫌いである。

 と言うわけで自分は孤児となり孤児院に入れられた、孤児院の院長が言うにはここの領主は優しく、ちゃんと補助金も出ている為、孤児院の経営は安定しているそうで他の領地より遥かに良いらしい。

 その後5歳から10歳までの約5年間孤児院に居た、その時に私は近くの森で精霊に出会った。

 その精霊は私に深く同情してくれて契約をしてくれた、当時私は契約と言うものがよく分からなかったが、その精霊が言うには友達になる事らしい。

 後に風属性と教えてくれたその精霊はリルと名付け、今でも1番の私の友達である。

 10歳になった私はアルファス魔法学園と言う学校を受験する事になった、このアルファス魔法学園は領主様が予算を出しているお陰で完全寮生ながらも寮費や授業料は一切要らないらしい。

 結局、私はそのアルファス魔法学園に首席で入学し、卒業までずっと首席であった。

 卒業後の進路で担任にどうするか?と書かれた時、私は迷い無く領主様に仕えたい、と言った。

 すると担任の先生は笑いながら分かりました、と言い結果私はアルファス領の近衛師団に入隊する事になった。



 近衛師団での生活は厳しかったが、充実した日々であった。

 その中でリルは下位精霊から中位精霊に進化し、私を含め周りの人達を驚かせた。

 風属性の中位精霊は私が初だそうで、リルと契約していた私は無敵であった。

 ちなみに風属性の中位精霊と契約しているのは私だけだが、下位精霊と契約している人はおらず、初位精霊まで下になるらしい。

 本国のルクレール王国魔法師団との模擬試合では私と同じ精霊使い30人を私1人で倒したりしたりした。

 その時にルクレール王国の将軍から是非魔法師団に入らないか?と誘われたが、私は断った。

 アルファス領主は素晴らしい人であり、その人に仕えると決めた以上それを曲げる事はしないと決めていたからである。

 その後、ルクレール王国アルファス領はアルファス連邦国として独立する事となり、私は近衛師団長に推薦されたが、それは嫌であった為、王家となったアルファス家の次男に掛け合ってなんとか精霊使いの隊長に抑えてもらった。

 私がその時掛け合ったアルファス王家次男であるレイン•アルファス様は後にリルから聞かされ知った事だが風属性の最上位存在である大精霊のシルフィと契約していた事に驚いた。

 援軍としてルシタニア連邦に行く前に会議で聞いた話だが、ルクレール王国のムセル公爵家と言う反精霊派の筆頭貴族がレインを殺そうと暗殺者を仕向けた結果、暗殺者は全員行方不明、ムセル公爵家の屋敷は瓦礫の山でその中からムセル公爵家全員の切り刻まれた遺体が見つかったそうだ。

 正直言って、大精霊を怒らすと恐ろしい、この時初めてそう思った。

 そして、その屋敷からは風属性の魔法の残り香が出てきたそうだが、ルクレール王国から抗議や非難などは一切無かった。

 逆に、ムセル公爵がこれまで行ってきた悪事が分かったと感謝してきたらしい。

 どうやらムセル公爵家はこれまで横領や密輸などを行ってきたらしく、没収し国庫に入れられたその資産の総額は国庫の残高が1割増えるほどだったらしい。

 確か、ムセル公爵家の屋敷はかなり大きかったはずだが、それを瓦礫の山にするなど中位精霊であるリルでも出来ない、流石大精霊と私は大精霊の恐ろしさをつくづく思った。



 そして現在、私はルシタニア連邦へとアルファス連邦国軍の援軍の隊長として派遣され、敵であるシールスト国軍と戦っている。

 今さっきもウィンドストームで敵を切り刻んだ所だ。

 精霊使いは契約した精霊にお願いをして魔法を放つが、その威力は精霊使いである私が決まるのだが、さっきから僅かばかり威力が高いように思える。

 これまでこのような事は無かったのだが、リルの奴、この敵の多さに加減を忘れていると思ったがリルはいたって冷静であり、間違いなく怒っている。

 風属性の精霊は人間が基本的に嫌いであり、中位精霊は大精霊に逆らえない。

 おそらくレイン様の大精霊であるシルフィ様が怒っている為、こういう事になっているのだろう、そういう事なら私は手出しは出来ない。


「隊長!砲兵部隊から一斉砲撃をすると連絡が来ました。」


「そうか、分かった。全員一旦退がれ!砲撃が来るぞ!」


 部下に大声で伝えると部下は他の味方部隊などに伝え、皆一旦後方に退がる。

 大砲はあんまし精度が良くないので下手すれば巻き添いを喰らいかねない。

 この世界での大砲の利用価値は地球世界ほど高くない。

 大砲より遥かに高威力高精度で残弾を気にしないで良い精霊使いがいるからである。

 しかし軍艦には大砲は必要であり精霊使いは数が少ない為、砲兵は必ずいる。

 ちなみにこの世界の大砲は火薬ではなく魔力によって発射する為、火薬より飛翔距離が長く精度もこの時代の大砲にしたら良い方である。

 そして皆が一時後方に引くとヒュルルルルルルと言う砲弾特有の音が聞こえてきて目の前の地面が噴火したように爆発する。


「あらかた片付いたか?」


 砲撃による煙がはれて、大砲の砲撃跡に向かうといく名かの兵士が生き残っており俺の顔を見た瞬間青ざめていった。


「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!お、お前はニノ、ニノ•リーティス!?」


「な、なんだと!?こ、降参する!殺さないでくれ!お願いだぁ。」


 もう戦意なんてあったものではない。

 残っていたのは精霊魔法により障壁を展開していた精霊使いのみであった。

 精霊使いは障壁を展開出来るので砲撃でも生存性は高く、精霊使いは少ない為、捕虜にとられても好待遇の場合が多いので、降伏しやすい傾向にある。

 しかし、相当恐ろしかったのか彼等は泣いて私に嘆願してきた、別に私は降伏した兵を殺すほど野蛮じゃ無いのに。


「流石ニノ隊長です。こいつらを縛って連れて行け!精霊使いだからな。気を付けろよ!」


「「「はい!」」」


 そう言い、兵士達は精霊使いと見られる捕虜の両手を現代の手錠みたいなのを嵌めて後方へと連れて行った。

 抵抗する者はいない、したら殺されるからだ。

 あの手錠は魔法封じの魔道具であり殆どの精霊使いや魔法師は魔法封じの魔道具によって魔法の使用が封じられる。

 ただ、精霊使いの場合、契約している精霊の位が中位精霊を超えると精霊が破壊する場合がある。

 ちなみにニノもその魔法封じの魔道具を破壊できる数少ない人の内の1人である。


「リル、前線はどうなっている?」


『う〜ん、味方が断然有利な状況が続いているねぇ。こんな万全の態勢の陣地に突っ込んでくるなんて敵は馬鹿なの?まぁ、シルフィ様も遠慮なく殺って良いって言ってたら遠慮はしないけどね!』


 基本的に精霊は敵となった人に対して容赦はしないし、人間みたいに情けをかける事は無い。

 精霊にとって人間は暇つぶしの道具に過ぎず、その命を奪う事に躊躇は無い。

 あるとすれば、それはその精霊が大切に思っている人だけである。


「やっぱり大精霊様が関わっていたか。リル、遠慮はしなくて良いが降参した敵は殺したら駄目だよ。」


『分かってるよ。急所は外してる。』


 暴れられないと知るや否や途端に顔を膨らませ不機嫌になるリル、だがその姿は他人から見れば可愛いく見える。

 そしてニノは不機嫌になったリルの機嫌を直す方法を知っていた。


「• • • • • • 帰ったらお菓子あげるから。」


『ほんと?じゃあ降参した敵は殺らない。』


「はぁ、ところでハガム将軍からの指示は?」


 凄い機嫌の代わり用に思わず溜息をつくニノだったが、一時的とは言え今の上司であるルシタニア連邦国軍のハガム将軍に指示を仰ぎに行っていた部下が戻ってきた為、仕事モードになり報告を聞く。


「は、はい。どの位置も味方が押しているので我々は待機するように、との事です。」


「そうか、ひとまずの休息だな。警戒の人員は残しつつ手の空いている奴から休息に入るように伝えろ!」

 

 現在、前線は大きく分けて3つに分かれている。

 自分は司令部がある真ん中の前線だが、鉄砲隊や精霊使い•大砲の活躍を受け、敵は一旦撤退した。

 しかしいつなんどき、また敵が攻めてこないとも限らない為、警戒するように部下に伝えたのである。


「了解しました。」


 そう言い、部下は周りに伝えに向かった。

 結局、その日は再度敵が攻撃してくる事はなく、戦争は互いが睨み合う膠着状態となったのである。

 この日の戦いでシールスト国軍10万人は2万5000人もの死傷者と5000人もの降伏者を出し、残りを7万人まで減らしていた。

 一方の連合軍も無傷とはいかず連合軍8万人のうち1万人ほどの死傷者を出していたが、豊富にあるポーションと各国が派遣してくれた治癒師のお陰でその約半数がその日のうちに前線に復帰できた。

 ちなみにニノ•リーティスが率いる部隊300名は負傷した者こそいたが、死者はおろか重傷者さえいなかった事に隊長であるニノは安堵していた。




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